アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

IRON MAN #200

長きに渡るトニーとオバディアの対決も今回でついに決着。同時にアイアンマン誌は第200話を向かえ、特別記念号としてページが増えるなど、物語内外で最高潮の盛り上がりを見せています。1度は会社も地位も名声も、生きる気力すら奪われたトニー。しかし逆境こそがヒーロー物の花なのです。堂々と君臨するオバディア帝国を打ち砕くのは、鉄の意志にほかなりません。
f:id:ELEKINGPIT:20220429214519j:imageIRON MAN #200

 

前回はこちらelekingpit.hatenablog.com

初回はこちらelekingpit.hatenablog.com

 

〈あらすじ〉

オバディアの策略により、トニーらが築いたマキシマム・サーキットは爆破された。ローディとクライ博士は幸いにして軽傷で済んだものの、アーウィン博士は無残な姿で帰らぬ人となる。大雨にも構わず立ち尽くすトニー。アーウィン博士の敵を討つため、拐われた仲間達を助けるため、全てに決着をつけるため。たった1人のアベンジが始まる。

 

〈鉄人の正義〉

物語は前回の約6時間後からスタートします。アーウィン博士の惨たらしい姿を見たトニーは、悔しさを滲ませながら拳を強く握りしめていました。この数ヶ月、アイアンマンであることを拒み続けてきた。私は臆病で馬鹿だった。トニーはそう振り返ります。いつかオバディアが攻撃してくることを分かっていながら、その事実から目を背け続けていたのです。しかし今のトニーに迷いはありません。逃げる気も隠れる気もありません。確かに気づくタイミングは遅かったと言わざるを得ないでしょう。しかしトニーの心には、再び鋼鉄の精神が宿ったのです。オバディアに会社を乗っ取られる以前から開発を進めていた最新アーマーを纏い、トニーはステイン社へと向かいます。
f:id:ELEKINGPIT:20220429222744j:image全く新しいアーマー、シルバーセンチュリオン。これまでのアーマーとは桁違いの性能を誇る。

 

一方オバディアは、「アイアンモンガー計画」の最終確認を行っていました。何故トニーがいる時に爆弾を爆発させなかったのか? 答えは簡単でした。オバディアの「ゲーム」は、トニーを殺すことが勝利条件ではなかったのです。トニーを生きたまま最も惨めな状態まで追い詰め、自らの無力感に涙しながら自殺させることこそがオバディアの完全勝利条件だったのです。仲間を見殺しにしたとして、世間は再びトニーを非難することでしょう。そうなれば再び酒瓶を手に取り、再び生きる気力を失ってどこかを放浪することでしょう。そのまま野垂れ死ねば、これほど心地よいことは無い。アイアンモンガー計画は、そんなトニーを打ち砕いた後に、アイアンマン打ち砕くための計画でした。オバディアはトニーのアーマーのメモを発見し、それを元に世界中の科学者へ最強のバトルスーツを作らせていました。誤算があるとすれば、トニーの再起でしょう。誤算があるとすれば、アイアンマンの再誕でしょう。自らの警備システムをあっという間に破ってみせたアイアンマン。ならば自らがアイアンマンを打ち砕くまでです。オバディアはテストが済んだばかりのアイアンモンガースーツを着用し、トニーと対峙します。
f:id:ELEKINGPIT:20220429224026j:imageオバディアが開発させた世界最強のバトルスーツ、アイアンモンガー。そのパワーはシルバーセンチュリオンをも上回る。

 

激しい戦いが始まりました。地球史上最高峰の技術全てが詰まっていると豪語するアイアンモンガーは、単純なパワーだけならアイアンマンすら上回るほど。一方汎用性に優れるアイアンマンは、様々な機能で翻弄します。戦いの余波はやがて会社全体を巻き込み、辺り一面に火の手が燃え広がっていました。オバディアが拐った仲間たちを助けつつ、オバディアの卑劣な策に立ち向かうトニー。戦う前から勝ちを確信していたオバディアは、予想外の抵抗にジワジワと追い詰められていきます。戦いは誰が見てもアイアンマンが優勢でした。オバディアも自らの敗北を認めざるを得ないほどに。オバディアは静かに人生の転換点を思い浮かべていました。8歳の時、目の前で自殺した父親ことを。あの日以来全てが変わってしまった。ならば今自分を打ち負かそうとしている最大最強の宿敵にできることは? オバディアはそっとリパルサーブラストの銃口をこめかみに向けます。父がかつてやったように、トニーを絶対に勝たせないために。
f:id:ELEKINGPIT:20220429231422j:imageトニーの目の前で頭を吹き飛ばしたオバディア。敗北しても勝利はさせない、執念の一手だった。

 

〈アイアンモンガー〉

トニーを打ち負かすために様々な策を行使したオバディア。死の瞬間までトニーを陥れようとしましたが、中でも最大の作戦はやはりアイアンモンガー計画でしょう。ステイン社の地下へ秘密の研究所を建設し、その中で世界中の天才科学者にアイアンモンガーを建造させていたのです。アイアンマンをも打ち砕くために建造されたこのバトルスーツ。何故「アイアンモンガー」という名前なのでしょうか?

