アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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CAPTAIN MARVEL vol3 ALIS VOLAT PROPIIS

来たる2015年版シークレットウォーズに向けて、ALL-NEW MARVEL NOW! も最終局面を迎えました。それにあわせて今シリーズもいよいよ最終回。わずか1年で閉幕となってしまいましたが、MARVEL NOW! 以来新たなキャプテンマーベル像を追求し続けた名作揃いのシリーズとなりました。新キャプテンマーベルを第一線のヒーローとして定着させたシリーズ最終巻となった今作。宇宙の守護者として戦い続けたキャロルが果てに見たものとは? 最後まで目を離せません。
f:id:ELEKINGPIT:20220308220135j:imageCAPTAIN MARVEL vol3 ALIS VOLAT PROPIIS

 

前回はこちらelekingpit.hatenablog.com

関連記事elekingpit.hatenablog.com

 

〈あらすじ〉

ライラの助けで一時的に地球へ帰り、危篤状態の恩人トレイシーと会ったキャロル。隣人のキットの成長に喜びを感じるのもつかの間、敵の罠を撃退し、宇宙の旅を続けることに。しかし母船に帰ってくると、留守を頼んでいたティクの姿がなかった。

 

〈次の冒険へ〉

しばし地球へ帰郷していたキャロル。しかし宇宙船へ戻ると、留守を任せていたティクと飼い猫のチューバッカがいません。さらに宇宙船に搭載されたAIも応答がありませんでした。一体この数日で何があったのか? 急ぎ記録映像を確認すると、そこには宇宙海賊がティクとチューバッカを連れ去る姿が。この宇宙海賊はかつてジェイ・ソンが雇っていた凶悪な一味です。その手口から恐らく、ティクを奴隷にするために誘拐したのだと思われます。そして海賊共の本命は、以前絶滅したはずの古代生物フラーケンと判明したチューバッカでしょう。チューバッカもティクも危険極まりない状況へ置かれているのは確かです。
f:id:ELEKINGPIT:20220309001845j:imageチューバッカ達を連れ去った宇宙海賊。凶悪かつ強力な敵に立ち向かえる市民は少ない。

 

宇宙海賊の拠点へ行くには、危険な生物が蔓延る宙域を突破し、艦隊を振り切らねばなりません。しかしティクを連れ去った時のダメージがまだ船には残っているようで、万全の体制からは程遠い状態。それでもキャロルは躊躇うことなく操縦桿を握ります。一方ティクは海賊船内で過酷な労働を強いられていました。見渡すと同じく強制労働に従事する人が数多くいます。しかし誰も生きる希望を失うほど深く絶望してはいません。ここで死ぬつもりは無い。生きて帰れるその日まで、じっと機会待ち続けるのだ。ティクもキャロルが助けに来ることを信じて苦難を耐えます。キャロルが現れたのはまさにそんな時でした。瞬く間に艦隊を蹴散らしたキャロルは、海賊へ降伏を迫ります。そして強制労働者たちもこの騒ぎに便乗して蜂起。あっという間に海賊達は一目散に逃げていきました。呆気なく船を奪えたティク。大きな宇宙船を手に入れた今、独立して深宇宙まで冒険するという夢に1歩近づいたこととなります。ティクとキャロルには別れの時がやってきたようです。
f:id:ELEKINGPIT:20220309010952j:image「これから寂しくなるよ」涙目で見つめるティクへ敬礼で応えるキャプテンマーベル。2人の厚い友情はどれほど離れても変わらないだろう。

 

長旅の末、キャロルも地球へ帰ることとします。パートナーのローディや親友のジェシカ(スパイダーウーマン)と顔を合わせるのはおよそ1年ぶり。上機嫌で地球へやってきますが、出迎えたのは妙に重たい空気。戸惑うキャロルへ告げられたのは、恩人のトレイシーの訃報でした。突然の報せにはガックリと項垂れるしかありません。そんなキャロルへ、スティーブはスっとトレイシーの遺書を差し出します。そこにはトレイシーもまた自らの恩人を失った過去が綴られていました。自分も1度は挫折しかけた。その人がいない人生なんて考えられなかった。しかし遺書の文章は決して暗くはありません。様々な困難や苦難を乗り越え、なおも力強く生きたトレイシーの人生そのものが乗り移っているかのようでした。
f:id:ELEKINGPIT:20220309015705j:image海岸に響き渡るキャロル達の笑い声。トレイシー最後のサプライズで、笑顔の溢れる葬式となった。

 

〈キャロルの強さ〉

今シリーズを通して描かれた、「キャロルの強さ」。それは決して秀でた能力を持っていることや高い格闘術を持っていることではありません。キャロルは新キャプテンマーベルとして人々の希望となるという強さが描かれていました。また人々の希望となることがキャロルを新たなキャプテンマーベルという証明にもなっていました。一方、キャロルがキャプテンマーベルとなる以前からトレイシーにとってキャロルは希望だったことが分かります。トレイシーの恩人の葬式はキャロルも参列していました。その時キャロルが発した「今は次のステップを考えればいい」という言葉が、トレイシーを支え続けていたのです。誰にとっても希望となる、キャプテンマーベルとしてより成長することを最初に掲げられた今作。最後には、最も身近な人物から既に希望となっていたことが明かされました。ただ大きくなるだけではない、芯の通った「強さ」への礎が築かれたのです。