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MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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IRON MAN vol5 RINGS OF THE MANDARIN

Kieron Gillen氏のIRON MANシリーズもついに最終章。マンダリンの指輪を巡る戦いにも決着が着きます。兄弟として共に世界を守ると誓い合ったトニーとアルノですが、ここに来て方向性に違いが現れ始めます。未来を創る2人の鉄人はどこへ向かうのでしょうか?
f:id:ELEKINGPIT:20211111143037j:imageIRON MAN vol5 RINGS OF THE MANDARIN

 

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〈あらすじ〉

マンダリンの指輪がトニーへ宣戦布告した! 未来都市トロイを舞台に3つの指輪とその持ち主がアイアンマンと戦った。だが何者かがリメイカー卿とアビゲイルの指輪を強奪。一方スヴァルトアルフヘイムの王となったマレキスの手元にはマンダリンの指輪が光っていた。

 

〈呪われし指輪〉

Jason Aaron氏が描くソー誌の展開でスヴァルトアルフヘイムの王に改めて就任したマレキス。宿主を探しさまようマンダリンの指輪に強い興味を示すと、早速その全てを手中に収めようと動き始めます。リメイカー卿とアビゲイルから奪った指輪と自分のものを合わせて既に3つ。さらに4つ目を奪い指輪争奪戦で圧倒的に有利な立場を築きます。一方マレキスが指輪狩りを始めたと知ったトニーは早速スヴァルトアルフヘイムへ。ステルススーツで潜入し指輪を奪う計画を立てます。ところがダークエルフの軍とマレキスの待ち伏せ攻撃にあい、戦闘能力の低いステルススーツで迎え撃つこととなりました。
f:id:ELEKINGPIT:20211111165836j:image待ち伏せにあうトニー。マレキスらと戦えるほどステルススーツの戦闘能力は高くない。

 

奇策で指輪を1つ奪いますが、やはりステルススーツではダークエルフに勝てません。トニーは隙を見て退こうと1度身を隠します。一方指輪を取り返したいマレキスはトニーを「連れ子」と呼び挑発します。さらにスヴァルトアルフヘイムは子どもを食べるために攫うという風習を言い、ついにトニーの怒りを買いました。トニーはスヴァルトアルフヘイムへ対ダークエルフ専用のパワードアーマーを呼び出し、なんと将軍3人を一気に倒します。勢いのままダークエルフ軍を半壊させ、マレキスもやがて逃亡。ところが逃亡先で待ち構えていたのは、残るマンダリンの指輪を持つ宿主たちでした。
f:id:ELEKINGPIT:20211112011121j:imageマンダリンの指輪の宿主たち。モールマンをはじめ凶悪なヴィラン達が手にしていた。

 

流石のマレキスも負けを悟り、トニーに最後の指輪を渡して見逃してもらいます。トニーもその後地球へ戻りようやく一息。マレキスから奪った4つの指輪を未来都市トロイの機関部に保管します。アルノはこれを研究し、指輪は互いに反応しあっていることを突き止めました。これを利用すれば残るマンダリンの指輪がどこに居るのか直ぐ調べれるでしょう。敵は地球の王を名乗るモールマンの地下帝国でアイアンマンを倒す計画を立てていました。指輪の宿主たちの中で唯一正体のわからないライアーは特に打倒トニーに拘っており、独自の方法を密かに実行します。地下帝国に轟音が響き渡ったのはその時でした。
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f:id:ELEKINGPIT:20211112075116j:image地下帝国を襲撃するアイアンマン軍団。トロイ機関部を大型アーマーに変形させ、敵の主力を炙り出す。

〈2人の鉄人〉

トニーがアルノと出会ってから、2人は一蓮托生で次々とアイデアを現実のものとしてきました。しかし冒頭でもお伝えした通り、トニーとアルノには明確な方向性の違いが現れます。

トニーは何故未来を創造するのか? IRON MAN BELIEVEで示されたのは「相応しい人間が正しい方向へ未来を導くため」でした。ここで言う相応しい人間とは、より先見の明に充ちた人物でしょう。トニー自身もこれに当てはまっていないと考えていたからこそ宇宙へ旅立ち、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーに参加しました。また発明に手段を選ばなければ未来はよりグッと推し進められますが、それでは意味はありません。例えばWW2がなければコンピュータやGPSの開発はもっと遅れていたはず。しかし人々の今を脅かしてまで作る発明は本末転倒です。だからこそトニーは未来の導き手は相応しい人間がなるべきと考えているのでしょう。

一方アルノは違いました。長い間病室で過ごしていたアルノは、トニーがアイアンマンとなる前から脳内で貯め続けたアイデアをようやく現実のものにできました。敵の危険な技術を利用、エクストリミスの動物実験も秘密裏に開始。結果今回の戦いでも大きく貢献しました。しかしそれはトニーが絶対にしないことでした。敵の技術を利用するにしても、十分に解析出来ていないものは慎重に扱わなければ大きな危険を伴います。またエクストリミスは関わったもの全員が身を貶めたタブー中のタブーです。これらをアルノが知らないはずはありませんが、どれも躊躇すらせず実行していました。

2人の「発明」に対する見方の違いは、誰のための発明か、という点で大きく分かれたのだと考えます。トニーはどこまでも他人のために発明をしていました。人々に危険が生じるならばどれだけ優れた開発も即座に中止或いは自分だけが使うなどの制約を課しています。アルノは純粋に自分のアイデアを現実にするという楽しみから発明し始めました。30年以上奪われた人生を取り戻したいという感情も含んでいるでしょう。トニーの思いつかないようなアイデアすら発明したりと、その姿は正に発明家そのものです。しかし「アイアンマン」は単なる発明家ではありません。この違いが2人のアイアンマンをどのような未来へ導くのでしょうか? それはまた別の機会のお楽しみとしましょう。