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MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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GUARDIANS OF THE GALAXY & X-MEN BLACK VORTEXその1

ALL-NEW MARVEL NOW!期もいよいよ後半戦に突入。今回紹介するGUARDIAN OF THE GALAXY & X-MEN BLACK VORTEXは2015年に発売されたクロスオーバー作品です。ガーディアンズ誌で描かれ続けた宇宙の勢力図が一変するという話も相まって、同誌に馴染みのない方には少々手を出しにくい感を覚えるかもしれません。しかし話の大筋は巨大な力を得ることが出来る「ブラック・ヴォルテックス」と呼ばれるアイテムを巡る争奪戦。クリエイター達の手腕もあってか凄まじい没入感を持つ1作です。

なお今作は前編と後編に分けて紹介させていただきます。
f:id:ELEKINGPIT:20220203154417j:imageGUARDIAN OF THE GALAXY & X-MEN BLACK VORTEX ALPHA

 

後編はこちらelekingpit.hatenablog.com

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〈あらすじ〉

太古の昔。ヴィスカルディと呼ばれる惑星では種のほとんとが絶滅する程の内戦が起こっていた。ブラック・ヴォルテックスと呼ばれる鏡1つのために。それから時は流れ現代、ミスターナイフと呼ばれる宇宙海賊がブラック・ヴォルテックスを使い強大なパワーを得ようとしていた。それが宇宙の混乱を招くようになると知らずに……

 

〈無限の力を巡って〉

ブラック・ヴォルテックス。使うだけで無限の力を手に入れるとされる魔法の鏡です。さらに力を得る条件はただ1つ、鏡へ忠誠を誓うのみです。故に宇宙海賊ミスターナイフは手に入れた鏡に大きな執着を持っていました。一方クィルとX-Menのキティはそんなミスターナイフの宇宙船へ侵入。透明化の能力で難なく船内を探っていた2人が目撃したのは、ミスターナイフとサノスの息子セインの怪しげな取引現場です。どうやらミスターナイフはセインへ信者の保護、ブラック・ヴォルテックスで力を与えることを条件にある仕事を頼もうとしている様子。セインはブラック・ヴォルテックスの力に半信半疑でしたが、ミスターナイフが得意げにその力を披露します。瀕死の部下へブラック・ヴォルテックスのパワーを授けたのです。
f:id:ELEKINGPIT:20220203210130j:imageそれまでとはケタ違いのパワーを得るミスターナイフの部下。目の前でこれを見せられては信じないはずがない。

 

驚いたのはセインだけではありません。危険を感じたキティとクィルは2人の悪党へその力を渡すまいとブラック・ヴォルテックスを強奪。X-Menガーディアンズを緊急招集し、合同チームで一時的にでも鏡を保護しようとします。一方ミスターナイフはこれに大激怒。自身の部下「殺戮卿団」を送り込みました。ブラック・ヴォルテックスのパワーを授かっているのでしょうか。殺戮卿団の力は合同チームですら抑えきれないほど強大なものでした。このままではブラック・ヴォルテックスを守ることすら出来ないかもしれない。そんな緊張感が伝わってきた途端、ブラック・ヴォルテックスからとてつもないパワーが発されました。ガモーラが鏡面に触れパワーを授かったのです。宇宙一の暗殺者にブラック・ヴォルテックスのパワーが加われば敵う者なし。殺戮卿団を一瞬でなぎ倒し、その隙に月へテレポートし撤退に成功しました。
f:id:ELEKINGPIT:20220204194818j:imageブラック・ヴォルテックスのパワーを得たガモーラ。無限の力は殺戮卿団すら圧倒する。

 

これを目撃した合同チームはブラック・ヴォルテックスの行方を巡って議論が巻き起こります。無限の力を得られるならばそのパワーでより強大な敵とも戦える、とクィル。誰にも無限の力を渡さないため破壊するべき、とキティ。両者の意見は合同チームをも2派に分けるほど発展します。そんな議論を余所にブラック・ヴォルテックスに魅入られたビーストとエンジェルもパワーアップ。特にビーストは自らの知能を大幅に強化したのか、全宇宙の真理を一瞬で理解する程です。ブラック・ヴォルテックスの力に触れた3人はこの力こそが銀河に平和をもたらす鍵だとし、あっという間に鏡を持ち去ってしまいました。さらにその直後にミスターナイフの大戦艦が現れます。怒りを隠そうともしない砲撃が合同チームへ容赦なく襲い掛かりました。
f:id:ELEKINGPIT:20220204222827j:imageブラック・ヴォルテックスの力に触れた3人。この力こそが銀河に平穏をもたらすと確信する。

 