アイアンモンガーは英語にするとIron monger、あえて日本語に訳すとしたら「(軽蔑の意を込めて)鉄屋」となるでしょう。要はアイアンマンを小馬鹿にした名前なのです。オバディアはトニーを身辺調査するにあたって、アイアンマンの正体に気づいていました。トニーを倒せばアイアンマンも倒したことになる。ではアイアンマンを打ち砕くとは? オバディアはアイアンモンガーを、アイアンマンの技術すら凌駕したバトルスーツにしようとしていました。技術力の差で上回ろうと考えていたのです。オバディアはありとあらゆる面でトニーに勝とうとしていたのです。しかし結果は自殺。トニーの心に癒えない傷を負わせ、人生を狂わせようとするものでした。トニーを絶対に勝利させまいとする最終最後の手段ですが、それでもトニーはオバディアに勝ったと私は断言できます。トニーの逆張りをすることでアイアンマンにもトニーにも勝とうとしたオバディア。しかしオバディアを、トニーの対極にも、ましてや同列の存在として語ろうとする人はいないでしょう。尊大な態度ながら逆張りすることでしか勝ち目を見いだせない小物なのですから。そして最後の自殺、オバディアはトニーが永遠に勝利できないと確信したものですが、トニーは現在に至るまでアイアンマンとして活動し続けています。トニーがヒーローである限り、オバディアはトニーの勝利すら奪えないのです。

IRON MAN #197〜#199

前回と前々回にてそれぞれの越えるべき壁を乗り越えたトニーとローディ。しかしこの物語には最大の障壁とも言うべき存在がいました。オバディア・ステインです。トニーの会社を乗っ取り、自殺寸前まで追い込めた張本人です。今や最後の壁として君臨するオバディア。最終決戦に向け、物語は加速的に進み始めます。
f:id:ELEKINGPIT:20220425141519j:imageIRON MAN #199

 

前回はこちらelekingpit.hatenablog.com

 

〈あらすじ〉

ベサニー・ケイブが拐われた! オバディア・ステインの陰謀により次々と誘拐されるのは、かつてトニーと友情を結んだ仲間たちだった。更にマキシマム・サーキットを破壊するために送り込まれたサーキット・ブレイカーは、アイアンマン1人で勝てる相手ではなかった。再起の兆しを見せるトニーへ、オバディアが打った一手はチェックメイトに至るのか?

 

〈オバディアの一手〉

再起を果たしたトニーに、ある日ベサニー・ケイブが誘拐されたという連絡が入ります。ベサニーとはトニーの元パートナーであり、DEMON IN A BOTTLE編では禁酒を支えた人物です。大の男でも返り討ちにしてしまうほどのベサニーが拐われたとは、恐らく集団で襲いかかったに違いありません。犯人は恐らくオバディアが雇った傭兵の一味でしょう。急ぎ旧式のアーマーを着用して追うトニーですが、最新型の軍用ヘリにはアイアンマンの速度ですら追いつくことができません。悔しさとイライラを滲ませながら次の一手を考えるトニーですが、有効な策が何も思い浮かばないまま時間ばかり過ぎてしまいます。ベサニーを誘拐したならばなにか目的があるはず、恐らく無意味に殺すことはしないだろうと無事を祈るしかありません。そんな時、上空からマキシマム・サーキットへ突撃しようとする飛翔体をローディが捕捉します。アーウィン博士らと共に立ち上げた会社をあっさりと破壊されるわけにはいきません。ミサイルを打ち込みながら突っ込んでくる飛翔体へ、トニーとローディの2大アイアンマンが立ち向かいました。
f:id:ELEKINGPIT:20220427015054j:image2大アイアンマンvs謎の飛翔体。鋼鉄の装甲をも溶かすレーザー光線に、高威力のミサイルを連射する超危険な兵器に立ち向かう術とは?

 

同刻、オバディアはステイン社(旧スターク社)から2人のアイアンマンが戦う様子を観察していました。謎の飛翔体は、サーキット・ブレイカーと名づけられたステイン社の秘密兵器です。トニーの元パートナーであり現在は宿敵マダム・マスクと手を組んだオバディアは、自らの過去を語り始めます。オバディアは8歳の頃、ギャンブルにのめり込んだ父が目の前でロシアンルーレットを始め、自殺した姿を目撃。信頼していた唯一の肉親の死に凄まじいトラウマを覚えたオバディアは、以来一切髪の毛が生えないほどの深い心の傷を負います。それまではごく普通の子どもだったオバディアは、以来人生はゲームに過ぎないという境地に辿り着きます。チェスが得意だったオバディアは、その類まれなる頭脳を生かして、まるで駒を動かすように様々な策略を張り巡らせることで現在の地位に立ちます。そしてトニーを再びアルコール中毒に堕とし、この地位を磐石なものにしようとしていたのです。サーキット・ブレイカーの敗北を知ったオバディアは、作戦を次の段階へ移します。アーボガスト夫人やペッパーらトニーと親交のあった人々を次々と誘拐、ジワジワとトニーを孤立させます。大切な物や人を奪えば人間は想像以上に脆いということを、オバディアは誰よりも知っていました。それはあまりにも残酷で卑怯な一手でした。トニーを再びアルコール中毒者に陥れるには? 目の前で親しい人を殺せば良いのです。
f:id:ELEKINGPIT:20220427020827j:imageトニーの目の前で爆破されるマキシマム・サーキット。再びトニーの心をくじくため、残忍非道な殺人が行われた。

