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MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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DARTH VADER vol3 THE BURNING SEAS

映画エピソード3シスの復讐直後から始まったこのシリーズも後半へ突入。ジェダイ公文書館の司書との戦いを終え、ますます暗黒面の底へ身を寄せるアナキンですが、未だムスタファーの戦いやオビ=ワンが頭から離れない様子を見せます。そんな中始まった今作は、銀河帝国史でも重要なページの1つでしょう。それもそのはず。今作は銀河帝国が行った初めての戦争なのですから。ジェダイ時代にはクローン戦争と呼ばれた戦いで英雄的活躍をしたアナキン。ではダークサイドに身を寄せながらライトサイドも忘れられない今、新たな戦争はどのような影響を与えたのでしょうか?
f:id:ELEKINGPIT:20220114124009j:imageDARTH VADER vol3 THE BURNING SEAS

 

日本語版コミック

www.fujisan.co.jp

 

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elekingpit.hatenablog.com

 

〈あらすじ〉

遠い昔、はるかかなたの銀河系で……

戦争だ! 帝国大使殺害の容疑をかけられた海底王国モンカラは、ターキンの猛攻を受けていた。燃えさかる海こそ帝国の力なのだ

オビ=ワンとの戦いに未だ縛られるダース・ベイダーは皇帝から新たなジェダイ抹殺任務を受ける。モンカラはジェダイを匿っているという噂なのだ。ベイダー卿と尋問官の侵略は、王すらモンカラの死を予感した。

モンカラに潜むジェダイ、バァは100億もの命をかけた戦争の始まりを知ると満足げに頷いた。バァのフォースが告げる。この戦争こそ新たなる希望なのだ……

 

〈帝国の強襲〉

海底王国モンカラは、独自の進んだ技術力と文化を持つ惑星です。惑星の大部分が海洋に覆われており、大陸はほとんどありません。そのため都市はほとんど海底に作られており、宮殿や外交用の施設を含む僅かな建物のみが空を見上げています。その技術力と天然の要塞になりうる地理条件へ目をつけた帝国は、度々大使を送って兵器工場にしようと交渉を進めていました。しかしモンカラの王は平和な時代に武器はいらないとはねつけ続けています。これに業を煮やした帝国が大量の艦隊でモンカラの周囲を覆う場面から本作はスタートしました。そしてベイダーも皇帝からジェダイ抹殺の任務を受けてモンカラへ降り立ちます。噂程度でも可能性があるなら全ての芽を摘み取る気でしょう。こうした状況の中起こったのが帝国大使殺害事件。なんと帝国艦隊らが見守る中で大使の乗るシャトルが爆発したのです。
f:id:ELEKINGPIT:20220114230714j:imageモンカラ絶体絶命の状況で起きた帝国大使殺害事件。戦争の引き金には充分すぎた。

 

この戦争を知り意味ありげな笑みを浮かべる人物がいました。オーダー66から逃れモンカラに匿われているジェダイ、バァです。バァは強いフォースの持ち主で、遠い先の未来すら予知できるほど。そのためバァはモンカラ王へ何度も助言をしているようで、厚い信頼関係が構築されていました。今回の戦争もモンカラへ助言を送っており、実質的な影の指導者といっても過言ではないでしょう。そんなバァは、開戦と同時にダース・ベイダーがこちらへ向かっていることを知ります。強いフォースを持つ故にダース・ベイダーの正体も知っているバァだからこそ剣術の腕では勝ち目がないことを覚り、弟子を率いて脱出する術を探すこととしました。しかしジェダイ狩り専門部隊「尋問官」に遭遇。多くの弟子を失いながら追い詰められてしまいます。
f:id:ELEKINGPIT:20220116185638j:imageホログラム映像に映るアナキンをライトセイバーで刺すバァ。ダース・ベイダーの魔の手から逃れながら、ジェダイを失墜させた仇を取ろうと画策する。

 