どうにか砲撃をやり過ごした合同チーム。クィルの用意した臨時の宇宙船で3人の後を追うことにします。さらにサイクロプスの父が指揮を執る宇宙海賊スタージャマーズと合流し、戦力の拡充に成功しました。しかし3人はどこへ? 答えは意外な形で見つかります。2つの救難信号です。1つはスパルタックスから。謎の生物に襲われたと助けを求めています。そしてもう1つはクリー帝国から。なんとブラック・ヴォルテックスに触れた3人が帝国の首都ハラを襲撃しているのです。驚き戸惑いつつもクィル達は殺戮卿団の注意を引くため数人を残しそれぞれの星へ向かいます。クリー帝国ではクリー軍と3人の激しい戦争が行われていました。強大な力を持つクリー軍とはいえ、ブラック・ヴォルテックスのパワーを得た3人にはまるで歯が立たない様子。ロナンも星と運命を共にする覚悟を決めているほどでした。どうやらブラック・ヴォルテックスを奪ったクリー帝国が報復とばかりに襲撃されているようです。このままではクリー帝国が滅亡するのも時間の問題。そこでクィルはロナンへある提案をします。ロナンもブラック・ヴォルテックスの力を得ようというのです。確かにロナンほどの実力者がブラック・ヴォルテックスのパワーを得ればあの3人とも戦えるでしょう。状況が逼迫している今、選択肢は1つしかありませんでした。
f:id:ELEKINGPIT:20220204224952j:imageブラック・ヴォルテックスから無限の力を得るロナン。クリー存亡のために手段は選ばない。

 

甚大な被害を出しながらようやく3人を退けたロナン達。しかし災禍はまだ終わりません。今度はミスターナイフの大戦艦がクリーを襲撃したのです。傷つき疲弊したクリー軍に抵抗する力は残っていませんでした。圧倒的な砲火の前に人々は逃げ惑うばかり。ミスターナイフはそれを嘲笑うかのように一撃、そしてまた一撃をクリーの大地に叩き込みます。これから起こる出来事を予感したクィルは宇宙船のスラスターを全開に。悲劇はその直後に起きます。クリーの星が見るも無残なほどに抉られてしまったのです。辺り一面が閃光に包まれるほどの大爆発。ヒーローも自分たちの無事にほっと胸を撫で下ろすほど恐ろしく冷徹な攻撃でした。しかしその中には爆発に巻き込まれたものも。ノヴァがブラック・ヴォルテックスと共に行方不明になったのです。
f:id:ELEKINGPIT:20220204230044j:image星そのものを壊滅させうる程の砲火。この砲撃でノヴァもブラック・ヴォルテックス行方不明に。

 

〈大きすぎる力〉

ブラック・ヴォルテックスというただ1つの鏡を巡って起こったこの戦い。無限の力という突拍子もないほど魅力的なパワーに惹かれる人間は多いでしょう。またそれを使えば豊かさと平和をあらゆる生命体へ享受出来るはず。しかし大きすぎる力は時に人間の力を飛び越えようと暴走する可能性も大いにあります。銀河を守るために無限の力を得るべきか? それとも暴走の危険を鑑み無限の力を封印すべきか? 作中で議論されたこの話題を私なりに考えたいと思います。

マーベルユニバースの宇宙には想像を絶するほどの大いなる力を持った種族が数多く存在します。また善悪という概念をも超越した神と呼ばれる存在も。上を見ればキリがありません。もしそんな上位存在達が気まぐれにでも人類に牙を向いたら? そうでなくともサノスのような脅威は存在します。既存の戦力ではどうにもならないような敵が現れた時、為す術もなく人々が殺されるのをただ見ているしかないのか? 無限の力ならその事実に抗うことも可能でしょう。

では実際にブラック・ヴォルテックスの力に触れた3人はどうなったでしょうか? 無限の力を得た3人はその万能感からか自らを神のごとく振舞っていました。ある星には平和と豊穣をもたらし、一方クリーには戦争という災禍をもたらしました。ビーストに至っては好奇心で時空連続体を傷つけてしまうほど。普段ならば考えられない行動の数々、暴走したと考えていいでしょう。銀河に平和をもたらすといいながら銀河の平和が3人の倫理観次第とはお世辞にもいい世界とは言えません。

銀河の平和のために無限の力を得るべきか? 暴走する危険を考えて封印すべきか? ブラックヴォルテックスの力を得ることが無条件な、私は封印すべきと考えます。ソーのハンマーの例がわかりやすいでしょう。神の鉄槌たるムジョルニアは「相応しい人間」以外が扱おうとしても持ち上がりすらしません。神の武器というとてつもないパワーを持つ道具へ「使用者の選定」が行われていたのです。もちろんならず者達に力が与えられないようにセキュリティ一することはもちろん、与えられた力で暴走しないよう「相応しい人間」という持ち上げた後もその価値を見極め続けたのです。どんな強大な力でもそれを持つ者が暴走してしまっては平和どころでは無くなってしまいます。それにブラック・ヴォルテックスの力はムジョルニアのそれとは比べ物になりません。どんな崇高な目的があったとしても、それほど強大な力を抑え込める人間は限られています。ならばそれを封印すべきではないか? 思えてなりません。