アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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AVENGERS ASSEMBLE FORGERIES OF JEALOUSY

世界の最前線で戦い続けるアベンジャーズ。時に他のヒーローと手を組み、時に他のヒーローの規範となることもあります。今作、AVENGERS ASSEMBLE FORGERIES OF JEALOUSYは高校生ヒーローであるスパイダーガール(アーニャ)の視点から描いた物語です。ヤングヒーローとして戦うスパイダーガールが見たアベンジャーズの姿とは? いつもより少し頼もしいアベンジャーズに期待しましょう。
f:id:ELEKINGPIT:20220117131651j:imageAVENGERS ASSEMBLE FORGERIES OF JEALOUSY

 

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〈あらすじ〉

テリジェンミストが世界を覆いつつある現在、アベンジャーズはインヒューマンに覚醒しつつある人間の把握と保護に忙殺されていた。そこへスパイダーガールが。自身のクラスを担当する高校教師がテリジェンミストに覆われ、連れ去られたというのだ。

 

〈禁忌の実験〉

本作はビルダーズとの戦いが描かれたインフィニティの終結直後。そのため世界中にインヒューマン遺伝子の覚醒を促すテリジェンミストが漂っていました。スパイダーガールがアベンジャーズタワーを訪れたのは、次々と現れる新たな超人の対応に追われていた矢先の出来事。スパイダーガールの恩師がテリジェンミストで覚醒している途中、何者かに攫われたというのです。今アベンジャーズが忙殺されているのはまさにこのような事件を防ぐため。ブラック・ウィドウとスパイダーウーマンが事件の調査へ協力することとなりました。ウィドウは誘拐犯をAIMと推測、さっそく基地の潜入を開始します。そこで出会ったのは、なんとカシミール・ベネマ。以前紹介させて頂いたCAPTAIN AMERICA & IRON MANにも登場するヴィランです。異次元からやってきた武器商人であり、今作ではAIMの正式なメンバーとして活動する様子が描かれています。カシミールは覚醒寸前インヒューマンを2人攫ったこと、その内1人は死亡したと思われ、別組織へ売り払ったことを語ります。そしてその1人こそが、スパイダーガールの探している恩師であることも。

f:id:ELEKINGPIT:20220118020328j:imageAIMとしてウィドウらと対峙するカシミール。嬉々としてスパイダーガールへ残酷な事実を突きつける。

 

死亡したとしても、せめて家族のために体だけでも取り返したい。スパイダーガールの願いによって調査は続行となりました。バナー博士やローガンの協力もあって売却先の組織はすぐに特定、尋問の結果、AIMから購入した「遺体」はある研究所へ送られたことがわかります。ならば次はその研究所へ向かうまで。ローガンに新たなコスチュームを与えられ、早速研究所を訪れたスパイダーガール。しかしそこには大勢の怪我をした職員がいるばかりで、肝心の「遺体」は見つかりません。ある職員によれば、この研究所は1週間ほど前に爆発事件に巻き込まれたと言います。ある組織から送られたとされる覚醒寸前のインヒューマンが爆発、以来研究所の職員であるジューン・コンビクトン博士が行方不明となっています。
f:id:ELEKINGPIT:20220118023454j:image研究所職員から語られた爆発事件。事件以来ジューン博士と送られたインヒューマンが行方不明となっているが……?

 

ジューン・コンビクトン博士は最悪のマッドサイエンティストとして名の知れた人物です。預かった患者を実験用モルモットとしか見ておらず、そのほとんどが死亡してしまうほど。恐らくこの爆発事件以来インヒューマンを別の研究施設へ運び、自身の肉体を回復させながらインヒューマンの能力に関する研究を行っているのだろうと考えられます。ということは、そのインヒューマン(=スパイダーガールの恩師)は生きている可能性が高いということです。ならばあとはその場所を探すのみ。しかしスパイダーガール1人ではその特定は難しそうです。そこで助言を与えたのは、トニーでした。これまでの調査で得られた情報を独自にまとめあげ、ジューン博士の行動を推理、あっという間に次なる目的地を割り出すのでした。急いでそこへ向かうと、スパイダーガールはようやく気絶した恩師を発見しました。しかもこの恩師の能力はあらゆる機械から探知されないというもの。なるほどAIMが死亡したと勘違いしてしまうのもわかる話ですが、これを置いてジューン博士本人がいないという事実がトニーは気がかりでした。生粋のマッドサイエンティストがモルモットを置いていったということは、実験がすでに終わったことを意味するはず。そしてAIMが誘拐したもう1人のインヒューマンの存在。トニーの推測通り、ジューン博士は自らに機械から探知されない能力を移植、爆発事件の復讐ともう1人のインヒューマンを手に入れるためAIMの基地を襲撃しようとしていました。これ以上禁忌の実験を繰り返させるわけにはいきません。アベンジャーズ集結の時が来ました。
f:id:ELEKINGPIT:20220118025510j:imageキャップとトニーによって集結したアベンジャーズ。ジューン博士の陰謀を止めるため、全メンバーが死力を使う。

 

アベンジャーズの意味〉

スパイダーガールの目を通して描かれたアベンジャーズは、メンバーがそれぞれに異なる矜恃を持つということでしょう。トニーは知恵の積み重ねの重要性を説き、ローガンは行動ではなくその目的で悪人か善人かが決まると説き、キャップはどんな時も誰かに頼ること、団結の力を説きました。時にアベンジャーズは若きヒーローの指導者という面も見せます。しかし指導する内容はまるでバラバラ、かえって混乱させてしまうなんてこともあるでしょう。しかしこのバラバラであることに大きな意味があると私は考えます。では、この戦いを通じてスパイダーガールが学んだこととはなんでしょうか?

結論から言うと、「具体的にアベンジャーズから○○を学んだ」ということはないでしょう。要は、「それぞれのメンバーにそれぞれの矜恃があり、個性がある」ということを学んだのではないかと考えています。全く異なる信念を持ちながら正義というたった1つの大きな共通点を持つアベンジャーズ。そこには、若者が悩みがちな「こうあるべき」という姿はありません。ヒーローを目指すとどうしても理想の姿になろうと苦悩してしまいます。これはどんなヒーローでも経験のあることでしょう。しかし全く異なる信念で共に戦うアベンジャーズから、「こうあるべき」という姿を探すのは困難です。自分らしいヒーロー像を追求する。それこそがスパイダーガールがアベンジャーズから学んだことなのかも知れません。