 

〈人生とはゲームである〉

最初はチェスのコマを模したヴィラン軍団の「キング」として登場し、以来様々な方法でトニーに立ち塞がったオバディア。トニーの物語史上間違いなくトニーを最も追い詰めたヴィランであり、策略家として自分は直接手を汚さない手段はマンダリン等他の宿敵とは違った印象があります。MCU1作目のアイアンマン(無印)でもラスボスとして描かれ、その残忍っぷりが描かれたオバディア。ではオバディアの強さとはなんでしょうか? 明かされた過去やこれまでの行動を元に考えたいと思います。

人生とはゲームである、という言葉は、目の前で父が自殺したオバディアが悟ったいわば座右の銘です。人生とは所詮ゲームに過ぎず。上手く駒を進めた者こそが勝者になるという考え方です。しかしチェスと違う点は、指し手自身も駒である、ということでしょう。チェスト違い、このゲームは駒それぞれに意思があり自らの考えで動きます。ならばそれらを束ねて動かすことが出来れば、このゲームの「指し手」になれるのです。オバディアにはそれができる頭脳とカリスマ性がありました。しかしそれだけがオバディアの強さではありません。

さて、皆さんは取引において最も大事なこととはなんだと考えますか? 私はリスクに見合ったリターンが得られるかどうかの見極めであると考えています。自分がどれほどの損害を負えばどれほどの利益を出せるのか。具体的な数字がない事案であればあるほどその見極めは重要です。一方で、見極めることさえできれば相手の動きを先読みした動きが出来ることでしょう。相手に利があるのは○○であるから、私は××すればそれを阻止できるだろう、といった具合です。損得を何度も勘定し、利害を計り、取引を進めるのです。トニーのいわゆる「未来視」とはこの能力が極めて高いからこそできる芸当でしょう。しかしトニーはオバディアの行動の先々を読むことが出来ず、結果ホームレスまで身を堕とすこととなりました。何故か? オバディアの取引には損得勘定がない、または壊れているからでは無いでしょうか? 自分がより危険になる選択をあえて取ることで動きを読まれにくくしているのです。例えばオバディアが自らの正体をトニーへ明かす回、後の展開を思えばその必要は一切なかったはずです。またIRON MAN #172では書類1枚で会社の乗っ取りが失敗するかもしれない状況でした。あえてなんのリターンもないリスクを背負うことで、オバディアの行動はよりミステリアスになったと言えます。オバディアはこのゲームを指し手として最も楽しんでいたのです。

TALES OF SUSPENSE #56

自分こそがアイアンマンだ、という確固たるアイデンティティを確立する以前、トニーは何度も「アイアンマン」の存在に悩まされ続けていました。アイアンマンとトニーの二重生活、卑劣で凶悪な敵の数々、終わることの無い死と隣り合わせの戦い……超人ではないトニーが過ごすには地獄の日常だったのでしょう。さて今作では、そんな耐えきれない重荷から、トニーがアイアンマンを辞めようとしたお話です。最初期の作品である今作、「アイアンマン」との向き合い方を、後年の作品と比較しながら読み進めるのもまた面白いかもしれません。
f:id:ELEKINGPIT:20220423211646j:imageTALES OF SUSPENSE #56

 

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〈あらすじ〉

ある日、アベンジャーズからアイアンマンへ緊急連絡が入った。凶悪なヴィランであるユニコーンの捜索を依頼しようというのだ。しかしトニーはこれを拒否。なんとボディーガードのアイアンマンは長期休暇に出ているらしく……!?

 

〈脅威のパワーホーン〉

スターク社は騒然としていました。社長室の付近から落雷のような轟音が何度も響き渡っているのです。正体はアイアンマンでした。トニーはアイアンマンとして生きることへの抱えきれない悩みに耐えきれず、アーマーを着たまま辺りを殴りまくっていたのです。ペッパーから心配の電話を貰いようやく落ち着きますが、とてもヒーローとの二重生活を続けれる精神状態ではありません。限界を感じたトニーは、アイアンマンを「長期休暇中」ということにし、しばらくの間アイアンマンを辞めることにしました。こうすれば仕事もプライベートも充実。アイアンマンになる以前の生活に近い日々を過ごし、一抹の違和感を覚えながらも楽しげな表情を見せていました。アベンジャーズから緊急連絡が入ったのはその時です。なんでも凶悪なヴィランユニコーンを捜索して欲しいのだとか。当然トニーは拒否、長期休暇中のアイアンマンはまだ帰ってきそうにありません。
f:id:ELEKINGPIT:20220423220749j:imageアベンジャーズすら警戒するほどのヴィランユニコーンを噂によるとアイアンマンを執拗に狙っているらしいが……?

