アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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IRON MAN vol2 THE SECRET ORIGIN OF TONY STARK BOOK1

前回、よりマクロな視点を得るために宇宙へ旅だったトニー。その後ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシーに参加していた事は、このブログの熱心な読者様ならご存知かと思います。その中で地球や宇宙崩壊の危機という強大な問題に直面していました。しかし一方、トニーはもう1つ重大な問題を発見します。それが自身の出生の秘密です。今回は前編と後編にわけて紹介させて頂こうと思います。f:id:ELEKINGPIT:20210920134843j:imageIRON MAN THE SECRET ORIGIN OF TONY STARK BOOK1

後編はこちらelekingpit.hatenablog.com

 

日本語版関連コミック

AvX:アベンジャーズvsX-Men ROUND1

AvX:アベンジャーズvsX-Men ROUND2

〈あらすじ〉

人々へより大きな未来を見せるため、まずはマクロな視点を得ようと宇宙へ旅立ったトニー。宇宙海賊を倒した礼に招待された惑星で歓迎されるが、そこはフェニックスフォースを神と崇めていた。

 

〈深宇宙とトニー・スターク〉

冒頭、トニーはある宇宙海賊を倒し礼にヴォルディと呼ばれる惑星へ招かれます。女王の寛大な歓迎でパーティは大いに盛り上がりました。地球をはるかに超えたテクノロジーに目を丸くしていると、気を良くした女王はこの星はヴォルディの心臓と呼ばれる物体の力で支えられていると言います。ヴォルディの心臓は宇宙生命体のパワーを少しずつ吸い取り、宇宙への影響力を広げつつある神秘のアイテムです。宮殿の奥で祀られているそれは、一目見たトニーすらうっとりさせる光を放っています。
f:id:ELEKINGPIT:20210920210502j:image燦然と輝くヴォルディの心臓。この惑星を育み、またあらゆる脅威から守ってきた。

 

しかし慈悲深い女王はアーマーを脱いだトニーの顔を見ると途端に金切り声を上げてしまいます。トニーの口髭が醜く見えて仕方がないというのです。自慢の口髭が元で女王との交流が絶たれてしまいました。更にトラブルは続きます。ヴォルディの最高司法官がトニーの身元を調べあげ、「神殺しの罪」で拘束してしまうのです。身に覚えのない罪に抗議しますが、最高司法官は怒り込めて神の名を告げます。フェニックスフォースと。

 

〈宇宙の神〉

フェニックスフォースとは、生命の創造と破壊を司る、言わば生けるエネルギーそのもの。しかしアベンジャーズX-Menの戦いで失われていました。ヴォルディはその原因をフェニックスバスターアーマーでフェニックスフォースを5分割したトニーにあると考えているようです。裁判は明日、結果次第だが死は免れないだろうと誰もが予感しました。しかし絶望で打ちひしがれるトニーの元へあるアンドロイドが訪れます。451を名乗るそれは、なんと脱獄の手伝いを申し出たではありませんか。
f:id:ELEKINGPIT:20210921013141j:image謎のアンドロイド、451。その出会いはトニーの運命を大きく変えることに。

 

長い年月をかけて様々な事象を見聞きしたという451は、トニーを助ける方が良いという結論に至ったと言います。疑心の晴れぬトニーでしたが、それ以外打開する方法もないだろうと451の話に乗ることにしました。計画はこうです。超高度なセキュリティ一を誇る強固な牢獄は451でも破ることは不可能。そこで裁判中トニーにシャイ・ター・ランの権利を行使してもらうのです。シャイ・ター・ランの権利とは戦いによって判決を見出す方法です。闘技場に一切の装備品を外した被告人が、次々と襲いくる「執行人」と戦い、生き残れば無罪になります。しかし丸腰のトニーにシャイ・ター・ランを勝ち残る術はないでしょう。そこで451がアーマーを見つけ出してトニーの元へ運び、脱出するという算段です。翌日、予想通りあわや死刑宣告……というところでトニーはシャイ・ター・ランを宣言します。
f:id:ELEKINGPIT:20210921021051j:imageシャイ・ター・ランを始めるトニー。451の計画を信じて時間稼ぎに従事する。

 

様々な敵に苦戦を強いられながらなんとか時間稼ぎをし続けていたトニー。しかし体力は底をつき、最早これまでという考えが過ぎった刹那。上空から聞きなれたブースター音と共にアーマーがやってきました。451の計画通りです。早速惑星から脱出し、追っ手を振り切るために超加速で宇宙を駆け回ります。しかし突然、追っ手のロボット達が意識を失い始めます。いくらそれまで裁判を受けてきたトニーですがこの異常事態を放っては置けません。すぐさま来た道を戻って様子を確認しようとします。その頃ヴォルディはとある種族の侵攻を受けていました。天空巨人、セレスティアルズです。
f:id:ELEKINGPIT:20210921022447j:image宮殿を破壊するセレスティアルズ。圧倒的なパワーの前にヴォルディは戸惑うことしか出来ない。

