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MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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IRON MAN vol1 BELIEVE

MARVELのヒーローと言われれば、皆さんは誰を思い浮かべますか? キャプテンアメリカスパイダーマンX-Men……長い歴史の中で生まれた数々のキャラクターは文字通り枚挙に遑がありません。しかしMCUの大ヒットで、アイアンマンを挙げる人も多いはず。今回は、映画アイアンマン3が公開される直前に刊行されたコミック、IRON MAN BELIEVEを紹介したいと思います。

アベンジャーズX-Menの一大決戦を描いたAvengers vs X-Menを終えたMARVELはMARVEL NOWというキャンペーンで多くの作品へリランチ(ドラゴンボールドラゴンボールZNARUTONARUTO疾風伝にするようなもの)を行いました。今回のIRON MANシリーズも例外ではなく、少ない知識さえあればここから読んでも楽しめる内容となっています。また幸いなことに主要な関連コミックは日本語版も発売されておりますので、この機会に手に取ってみてはいかがでしょうか?


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IRON MAN BELIEVE

 

関連する日本語版コミック

アイアンマン:エクストリミス

アイアンマン:ホーンテッド

これらを読まなくても楽しめるコミックとなっています

 

〈あらすじ〉

マヤ・ハンセンが殺された。彼女の開発した究極の発明品、エクストリミスが狙われたのだ。やがて闇オークションで世界中へばら撒かれたそれを破壊しようと、トニー・スタークが動き出す。1歩間違えば命を奪いかねない禁断の研究を止めるために……。

 

〈トニー・スタークの信じる未来〉

冒頭、トニーは自らの信じるものを再確認します。それは未来、自分の発明でもたらされるであろう理想の世界です。100年先の未来を見通す天才と言われるトニー。それまでも最悪の明日を回避し、孫の世代をより豊かにすることを目指してきました。スーツを着るだけではアイアンマンになれないということは映画でも多く描かれたことでしょう。コミックではそれに加え「未来を目指すテストパイロット」という役割も背負っているのです。
f:id:ELEKINGPIT:20210813210928j:image輝く町を見下ろすトニー。サンタも神も信じない彼が唯一信じるものは人々の豊かな将来のみ。

そんな時に、マヤハンセンの訃報とエクストリミス強奪のニュースを知ったのです。

 

〈「負の象徴」エクストリミス〉

ここでそもそもエクストリミスとは何なのかを振り返ってみましょう。エクストリミスとは、生物学者のマヤ・ハンセン博士が生み出した究極の生体ナノボットです。これを摂取したものは数日間仮死状態となり、人体の青写真を書き換えられるのです。結果摂取者は超人的な身体能力と何らかの特殊能力(火を操る等)を得ます。また不治の病を治したりあらゆる環境に適応させることも可能。これさえあれば薬もプロテインも不要になるでしょう。

しかしそんなエクストリミスにも無視できない大きなリスクがあるのです。人体の青写真を書き換えられる過程で、なんと致死率97.5%という危険性が伴うのです。200人中195人が死亡する計算。無視できるものではないでしょう。またこれまでエクストリミスの関わる事件は全て死亡者を出してきました。

マヤ・ハンセン博士と信頼関係にあるトニーは、エクストリミスを科学の負の象徴とすら考えていました。ある事情で自身に摂取したエクストリミスが失われて以来一切関わろうとしなかったトニー。彼にとって禁断の発明品が闇オークションに出品されたのです。
f:id:ELEKINGPIT:20210814094827j:image「望むものなんでも叶えてくれます」と豪語するオークションのオーナー。この言葉を信じた4人が危険極まりないキットを手に入れた。

 

〈4つのエクストリミス〉

闇オークションに潜入したトニーは残るエクストリミスの破壊に成功しましたが、既に4つのキットはバイヤーの手に渡っていました。そこでエクストリミスの発する信号を追い、各個破壊することを決意します。これに5話中3話以上費やしますが、長くなってしまうため今回はざっくりと見ていきましょう。

 

ある日エクストリミスの信号を探すトニーの元へ挑戦状が届きます。彼らはザ・サークル。1人1人が円卓の騎士の名を冠するこのチームは、エクストリミスを使って最強のバトルスーツを開発しアイアンマンに3本先取の五番勝負を挑んだのです。

f:id:ELEKINGPIT:20210814125603j:imageエクストリミス摂取者とエクストリミス搭載スーツでアイアンマンを超えようとするザ・サークル。開発者はかつてアイアンマンスーツのリパルサーを改良した科学者だった。

 

次にトニーが挑んだのはアメリカの麻薬王。マフィアの間でエクストリミスが広がるとさらなる悲劇も容易に想像できるでしょう。トニーはステルス機能を搭載したスーツで潜入、その目的を知ります。それは末期ガンに犯された少女の治療です。
f:id:ELEKINGPIT:20210814132334j:image判明した時点で既に治療不可までガンが侵攻していた少女。麻薬王はエクストリミスでの治療を試みるが、トニーは彼女の遺伝子配列ではエクストリミスに耐えられないことを見抜く。

続いてトニーはパリの地下墓地を訪れます。なんとそこは13もの信号を発しており、既にエクストリミスの広がりを予感させます。その時突如彼を襲撃したのは、謎の刺青を持つ集団でした。
f:id:ELEKINGPIT:20210814135424j:image奇声を上げながら襲いくる正体不明の集団。その正体は、悪魔崇拝者がエクストリミスを使って作り上げた「器」だった。

 

最後に登場するのはトニーの旧友、エリの夢でした。彼は母なる地球をこれ以上人類の手で傷つけないように、その住処を宇宙コロニーに移そうとしていたのです。しかしそのためには宇宙コロニーに適応出来る体が必須。彼は夢のためにトニーの封印したエクストリミスを密かに手に入れたのでした。f:id:ELEKINGPIT:20210814141018j:imageエリの建造した宇宙コロニー。そこへ適応するためエクストリミスに目を付けるが、悪人も摂取することを知ったトニーは反対する。

 

〈大衆の信じる未来〉

これらの事件を次々と解決したトニーは、彼らの目指そうとした未来に思うところがあったようです。どんな夢でも叶えうる夢の生体マシン、エクストリミス。それを手に入れた人々はどんな未来を目指すのか? それはトニーの予想するものとは少しズレていたようです。
f:id:ELEKINGPIT:20210814142105j:image「エクストリミスキットを手に入れたものは皆未来への夢を持って、実行に移した。私はもしキットを手に入れたのかどうするのか考えていたんだ」自分の考える未来と比較するトニー。しかし自分の想像するより規模が小さかったようで……

私には「未来を目指すテストパイロット」を自負するトニーが少しガッカリしているようにも見えました。何故ならこれらは全てエクストリミスを使わなくても解決出来る問題なのです。4人ともそれぞれの事情でエクストリミスを頼ったに過ぎないのです。人々の目指す未来の小ささは、トニーにとって予想外のものでした。

ならば「未来を目指すテストパイロット」の役割とは? それはより大きな未来を人々へ見せることでしょう。これからトニーはどのような未来を見せるのか? それは次回以降のお楽しみ。未来のトニーに期待しましょう。