 

数日後、幸か不幸かユニコーンはスターク社の工場に姿を現します。なんとユニコーンはアイアンマンを倒そうと、まるで道場破りのように名乗り出ました。しかしトニーは不在。これ以上工場の設備を破壊されないため、果敢にもハッピーが飛びかかります。元プロのボクサーであり、現在でも街のゴロツキ程度なら一瞬でK.Oできる腕前を持つハッピー。しかしユニコーンは街のゴロツキとは比べ物にならないほどの強さでした。ハッピーが手も足も出せないほど殴られ、最後にはユニコーンの必殺光線、パワーホーンをまともに浴びせられてしまいます。更にユニコーンはペッパーを誘拐、アイアンマンを誘い出すための人質としました。トニーがスターク社襲撃の連絡を受けたのは、ハッピーが瀕死の重傷で病院に運び込まれた時です。
f:id:ELEKINGPIT:20220423222643j:image必殺のパワーホーンを直撃させられるハッピー。アイアンマンさえいれば起こらなかったはずの悲劇だ。

 

ハッピーが担ぎ込まれた病院へ急行するトニー。医師へ最高の設備と最高の治療を懇願しますが、現状では奇跡を待つ以外方法はありません。もしあの場にアイアンマンがいたら。ハッピーが瀕死になることも、ペッパーが連れ去られることもなかったはず。アーマーを着用する覚悟は既に決まっていました。一方ユニコーンは、拉致したペッパーに何故自分がアイアンマンを追いかけるのか、その理由を語っていました。ユニコーンのパワードスーツは元々、「かの国」で初代クリムゾン・ダイナモであるヴァンコ教授と共同開発したものです。必殺光線のパワーホーンは砲弾もミサイルも撃ち落とし、光線を応用したエネルギーフィールドを形成すれば1000トンもの爆薬から身を守ることすら可能。この最強の装備を使ってアイアンマンを倒すことで、資本主義の愚かさを証明しようというのです。アイアンマンが襲いかかってきた時も恐ろしげな自信に満ち溢れるユニコーン。2人のアーマーが命懸けの激突を始めます。
f:id:ELEKINGPIT:20220423224208j:image怒りに震えるアイアンマンと戦うユニコーン。アイアンマン必勝の策を仕込んだと豪語するが……?

 

〈守れないもの〉

誰もが羨む大金持ちであり、稀代の天才でもあるトニー。一見するとこの世のあらゆるもの全てを手にしているかのような完璧人間です。しかし今作でのトニーは、それをなんの意味もないものだと一蹴していました。そんなものはアイアンマンとして生きていくのに何の役にも立たないと言うのです。ならばアイアンマンを捨ててしまえ、と考えたのが今作。トニーの気持ちを思えばこの決断に至るのは仕方の無いことでしょう。しかしそれでは愛する2人の親友すら守れないと気付かされます。トニー・スタークではハッピーもペッパーも守ることが出来ないのです。ならば捨てるべきはトニー・スタークだったのでしょうか? それも違うことが今作では示されています。トニーは大企業の社長です。従業員全ての生活を守るという責任があるのです。これはアイアンマンには決してできる仕事ではありません。問題はトニーがこれに気付いていないということ。アイアンマンでなければ誰も守れない。アイアンマンならば皆を守れる。トニー自身が確立したアイデンティティは薄氷のように危うげなものです。

WHAT IF? IRON MAN DEMON IN AN ARMOR

本編では描かれない、または有り得ないような世界を見せてくれるWHAT IF? シリーズ。本編で選ばれなかったもう1つの世界や、そもそも本編とは全く違う新たな世界が描かれたりと、マーベルユニバースに広がる無限の世界を堪能できます。さて、今回紹介するWHAT IF? は、「もしもトニーがDr.ドゥームになったら?」です。ライターはあのDEMON IN A BOTTLEやARMOR WARSを担当したデビッド・ミッシェリーニ氏。本編では絶対に見れない新たなトニーの姿に目が離せません。
f:id:ELEKINGPIT:20220422184323j:imageWHAT IF? IRON MAN DEMON IN AN ARMOR

 

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〈あらすじ〉

今から15年前、ドゥームのルームメイトとなったトニーはゆっくりと友情を築いていた。トニーの高い才能を認めたドゥームは、ある日自らの秘密ラボをトニーへ披露する。この時トニーは知らなかった。これが人生を変える最大の転機であることを。

 

〈もしもトニー・スタークなら〉

ラトベリア(ヨーロッパに位置する架空の小国)からやってきたビクター・フォン・ドゥームは、奨学金で大学に通う優等生でした。ある日、真面目に勉強に励むドゥームの元へ新たにルームメイトとして暮らすこととなったトニー・スタークがやってきます。トニーはスタークインダストリーズのCEO、ハワードの御曹司。親の金で大学に通い、毎日のように遊び歩き、その上誰よりも天才。自分ないものを全て持っているような人間にドゥームは不快感を覚えます。とはいえそこはルームメイト。知的な会話や日常を過ごすうちに、腐れ縁のような友情が芽生えていました。そんなドゥームは、トニーへ地下の秘密ラボまで案内します。大学の施設から設備をこっそり借りて作ったこのラボは、ドゥーム取っておきの研究が進んでいました。しかしどうしても行き詰まってしまい、トニーの力を借りたいというのです。その研究はなんとテレキネシス。成功すれば世界はより大きな発展を見せることでしょう。こんな提案を受けないトニーではありません。2人は協力してテレキネシス発生装置の製作に取り掛かります。2人の天才が挑めば、装置も数週間で完成しました。早速装置の実験を始めようとトニー。ここでドゥームはほくそ笑みます。実はこの装置、テレキネシス発生装置ではなく、互いの人格を入れ替える装置だったのです。ドゥームはトニーを騙して早速装置を起動、計画通りトニーと入れ替わることに成功しました。
f:id:ELEKINGPIT:20220422235618j:imageトニーと人格を入れ替えるドゥーム。2人の人生は大きく別れることとなる。