 

セレスティアルズとは、簡単にいえば宇宙の神々そのものです。全知全能の力を持ち、地球人の創造にも深い関わりがあると言われています。ではヴォルディの心臓があるにもかかわらず何故セレスティアルズが攻めてきたのか? 最高司法官の疑問はすぐ解消されます。なんとヴォルディの心臓が盗まれていたのです。心臓の加護がなければヴォルディはたちまち壊滅してしまうでしょう。最高司法官は全ての住民へ退避を命じ、自身も戦線へ加わります。しかしトニーがヴォルディへ到着した頃には全てが終わったあとでした。そこへホログラムの451が映し出されます。なんと自らがヴォルディの心臓を盗んだ張本人だと言うのです。451は全て必要なことだった、トニーを囮に使ったことを謝罪しました。しかし目の前でヴォルディが滅びたことにトニーは憤ります。数え切れないほどの人々が亡くなったのです。それをたった二言の謝罪で許されるはずがないでしょう。必ず報いを受けさせると1人誓うのでした。f:id:ELEKINGPIT:20210921025441j:imageホログラムで詫びる451。ヴォルディの心臓は「あるもの」に必要だと言うが……

 

行方をくらました451を探すトニーは、ある小惑星でその姿を見つけます。しかし途端にアーマーの制御を奪われ、とても攻撃できる状況ではありません。451はアーマーを操縦して席に座らせると、映写機の用意を始めました。地球の古い技術にトニーは驚きます。何故それを451は持っているのか? 疑問に耽ける間もなく映像が映し出されました。映っていたのは、トニーの親であるハワードと451でした。
f:id:ELEKINGPIT:20210921030726j:imageハワード・スタークと451。この古びた映像から、トニーも驚く秘密が明かされる。

 

〈生まれてくれて〉

それは今から数十年前に遡ります。子を身篭ったマリアとそれを支えるハワードは人生の絶頂に立っていました。しかしマリアの体調は日に日に悪化していくばかり。心配になったハワードが医者へ診せると、なんと産まれてくる子は流産する可能性が高いと告げられるのです。数ヵ月後には手を握れていたはずの我が子が産まれる前に死ぬ。そんな耐え難い現実へ、ハワードは必死に抗おうとし始めます。世界中のあらゆる名医に診断してもらい、チベットにいるという魔法使いへ会いに行き、時に怪しい相手とも取引をしました。ありとあらゆる手段を尽くしますが、皆一様に首を振るばかり。それでも諦めきれないハワードは、ネバダのある噂に辿り着きます。ネバダのとあるカジノは何か秘密を握っているという。そこでカジノスタッフの1人と出会います。名はロロー。早速話を進めようとするハワードに、ロローは本当の姿を見せます。なんとグレイ型宇宙人が地球人に変装していたのです。
f:id:ELEKINGPIT:20210921031736j:image正体を明かすロロー。少なくともこの噂は胡散臭く無さそうだ。

 

ロローは数年前、宇宙から落ちてきたあるものを極秘に捕まえていると言います。高度なテクノロジーに包まれたアンドロイドです。フォースフィールドに覆われているため触れることすら困難なそれならば、胎児を救う方法も知っているに違いないだろうとロローは確信していました。そこでハワードはアンドロイドを盗み出す計画を立てます。仲間を集めて見事にアンドロイドを盗み出したハワードは、早速胎児を救えるかどうか尋ねます。答えはイエスでした。しかし条件があるとアンドロイドは告げます。そして今から数十年後、地球や宇宙をも巻き込む災厄が訪れること、その災厄から宇宙を守るための人柱が必要だと語り始めました。そのための遺伝子改造をさせることが条件だと言うのです。我が子が産まれてくるために。マリアとハワードはその条件を受け入れるしかありませんでした。
f:id:ELEKINGPIT:20210921033701j:image遺伝子を改造される胎児。産まれる前から戦う運命を強いられた。

 

〈トニー・スタークが信じていたもの 〉

そもそもエクストリミスで大衆が望んだ未来にガッカリしたトニーはよりマクロな視点を得るために宇宙へ旅立ちました。しかしそこで直面したのは出生の秘密というよりミクロなもの。またトニーは天才的な頭脳に裏打ちされた傲慢さで大衆を見ていましたが、今度は自身の信じていた根幹が揺れ動かされるようになっていきます。自慢の口髭の罵倒、守るための戦いで異星の尊厳を傷つけたこと、そして自身の誕生秘話。トニーは口々にありえないと呟くばかりでした。前回、未来しか信じないと豪語したトニー。では今まで信じていた過去を打ち崩されたら? そんな二項対立のような構造になっていると私は思いました。しかし賢しい読者の皆様からお分かりでしょう。トニーはアイアンマンです。鉄は打てば打つほど硬くなります。この耐え難い事実を突きつけられても、どんな逆境でもトニーならバネにしてくれるでしょう。