戦争は当初モンカラ有利で進んでいました。モンカラの智将アクバーが考案した奇襲戦法と、都市の大部分が海底にあるという地形的な優位性で帝国軍を追い詰めていたのです。特にアクバーの奇襲戦法は帝国軍の最前線基地だった巨大空母を陥落させる大健闘も。この活躍に満足したモンカラの王は北半球全ての指揮権をアクバーに与え、自らは南半球の防衛に専念します。しかしモンカラの優勢は帝国の圧倒的な物量によって徐々に崩されてしまいます。大気圏外で待機する大艦隊の砲撃に加え、トルーパーを潜水仕様へ換装することで地理的な優位を解消。またモンカラの王は尋問官の追跡で連絡が困難となったバァの助言が得られず、大胆な行動が取れなくなっていました。ここでターキンはベイダーへ新たな任務を与えます。モンカラの王の具体的な居場所を突き止めるよう命じたのです。
f:id:ELEKINGPIT:20220116191310j:imageターキンの指令で海底宮殿を強行突破するベイダー。ターゲットは地の果てまで追いかける。

 

尋問官を下し生き残った弟子を脱出用のシャトルに乗せたバァは、フォースの告げた悪い予感を無視できず海底宮殿へと向かいます。そこでは王と対峙するベイダーが。すぐさま青い刃を突きつけました。バァのパワーはベイダーに及ばないものの、ある程度互角の戦闘を繰り広げるほど。しかし戦いの最中、宮殿が何度も大きな揺れに襲われます。ベイダーの通信によって王の位置を正確に把握したターキンが、スターデストロイヤーのレーザー光線でピンポイント砲撃を始めたのです。モンカラ都市部の壊滅を目的としたものでしょう。海が燃え上がる程の砲火。モンカラの敗北が決定的となった瞬間でした。街が崩れていく中、バァは突然高笑いを上げ始めます。そして戦争の発端となった帝国外交官爆殺事件は自分がやった事だと高らかに宣言。バァの助言に従ってきた王の憤慨も、「帝国を打ち倒すための行動」とはねつけます。100億もの命を賭けたモンカラ存続戦争は、バァが仕組んだ陰謀だったのです。
f:id:ELEKINGPIT:20220116210158j:image砲火に焼かれる都市を尻目に戦う2人。脱出用のシャトルが打ち上がる狭間、バァは勝利を宣言した。

 

〈バァの予知〉

予知に長けたフォースを扱い、モンカラへの助言や多くの弟子を育てる様子から、まるでジェダイマスターのように思えたバァ。しかし尋問官との戦闘で、バァはパダワン(ジェダイナイトの弟子。ライトセイバーを扱う者の中で最も地位が低い)だったことが明かされます。またジェダイは幼子の頃から修行に励むのが掟ですが、バァの弟子は全員がその慣例から外れています。強いフォースを持ちながらジェダイの掟を破り、それ故かパダワンだったバァ。ジェダイの中でも異端中の異端といっても過言では無いかもしれません。そんなバァの人生最大の賭けが、今作で勃発した戦争です。バァの様子を見る限り、事は自分が思っていた通りに動いたようです。ではその先にあるバァが見た予知とはなんなのでしょうか?

何故フォースを学ぶのか? 何のためにその強大な力を身につけようとするのか? 大半のジェダイは「銀河の平和を守るため」と答えるでしょう。アナキンのように「愛する者を失わないため」という理由もあるでしょう。それはバァも同じ。フォースを学ぶ意味を知るベイダーが、100億もの命が犠牲になると知りながら戦争を仕組んだバァへ「お前はジェダイではない」と剣を振ったのはそんな意味があったはず。誰かを守るための力で誰かを傷つけるやり方はシスそのものでしょう。それでもバァは100兆もの命を救うためだったとします。この戦争がなければそれほどの命が失われていたことを予知していたのです。

ではこの戦争が起こった結果、バァはどのような未来を見ていたのでしょうか? 答えはEP4新たなる希望〜EP6ジェダイの帰還で描かれている通り。実はモンカラの智将アクバーは後の反乱同盟軍アクバー提督その人なのです。この戦争がきっかけで帝国へ反旗を翻し、同盟軍へ加わるのでした。そしてアクバーの活躍がきっかけでエイリアン種族の多くが同盟軍へ。モンカラの名が銀河中に希望の象徴として知れ渡るきっかけとなったのです。100兆もの命が失われることを予知していたということは、この戦争がなければデス・スターの破壊も免れていたかもしれません。バァの勝利宣言は、後の反乱同盟軍が起こす奇跡の大逆転を予知していたからこその宣言でしょう。帝国が短命に終わること、新たなる希望が生まれること。その大きなきっかけを作ったのがこの戦争なのです。