 

この事件以前の記憶を失い、名も金も全て失ったトニーは、孤独にビクター・フォン・ドゥームとして苦難の日々を過ごし始めます。一方ドゥームは目論見通りトニーの人生全てを盗むことに成功。ハワードも死に、地位も財産も名誉も、これまで自分には縁遠かったものも含め全てを手に入れ、トニー・スタークとして新たな人生をスタートさせます。以来ドゥーム(トニー)は勉学に励み、新たな特許を元に会社を設立。ドゥームインダストリーズとして世界的な企業まで成長させます。一方トニー(ドゥーム)は、スターク社を新たにスターク・ユニバーサルと改名。しかしドゥームインダストリーズの躍進や、トニー(ドゥーム)の強引なやり方に不満を持つものも少なくない様子。世界的な企業ではあるものの、業績はジワジワと悪くなるばかりでした。そんなある日、トニー(ドゥーム)の元にある報せが届きます。ドゥームインダストリーズが新たなエネルギー源、アークリアクターを完成されつつあるというのです。もしアークリアクターが完成すれば、スターク社はこれまでにないほどの苦境に立たされるでしょう。トニー(ドゥーム)は密かに開発していたバトルスーツを身に纏い、アークリアクター破壊へ動き始めます。ドゥーム(トニー)にアークリアクターが破壊されたと報告されるまでそう時間はかかりませんでした。ドゥーム(トニー)は人命救助を目的とし、ラトベリアに古くから伝わる伝説を元にしたアーマーの着用を決意。こうしてアイアンマンvsドクタードゥームの戦いは始まったのです。
f:id:ELEKINGPIT:20220423002823j:image遂に対峙するトニーとドゥーム。まるで運命のいたずらかのように2人は戦っていた。

 

〈ドゥームが目指した理想〉

ドゥームの視点では、トニーはありとあらゆるもの全てを手に入れた人物でした。才能も、地位も、名誉も、家柄も、金も。だからこそトニーの人生を盗み出すことで全てを手に入れようとしたのです。ところがその後のドゥームは自分が描いていた理想とは程遠い人生を歩んでいました。時に手段を選ばない仕事っぷり、ドゥームインダストリーズの台頭で悪化する会社の業績。手に入れたはずの「全て」は徐々に失われてしまいました。一方トニーは、孤独な生活のままアルコール依存症を患ってしまいますが、これをなんと自力で回復。立ち上げたドゥームインダストリーズはラトベリアの生活全体を豊かにするほど大きく発展して行きます。失ったはずの「全て」を徐々に取り戻しつつあったのです。本来ドゥームが目指していた世界は、常にトニーが叶えていたのです。何故ドゥームは自らの理想を叶えられなかったのでしょうか?

作中で示された答えはただ1つ、ドゥームの傲慢さでした。トニーもドゥームもある意味では傲慢ですが、2人の傲慢さはベクトルが違います。トニーの傲慢は、言うなれば「自分は出来るはずなのだから、その才能を他人のために捧げよう」というものです。これは本編(アース616)のトニーのも共通しています。持つ者は持たざる者のために尽くすべき、という考え方です。一方ドゥームは「自分が最も優れているのだから、他人は従うべき」というもの。アークリアクターを破壊しようとしたのが正にこの傲慢さの表れです。自分第一か、他人のために動くのか。あなたはどちらのリーダーを選ぶでしょうか? 一見小さな違いに見える2人の「傲慢」は、互いを衝突させるほど大きな溝だったのです。

IRON MAN #195〜#196

トニーが再びヒーローの精神を取り戻した前回。一方、ローディを襲い続けた謎の頭痛の原因は未だ不明のままストーリーが進行していました。トニーとローディの2人に残された最後の課題です。2人のアイアンマンが誕生する瞬間は見逃せないでしょう。
f:id:ELEKINGPIT:20220419123612j:imageIRON MAN #196

 

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〈あらすじ〉

ピム博士の助言の元、アルファ・フライトのヒーロー「シャーマン」を訪ねたローディ。シャーマン曰く、なんとローディを悩ませていた頭痛の原因は魂にあるというのだ。

 

