アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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DARTH VADER vol2 LEGACY'S END

シスの復讐」直後から始まった本シリーズ。紅いライトセーバーを手に入れることでシスの最終試練を終えた前回、復讐の炎に心を燃やしながら、完全にはシスに身を落としていないことが明かされました。では今のベイダーは何者なのでしょうか? それこそが本シリーズのテーマなのかもしれません。スターウォーズシリーズの象徴的な悪役として世界的に有名なダース・ベイダーがシスとして銀河に君臨するその過程を楽しみたいと思います。
f:id:ELEKINGPIT:20211227154142j:imageDARTH VADER vol2 LEGACY'S END

 

日本語版コミック

www.fujisan.co.jp

 

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〈あらすじ〉

遠い昔、はるかかなたの銀河系で……
ジェダイ狩りを行うベイダーは極秘任務を授かる。あるジェダイの護衛だ。

ベイダーから訓練を受けた最高尋問官の過去が明かされる。それは真紅のライトセーバーを振るう人物はジェダイだったのだ。
ジェダイ文書館の司書ジョカスタ・ヌゥは帝国にある秘宝が強奪されることを恐れ、コルサントの旧ジェダイ寺院を訪れた。自らの死期を悟りながら……

 

ジェダイの遺産〉

ジョカスタ・ヌゥとは、ジェダイ虐殺を命じたオーダー66から生き延びたジェダイです。その実力はオビ=ワンやヨーダなど歴戦の勇士には遠く及びませんが、ジェダイ公文書館の司書としてあらゆる知識に精通しています。シスの誕生やジェダイの秘宝のありかさえも。そのため皇帝はオーダー66やその後のジェダイ残党狩りからジョカスタを対象外として扱っており、生け捕りにして秘密を喋らせようと考えています。とはいえジョカスタの握る秘密が皇帝すら欲しているとなると、皆がそれを狙う可能性も。皇帝が真に信頼を置くベイダーのみに話し、ジェダイ残党狩り専門部隊「尋問官」のリーダー、最高尋問官にすらその事実を伝えていません。ベイダーにジョカスタを守るよう命じたのは、その知識を独占するためでした。
f:id:ELEKINGPIT:20211228030624j:imageジェダイオーダー復活のため、辺境の星で活動するジョカスタ・ヌゥ(画像左)。たとえ自分が死んだ後でも、恐るべき帝国を打ち破るために。

 

同刻、銀河帝国の首都コルサントでは爆破事件が発生していました。現場を調べると、どうやら飛行機が爆発を起こした様子。当初は単なる事故かと思われましたが、残骸からジェダイの紋章が見つかったことでベイダーも調査へ加わります。とはいえコルサントにはジェダイの紋章の落書きやいたずら書きが多く、今回も帝国をからかった悪質ないたずらだろうという意見が大半でした。しかしベイダーはこれが本物だと信じて疑いません。あるいは自身のフォースがそう告げたのかもしれません。撤収される寸前の残骸をフォースで組み立て、それが旧共和国で用いられた戦闘機であることを示しました。
f:id:ELEKINGPIT:20211228091333j:image戦闘機の残骸をフォースで組み上げるベイダー。ジェダイの紋章、旧共和国性戦闘機、ジェダイが現れたのは間違いない。

 

ベイダーの推測通り、ジョカスタはコルサントの旧ジェダイ寺院へ潜入していました。そこはかつての公文書館。もし帝国にジェダイの秘宝が見つかったら……フォースで感じとった悪寒を無視できませんでした。どうやら秘宝は無事のようです。しかしそこには資料を漁る最高尋問官の姿が。知識に対して尊敬も敬意もない様子にジョカスタは激怒、青い刃を突き立ててしまいます。最高尋問官にとっては奇襲で喉元に刃がある状況ですが、暗黒面に魅せられた狂喜の憎悪はジョカスタをもゾッとさせるほど。今や変わり果てた姿となりましたが、かつて最高尋問官はジョカスタを師事していたのです。ジョカスタに公文書館の出入りを説明もなく禁じられ、溜まっていた不満がやがて暗黒面へと引き込まれていたのでした。その豹変っぷりにジョカスタはそれが誰かも分かりません。自分を思い出しもしないかつての師匠へ激怒した最高尋問官はさらに暗黒面のパワーを増幅。あっという間に膝をつかせてしまいました。
f:id:ELEKINGPIT:20211228112708j:image最高尋問官と戦うジョカスタ。老体で勝てるほど最高尋問官は甘い相手ではなかった。

 

ベイダーが公文書館へ着いた頃には、最高尋問官がまさにトドメを刺そうとしていた時でした。最高尋問官へ撤退命令を出すと、今度はジョカスタへ身柄の安全と引替えに降伏するよう迫ります。当然ジョカスタも帝国、ベイダーの目的は感づきました。ジェダイの秘宝、シス誕生の歴史、自らの持てる全ての知識。ライトセーバーを失った今、自分に出来ることは? 答えは明白でした。帝国の手に知識が渡らないようにすること。つまり、帝国に見つからない場所で死ぬことでした。コルサントの谷底ならばそれは叶うでしょう。まずはこの状況を突破するため、公文書館に残っていたライトセーバーを手に入れます。背後にはダース・ベイダー、前方には無数のクローン・トルーパー、絶体絶命のピンチでもジョカスタは諦めません。自分の知識を守り切れば、いつか自分の知らない誰かが帝国を打ち倒すことを信じているのですから。
f:id:ELEKINGPIT:20211228114151j:image事件の後、皇帝の「ジョカスタ・ヌゥから学んだことは?」と聞かれたベイダーの答え。ジョカスタが、ジェダイが、どんな状況でも見出そうとした光明をベイダーは否定する。

 

〈ジョカスタの遺産〉

ジョカスタは命懸けで自らの知識を守ろうと行動していました。結果、ジェダイの秘宝やシス誕生の歴史、皇帝の欲しがった知識は不明のまま物語は幕を閉じます。ではジョカスタが守ろうとしたものとは? 今回はその正体を考えてみましょう。

そもそもオーダー66の後ジョカスタが何をしていたのかというと、辺境の星で学校を設立するための準備を進めていました。そのためにはまずホロクロンと呼ばれる物体へ自らの知識を大量に保管、これを使ってジェダイの教えを後世まで伝えようとします。ホロクロンとは、古代からジェダイが使っている情報記録装置のようなもので、フォースを持つものにしか扱えません。ジェダイ公文書館司書はそのホロクロンを守ることが最大の任務でした。どうやらジョカスタはオーダー66の後、公文書館に保管されていたホロクロンのほとんどを持ち出していたようで、公文書館に残されたホロクロンはわずかだったのでしょう。それでもジョカスタが危険を冒してまで公文書館へ侵入したのは、1つも漏らさずジェダイの教えを守りたかったから、という思いが見て取れます。

皇帝やベイダーはホロクロンの行方を追えば簡単に自らの欲した知識を得たのでしょうが、ジョカスタが守りたかったのは単に知識ではありません。お話した通り、ジョカスタはジェダイの教えを後世に伝える学校を設立するためにホロクロンを用いていました。つまりジョカスタは次世代のジェダイを育成しようとしていたのです。いつか生まれるであろう新たなる希望のため、自分たち旧世代の教えを守ろうとしていたのです。それこそがジョカスタの遺産でしょう。