アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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YOUNG AVENGERS vol1 SIDEKICS

サイドキックという言葉をご存知でしょうか? 例えるならキャップとバッキーをのような関係性を表す言葉です。日本だと相棒という意味でよく耳にすると思います。お互いをかけがえのない存在として常に信頼しあう最高のコンビ。素敵な言葉ですよね。今回紹介するヤングアベンジャーズのサブタイトルにもこの言葉が使われています。ヤングアベンジャーズは誰のサイドキックなのかも考えながら読んでみると面白いかもしれません。
f:id:ELEKINGPIT:20210827153740j:imageYOUNG AVENGERS SIDEKICKS

 

〈あらすじ〉

ニューヨーク市民は最近ある噂がもちきりだった。まるであのアベンジャーズを思わせるようなコスチュームを来た若いヒーロー達が活動しているらしい。オリジナルにも負けず劣らずの実力に、若さゆえの焦りが見え隠れする新チームだ。人々は希望と期待を込めて彼らをこう呼んだ。ヤングアベンジャーズと。

 

〈新アベンジャーズ誕生?〉

ヤングアベンジャーズが登場した時期は、ちょうどオリジナルのアベンジャーズが解散していた辺りになります。アベンジャーズがいないというだけで不安な日々を過ごしていた人々も多いでしょう。ヤングアベンジャーズというネーミングはそんな人達の希望と期待感が伝わってきます。しかし当の「ヤングアベンジャーズ」はアベンジャーズを名乗るなど到底考えてもいませんでした。アベンジャーズ風のコスチュームはあくまで彼らへのリスペクト。憧れのアベンジャーズに敬意を表したに過ぎないのです。
f:id:ELEKINGPIT:20210827164847j:imageアイアンラッド(左上)、アスガルディアン(右上)、パトリオット(中央)、ハルクリング(中央下)の勇姿は正にアベンジャーズ。まだまだ未熟な部分も多いが、人々は彼らに希望を見出した。

 

〈アイアンラッドの未来〉

そもそもチーム名すら決めていなかった彼らは、なし崩し的にヤングアベンジャーズを名乗ることにしました。一方で「元」アベンジャーズのキャップ、アイアンマン、ジェシカ・ジョーンズは過酷な戦いへ身を投じるには若すぎると考え、彼らを解散させようと動き始めます。崩壊したアベンジャーズマンションで彼らを発見した3人は、リーダー格のアイアンラッドに正体と結成理由を聞くことにしました。彼の名はナサニエル・カーン。様々な時代を行き来する時空の支配者……その過去の姿だったのです。30世紀の未来から来たアイアンラッド/カーン少年は、征服者となった大人のカーンに自身の運命を聞かされ絶望します。そして最悪の運命を避けるために過去、つまり21世紀のアベンジャーズに助けを求めたのです。しかしアベンジャーズは解散した直後。少年はこの時代で絶望への反抗としてヒーローになることを決意しました。スターク社の倉庫で破壊されたヴィジョンのデータを手に入れた彼は、30世紀の未来の技術でアイアンマンをリスペクトしたコスチュームとスーパーパワーを持つ少年たちを仲間に誘ってチームを結成したのでした。つまりアイアンラッドが征服者カーンになる運命から逃れるために生まれたチームということです。
f:id:ELEKINGPIT:20210827171835j:image自らの将来を告げられるカーン少年。善の心を持つ彼にとっては耐え難い未来だった。

 

〈征服者カーン、襲来〉

征服者カーンといえば初期のアベンジャーズ以来何度も戦った強敵中の強敵。アイアンラッドの事情を聞いたキャップは増々反対の意思を固めてしまいます。3人が頑なにヤングアベンジャーズ結成に反対するのは、若い人に過酷な戦いを経験して欲しくない以外にも理由がありました。トニーはヤングアベンジャーズに参加を希望するアントマン(スコット・ラング)の子、キャシーへ語りかけます。彼はアベンジャーズ解散は自分の責任であると感じていました。ワンダの精神崩壊に気付けなかったこと、アントマン達の死……全て原因は自分にあると考えているのです。そしてこの悲劇をヤングアベンジャーズに経験させては絶対にならないことも。キャップ達が意地でも彼らの「アッセンブル」を許さないのは、仲間を失う悲しみを誰にも体験させないためなのです。しかし3人が少々強引な方法でヤングアベンジャーズを解散させようとした時、アイアンラッドの恐れていた瞬間がやって来ます。征服者カーンの襲来です。
f:id:ELEKINGPIT:20210827231823j:imageアイアンラッドに自分と同じ運命を歩ませるため、旧アベンジャーズマンションを襲撃するカーン。恐れていた事態が現実のものに。

 

〈アイアンラッドの選択〉

カーンはキャップ、アイアンマン、ジェシカ・ジョーンズを一瞬で「征服」してしまいます。ヤングアベンジャーズもカーンに挑みますが、アベンジャーズをも圧倒するパワーに苦戦を強いられます。誰よりも勇ましく戦うヤングアベンジャーズをも手玉に取るカーン。傲慢な野心か、団結か。アクションシーンや互いの意外な作戦の連続で手に汗握る展開が続くのですが、それは是非本編で確認してみてください。
f:id:ELEKINGPIT:20210828222327j:image征服者カーンに挑むヤングアベンジャーズアベンジャーズが倒れた今、立ち向かえる者は自分達しかいない。

カーンを倒し、アイアンラッドがカーンにならない選択をしたことで、この世界から「征服者カーン」という存在は消え去りました。これで万事解決……かと思いきや、カーンのもたらした過去が全てなかったことになり現実が改変され始めてしまいます。アベンジャーズは全員死んだことになり、アスガルディアンやハルクリングも消滅するのです。たった1つの事実が違うだけで、物事や時代そのものが大きく変わってしまうという話はWHAT IF…? 等を見ても明らか。アイアンラッドは再び選択を迫られます。友を、アベンジャーズを救うには征服者カーンになるしかない。しかし征服者カーンにならないために過去へやって来たのではないか。アイアンラッドの心境を思えばこれほど辛い状況はないでしょう。絶望の未来こそがこの世界にとって最良の選択肢になのです。
f:id:ELEKINGPIT:20210828230341j:image征服者カーンになることを決意し未来へ帰るアイアンラッド。友と世界を守るために運命を受け入れる姿は誰よりもヒーローだった。

 

〈サイドキックス〉

冒頭でも話した通り、この物語はSIDEKICKSというサブタイトルが与えられています。ではその意味するところは? ここまで読んで頂いた皆様には明白かもしれません。アイアンラッドが未来へ帰った後、それまでの世界が再び普段通りに動き始めました。キャップ、アイアンマン、ジェシカ・ジョーンズが口うるさく解散を求め、親元で日常を過ごす「普通」が取り戻されたのです。一方ケイト・ビショップの誘いを受けて、秘密裏にチームも再始動していました。これこそが、このサブタイトルの表したかったことだと私は思うのです。ヤングアベンジャーズが例えバラバラになろうとも、アイアンラッドと共にいるという強い意志だと。
f:id:ELEKINGPIT:20210828232228j:imageヤングアベンジャーズ、リアッセンブル! アイアンラッドの望んだ未来を実現するために、常に人々の希望になり続けるだろう。