〈頭痛の種〉

トニーやピム博士ですら解明できなかったローディの頭痛の原因。そこで生物学的な原因はないと考えたピム博士は、シャーマンに会いにいくよう伝えます。カナダを防衛するヒーローチーム、アルファ・フライトに所属するシャーマンは、不思議な魔術を扱う魔法使いです。なんとシャーマンはローディを見ただけで頭痛の原因を推測しました。「魂」です。と、言われても「?」となってしまうでしょう。実際ローディもピンと来ていない様子。そこでシャーマンは「名もなき別次元」へローディを連れていきます。そこは言葉では形容しがたい摩訶不思議な空間。それも雨粒が大岩に変わって降ってくるなど、無敵のアーマーがなければ到底生き残れないような世界です。自らの身を守ることで精一杯な時にシャーマンは禅問答のような会話を開始しました。頭痛も始まり、一見意味のわからない会話にイライラし始めるローディ。しかし無駄のように思える会話を続けているうちに、脳内で「声」が響いてきました。声の主はローディの魂自身。ローディの心根が語りかけたのです。どれだけ取り繕おうと相手は自身のいわば本音。とうとう根負けしたローディは、自らが抱えていた「罪悪感」の懺悔を始めます。
f:id:ELEKINGPIT:20220419195949j:imageローディが抱えていた「罪」の告白。それこそがローディの頭痛の種だった。

 

ローディの罪悪感。それは本来トニーが着るべきであろうパワードスーツを自分のものであるかのように着用していたことでした。幼い頃からヒーローに憧れていたローディが、その願いを最も充足させた瞬間がアイアンマンだったのです。だからこそトニーと戦うほど焦ってしまったのです。ローディはこの名もなき別次元にパワードスーツを脱ぎ捨てることで頭痛を消し、脱することに成功しました。パワードスーツはまたトニーが作ってくれることでしょう。ローディの表情は晴れ晴れとしていました。一方その頃。前回巨大な恐竜を暴れさせた真犯人であるドクター・デモニクスは驚くべき発見をしました。なんとトニーが脱ぎ捨てたパワードスーツを見つけたのです。初期に作ったパワードスーツと大差ない性能だとしても、並の天才では到底たどり着けない科学技術の結晶。これを使ってドクター・デモニクスはアイアンマンへ復讐しようと考えます。そして同刻、名もなき別次元では不可解な精神体「オムノス」がローディの捨てたパワードスーツへ取り付き、現世へとやってきました。2人の「アイアンマン」がトニー達の命を狙います。
f:id:ELEKINGPIT:20220419224338j:image激突する偽アイアンマンvs偽アイアンマン。事態を収めようと動き出したトニーの秘策とは……?

 

〈脱アーマー〉

それぞれの抱える問題を順調に解決し、万事復活となりつつある今回。「アイアンマン」として復活するために2人が取った行動は、偶然にも「アーマーを脱ぐこと」でした。この行動にはどのような意味があるのでしょうか?

物語の構造には、「狭い道を抜けると不思議な世界が広がっていた」というものが多く見られます。千と千尋の神隠しがまさにそれです。狭い道を通ってたどり着いた異世界での暮らしから成長した千尋は、再び狭い道を通ってこの世に戻ってきます。これを「生まれ直し」と捉えることも出来るでしょう。狭い道を経由して成長することで、以前とは違うようになるのです。さて、今回と前回の「アーマーを脱ぐこと」とは、この構造に極めて近いものだと言えます。アーマーを着用したことで逆に負の側面に囚われた2人は、アーマーを脱ぐことで開放されたのです。しかしトニーはホームレス生活を始めるにあたり、アーマーをローディへ託したはず。そしてローディもアーマーを脱いで生活することがあったはず。これは「アーマーを脱ぐこと」に該当しないのでしょうか? 2人の様子を見れば当然違います。ここでの「アーマーを脱ぐこと」とは、アーマーから解放されるということなのです。アイアンマンを引退していたトニーは、その恐怖に囚われていました。そしてローディはアーマーの万能感に魅せられ続けていました。それらを捨てることこそが「アーマーを脱ぐこと」なのです。そしてアーマーの力ではなく、自分の手足で立つことこそ、アイアンマンに求められていることなのです。

IRON MAN #193〜#194

崩壊しかけたローディとの絆を取り戻した前回。拳を混じえてでも親友の善性に訴えかけたトニーでしたが、暴走するローディを止めるためにアーマーを着用して説得していました。もう戻るつもりは無いと誓ったアイアンマンへの道に戻りつつあるのです。
f:id:ELEKINGPIT:20220415230052j:imageIRON MAN #193

 

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〈あらすじ〉

アーマーを脱ぐことで敵意がないことを示し、和解したトニーとローディ。再び強力タッグを組んだ2人は、ローディの悩みの種だった頭痛の対処に当たることに。だが一方、ウエストコーストアベンジャーズにはかつてない危機が迫っていた。チームを救うにはトニースタークの力を借りるしかないが……

 

