ヒーローやヴィランなど数多くの超人が暮らすマーベルユニバース。しかし当然ながら一般市民もそこで生活を送っています。MARVEL SNAPSHOTはそんな一般市民に焦点を当てたシリーズです。毎月1回以上は確実に世界終末の危機を迎えているなんてジョークがあるほど大規模な戦いに見舞われる世界に住む人々は、一体どのように超人と共存しているのでしょうか?
MARVEL SNAPSHOT AVENGERS
〈あらすじ〉
新たなアパートへ引っ越したばかりのケリィは、町の新鮮な空気を吸うためランニングへ出かけていた。しかしそこへ、地球侵略を企む巨大ロボットとアベンジャーズの戦いに遭遇してしまう。
〈地球最後の日常〉
ニューヨークは世界中でも類を見ないほど超人が多く住む町です。そのため世界最悪の事件に巻き込まれることもしばしば。ケリィもその1人です。住んでいたアパートがアベンジャーズの戦いに巻き込まれ全壊、立ち退かざるを得なくなるという経験を2度もしてきました。しかしようやく見つけた三軒目のアパートにも慣れてきた頃、何度目かの人類絶滅の危機が迫ってきていました。
ケリィの眼前に現れた巨大ロボット。これで世界の終わりは何度目?
当然アベンジャーズはこれに対処するため出動。しかしいくらヒーローが多いといっても、全ての悲劇に対応できるはずがありません。これ以上悲劇が起きないようその元凶から対処せざる得ず、瓦礫の下敷きになった人々を今すぐ助けることは出来ません。ヒーローがどれだけいても市民同士が助け合わなければ乗り越えることは出来ないのです。ケリィは瓦礫に埋もれた人を担架に乗せ、避難誘導を担当していた警察官のジェイと共に避難用シェルターへ逃げ込みました。そこでは不安の表情を見せる人や現状への怒りで声を荒らげる人々の姿も。それでもケリィとジェイは落ち着いていました。まるで周囲をなだめるように、まるで自分たちを落ち着けるように自分たちが出会ったヒーローの話を始めます。
シェルターで事態の収拾をじっと待つ人々。その表情はどれも暗い。
シェルター内部にまでビル崩壊の砂ぼこりが入ってくるほど戦いは激化しているようです。しかしケリィ達は決して慌てすぎることなくヒーローの話を続けていました。アベンジャーズとの戦いに巻き込まれてアパートが2度も壊されたこと、仕事仲間と飲みに行った時トニー・スタークに出会ったこと。やがてその話題はどんどん広がっていきます。真夜中にデアデビルに遭遇した、目の前でホークアイ達がヴィランと戦ったetc……ヒーローの話をする人々の表情は晴れやかなものです。シェルターの入口からアイアンマンが現れたのは正にそんな時でした。
絶望的な状況下で現れた驚異のヒーロー。その姿を見るだけで希望がどんどん湧いてくる。
〈マーベルな生活〉
さて、今作は世界の危機に見舞われる一般市民という物語ですが、同時にこれは「マーベルユニバースの日常」を切り取っただけのものに過ぎません。描かれてはいませんが、当然このあと町の復興があり、徐々に事件前の日常を取り戻し……そんな生活の繰り返しが特にニューヨークで起こっていることがわかります。ヒーローの戦いに巻き込まれていつ死ぬかもわからない状況が不定期的に何度も現れるとは、そこに住む一般市民からすれば迷惑千万どころではないでしょう。それでもシェルターでヒーローの姿を思い浮かべる時、その表情は明るくなっていました。ニューヨーカーはそんなヒーロー達をどのように認識しているのでしょうか?
シェルター内部でケリィ達がヒーローの話を始めた時、誰もがその話題で暗く沈んだりということはありませんでした。それどころか皆笑みを浮かべるほど。このような事件が日常的に起こっていると同時に、ヒーローの姿を思い出すことで勇気を与えることが出来ると分かります。それは皆がそれぞれにヒーローから命を助けて貰ったことがあるのでしょう。世界の危機が頻発しているからこそ、ニューヨーカーとの信頼も厚いのです。