〈オリジナル・アイアンマン〉

決死の説得で和解に至ったトニーとローディですが、ローディは既にアイアンマンを続けられないほどダメージを負っていました。というのも、ローディはアーマーの着用中に激しい頭痛に苛まれていたのです。当初はヘルメットに内蔵された脳波の受信機がトニー用に調整されていたことかと思われましたが、ローディ用に改造しても一向に良くならないばかりか、より悪化してしまいました。これではアイアンマンとして戦うどころではありません。トニーはローディへ、ピム博士に見てもらうように助言します。そして自身は戦えなくなったローディに代わり、ウエストコーストアベンジャーズへ休暇の報せを届けに向かいます。ウエストコーストアベンジャーズに緊急連絡が入ったのはその時です。なんとタイグラが巨大な恐竜に追われていると言うではありませんか。ローディが戦えないのならとトニーへ協力を持ちかけるホークアイ。しかしトニーは、トラウマのようにこびり付いたアルコール依存症の恐怖から断ってしまいました。
f:id:ELEKINGPIT:20220415234244j:image相棒の信頼を失い、会社を失い、財産を失い……同じ失敗を繰り返したくはないと、トニーはアイアンマンになることを拒絶する。

 

頑なにアイアンマンとして戦うことを拒否するトニーを見て、ホークアイは諦めたように出動します。とはいえ今のウエストコーストアベンジャーズでは巨大な恐竜に踏み潰されてしまう可能性も。トニーは1人静かになった基地で、シンと立ち尽くしていました。自分がアルコール依存症となって、多くの人々を傷つけてしまった。だから2度とアーマーを着ないと誓った。しかし今、アーマーを着なければ信頼する仲間達が傷ついてしまうだろう。トニーは迷宮に迷い込んだかのように悩み続けます。もし再びアーマーを着ることになれば、終わることの無いアルコール依存症との戦いが始まることでしょう。そしてもう1度負けてしまえば、今度はより多くの人々を傷つけてしまうかもしれない。何より、多くのものを失ってしまうかもしれない。しかし……トニーはクインジェットに乗り込みます。それでもヒーローに戻らない道を探しながら。現場ではトニーの予想通りホークアイらが苦戦していました。いくら経験豊富なヒーローといっても、身体能力が鍛え研ぎ澄まされた一般人と大きな差はないようなものです。絶対に勝ち目のない戦いに挑むホークアイ達の姿に、トニーは深い驚嘆を捧げます。そしてヘルメットを被り、ついにその時がやってきました。
f:id:ELEKINGPIT:20220416001916j:imageホークアイに代わり巨大な恐竜と戦うトニー。鉄の闘志にようやく火がついた。

 

〈アイアンマン(仮)〉

再びアイアンマンとして立ち上がる決意を固めたトニー。思えば初めてアーマーを着用した時も、インセン教授を守り、共にジャングルから脱するためでした。トニーが戦う時は常に誰かを守るためなのです。しかし、前回も同様一時的にアーマーを着用しただけなのでは? と疑念をよぎらせてしまう自分もいます。今のトニーはアイアンマン(仮)のような状態。ローディが帰ってくるまでの代打でしかないのでは?

本作ではそれをキッパリと否定するシーンがありました。それは、燃料不足で海中に落ちてしまった場面です。トニーは巨大な恐竜と戦った後、無人島まで恐竜を運ぼうとします。しかし途中燃料不足で墜落、溺れ死にそうになってしまいました。そこでトニーは100キロ近いアーマーを全て脱ぎ捨て、泳ぐことで生還します。トニーにとって、このアーマーはいわば「保険」でした。どこかで感じていた、いつかはアイアンマンにならなければならないであろうという義務感を慰め、ローディのアーマーの半分以下の性能にすることで、決してアイアンマンにはなれない、いわば中途半端なアーマーです。しかしトニーはそれを脱ぎ捨てました。最早トニーにとって必要ないものとなったのです。引退前から構想されていた新アーマーが完成するまでは、それまでのアーマーを着ることでしょう。しかしそのアーマーは「保険」ではありません。トニーはようやくアイアンマンとして復活したのです。

AVENGERS(1998)#5〜#6

復活して早々モーガン・ル・フェイの世界征服に立ち向かったアベンジャーズ。そんな地球最強のヒーローチームが次に挑むのは、もう1つの地球最強のヒーローチーム、スコードロン・スプリームです。平行世界からやってきたスコードロン・スプリームは、なんとDCコミックのヒーローチーム、ジャスティス・リーグを模したチーム。時にアベンジャーズとは相容れないこともありますが、同じ地球を守ってきた同士として厚い信頼関係が築かれています。ジャスティス・リーグと見比べて、どのようなヒーローのパロディが登場しているのか探してみるのも面白いでしょう。
f:id:ELEKINGPIT:20220413141810j:imageAVENGERS(1998)#5

 

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〈あらすじ〉

モーガン・ル・フェイの魔の手から世界を救い、再び世界の守護者として立ち上がったアベンジャーズ。世界中から歓迎される中復活となったが、中にはそれを快く思わない者もいた。ある日政府から依頼を受けたアベンジャーズは、極秘任務を帯びた飛行機の墜落事故救出に向かう。そこに現れたのは、もう1つの地球最強のヒーローチームだった。

 

〈伝説のヒーローチーム〉

今やニューヨーカーの観光名所となりつつあるアベンジャーズマンション。アベンジャーズの本部として有名なこの建物は、ある日重大な任務を政府から受信していました。緊急招集されたアベンジャーズ。任務の内容は、墜落した飛行機の救出作業を行って欲しいというものでした。なんでもその飛行機は極秘の重要任務中に墜落したのだとか。その任務も、かつてアベンジャーズと戦ったサノスの宇宙船を調査するため。表向きは旅客機を装っていますが、なるほど外部に知られれば混乱を招く要素ばかりです。アベンジャーズはすぐさま現場の海上へ出動しました。海上では誰が知ったか既にマスコミが押しかけていました。更に救助作業を始めようとした瞬間、天から怒声が降ってきます。見上げると、そこに居たのはスコードロン・スプリームでした。
f:id:ELEKINGPIT:20220414102500j:image空から現れたスコードロン・スプリーム。その様はアベンジャーズの敵意を隠そうともしない。

 

救助作業を手伝うのかと思われた途端、スコードロン・スプリームはいきなりアベンジャーズへ襲い掛かりました。激しくぶつかり合う両チーム。スコードロン・スプリームは、アベンジャーズを何度も偽物と呼び、強く怒りを露わにしていました。一方敵の攻撃で吹き飛ばされたアイアンマンは、墜落した飛行機のほぼ真下の海底でサノスの宇宙船を発見します。しかも既に何者かがサルベージを始めているではありませんか。この事件には何か裏があるに違いないでしょう。とはいえ今は戦闘中。これ以上調査する暇もなく、すぐさま戦線に復帰します。不意をつかれたとはいえ、アベンジャーズは苦戦していました。アベンジャーズに負けず劣らず様々な超人が集うスコードロン・スプリームの能力に翻弄されっぱなしだったのです。更にスキをついたスコードロン・スプリームが、なんと飛行機を救出。これ以上ここに留まる理由はないとキャップが退却を命令、初戦はアベンジャーズの敗北に終わってしまいました。実力も精神もアベンジャーズと同等のスコードロン・スプリーム。そんな名士達が何故アベンジャーズに立ちはだかったのでしょうか? テレビでは今のアベンジャーズを偽物と糾弾する、チームリーダーのハイペリオンが全面的に映し出されていました。もしやスコードロン・スプリームは洗脳されているのではないか? アベンジャーズの頭には確信に近い推理が頭をよぎります。実際過去、アベンジャー同士が戦った原因の殆どは洗脳により操られていたことです。すぐさま可能性の高いヴィランをリストアップ。一方、外では何かの騒ぎが起きていました。なんとアベンジャーズの調査を嗅ぎつけたスコードロン・スプリームが再び登場したのです。
f:id:ELEKINGPIT:20220415012902j:image再び対峙する2大最強チーム。何故両チームは戦わなければならないのか?

 

動揺するアベンジャーズですが、戦闘は容赦なく始まります。互いの能力をフル活用したバトル。互いの揺るがない信念の衝突。どれをとっても世界最高峰のレベルでしょう。しかしその戦闘はそう長く続きませんでした。キャロルの直感的推理により、敵の正体が露わになったのです。それは政府の極秘チーム、プロジェクトペガサスの長官に扮していたコラプターでした。コラプターは自身の精神操作能力を活かし、スコードロン・スプリームを手先にして操っていたのです。そうと分かればあとは簡単。洗脳されているならそれを解けばいいのです。スカーレット・ウィッチのヘックスパワーがスコードロン・スプリームへ必死の呼びかけをします。
f:id:ELEKINGPIT:20220415015110j:image徐々に自我を取り戻すスコードロン・スプリーム。奇跡を起こすヘックスパワーだからこそ出来た芸当だ。

 

アベンジャーズの信頼度〉

スコードロン・スプリームによって偽物疑惑をかけられたアベンジャーズ。その後の世間の反応は詳しく描写されていませんが、後にこの疑惑が取り消されても少なからず影響を与えたことは想像に難くないでしょう。ではアベンジャーズの偽物疑惑を世間はどのように受け取ったのでしょうか?

さて、まずはここで当時のマーベルユニバースの状況を見ていきましょう。かつてアベンジャーズのほとんどが全滅したオンスロートとの戦いからしばらく経った後、政府は新たにサンダーボルトと呼ばれる新ヒーローチームを創設します。元ヴィランを改心させて結成されたこのチームは、後に変身型宇宙人スクラル人との戦いでダメージを受けてしまいます。このスクラル人は他人の姿をコピーする能力を持っており、「死んだと思われた人物が実はスクラルで、本物はどこかで生きていた」なんてケースもしばしばあるほど。アベンジャーズが突如復活したのはまさにそんな時でした。全滅したと思われていたアベンジャーズが一斉に、それも市民が納得出来るほど十分な説明も無く復活したのです。#1〜#4では歓迎する市民の姿が多く描かれていますが、復活したと知った高揚感が人々の疑念を上回っていただけとも解釈できます。もしそんなムードが漂っていたとしたら、それに一石投じたのがスコードロン・スプリームの告発でしょう。両手を挙げてアベンジャーズを信じきる人がどれほどいるのか? ヒーロー社会を描く物語はほぼ必ず、いつかヒーローへの不満が市民の間で爆発するまで溜まってしまいます。こうした小さな蓄積がヒーローへの不信を生んでしまうのかもしれません。そしてマーベル史上最大の悲劇とも言われるシビル・ウォーへも……?