アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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STAR WARS DARK TIMES #1〜#5

今回もEP3シスの復讐から続くレジェンズのシリーズを取りあげたいと思います。STAR WARS DARK TIMESはシスの復讐の直後を描いたオンゴーイング(定期連載)シリーズです。これまで取りあげてきたPURGEシリーズなどを含めても、今作の時点でシスの復讐から4週間しか経っていないとは驚きです(あまり細かいことを気にしてもしょうがないとは思いますが)。あるジェダイから見た帝国勃興を描いた本作。帝国が銀河へもたらしたもたらした闇の時とは?
f:id:ELEKINGPIT:20220303155611j:imageSTAR WARS DARK TIMES #2

 

 

〈あらすじ〉

遠い昔、はるかかなたの銀河系で……

ジェダイオーダーが滅びた。長きに渡りジェダイが率いた戦争は、共和国でも独立星系連合でもなく、帝国が勝利をもぎ取った。

オーダー66の発令以来銃声の止まぬ星で、ジェダイのジェニアは分離主義勢力と手を結び帝国と戦っていた。この戦いに勝ち目はないと悟りながら。

帝国軍脅威の戦車部隊に、ジェニアらの抵抗は意味などなかった。残る道は2つ、共に逃げるか、共に戦うか……

 

〈時は闇へ〉

共和国のジェダイとして分離主義勢力のノザリアンと戦っていたジェニア。しかしオーダー66の発動で一気に味方を失ったジェニアは、帝国の暴挙を訴えて分離主義勢力と共闘、帝国軍と戦うことになりました。しかし帝国軍戦車部隊の到着で帝国軍勝利が確定的となります。ノザリアンの主力な武器はブラスターしか無かったのです。ノザリアンは非戦闘員の撤退を決断。宇宙港から星を脱出する算段を立てます。殿を務めるのはジェニアとノザリアンの精鋭部隊です。ノザリアンのボモは死を覚悟し、妻と子どもだけでも先に行かせる決意をします。そしてジェニアと共に戦場の最前線へ向かいました。結果は惨敗。偶然から戦場を離れていたボモとジェニアが再び到着した頃には、精鋭部隊が一人残らず全滅していました。ボモは絶望しながらも宇宙港を目指します。今から高速船に乗れば避難した妻と子どもに会えるでしょう。ジェニアもそれに快く同行します。
f:id:ELEKINGPIT:20220306013108j:image全滅していた精鋭部隊。たった一瞬で帝国は全てを奪い去った。

 

宇宙港は帝国に占領されていましたが、2人はなんとか忍び込むことに成功します。ところが奇妙なことに宇宙港は宇宙船で満杯です。もし避難した市民たちが星を脱出しているなら、この港にある宇宙船の殆どが使われているはず。まさか……絶望的な予感が胸に広がっていく時、同じくこの港に潜入していた宇宙海賊を発見します。海賊は避難民の行方を知っているといいます。なんと避難民は港で帝国軍に捕まり、奴隷として売られたというではありませんか。ボモ必死の訴えを聞いた船長のヘレンは、船員たちと話し合った結果奴隷解放のために動き出すことを決めました。しかし目的地の星オーヴァックス4は、かつて奴隷だった船員が名前を聞くだけで震え上がる恐ろしい惑星です。奴隷市場で栄えるオーヴァックスは、恐らく金持ちに売り払われるか、売れ残れば捨てられる運命しかありません。絶望感に苛まれながら、わずかな希望を信じてオーヴァックス4を目指します。
f:id:ELEKINGPIT:20220306014712j:image華やかな町並みが広がるオーヴァックス4。「銀河一の地獄」は、富豪にとっては天国のようだ。

早速ボモはノザリアンの牢獄を発見しました。しかしそこに妻と子の姿はありません。焦るボモへ、同胞の1人が語りかけます。ボモの子は奴隷商人が特に気に入ったようで、真っ先に売り飛ばされたこと。その子を守ろうと妻は懸命に戦い、無惨にも殺されたことを。生きてさえいれば。その一心でここまで来たというのに、ボモは涙を流しながら崩れ落ちます。ジェンナもヘレン達もかける声が見つかりません。半ば錯乱状態のボモは、せめて子供を売り妻を殺した犯人を探し出そうと暴走。この星でそんな行動を取れば殺されかねません。戦争を乗りこえ親友の絆を結んだ、ジェダイのジェンナがその役を負うことになりました。ジェンナもこの事件に「怒りを感じ」ており、約束通り一晩で犯人を発見します。しかし時すでに遅し、別の惑星まで売り飛ばされたと帳簿リストを示されました。小金のために他人の人生を弄び、今はこうして必死に命乞いをしている。ジェンナの「怒り」は頂点に達します。気付いた時にはブラスターが光を発していました。
f:id:ELEKINGPIT:20220310162728j:image「無抵抗の人間を殺した」ジェンナ。自分でも驚くほど心が静かになっていった。

 

帳簿によれば、ボモの子は惑星エッセレスのデゾノ・キュアに買われたとありました。ならば次の目的地は決まったも同然です。煌びやかな建物が並ぶエッセレスで、ヘレン一味は優雅な食事に囲まれていました。しかしどれほど美味な料理が運ばれてもボモの表情は晴れません。重苦しい空気のまま一味はエッセレスで夜を迎えした。水を打ったように静かな夜、突然ブラスターの音が響き渡りました。ヘレン一味がデゾノ・キュアの宮殿を襲撃したのです。警備用ドロイドを強行突破し、デゾノ・キュアへ銃口を突きつけるまでそう時間はかかりませんでした。子どもはどこへ? ボモは声を荒らげます。わざわざ労働力にもならない子供を買ったからにはなにか理由があるはず。デゾノはニヤッと気味の悪い笑みを浮かべました。そしてあまりにも残酷な事実を語ります。
f:id:ELEKINGPIT:20220311010453j:imageボモの子を食べたと告げるデゾノ。無慈悲な言葉にボモは涙と怒りがぐちゃぐちゃに混ざり合う。

 

〈真のジェダイ

怒りに駆られて無抵抗の人間を殺したジェンナ。怒りに身を任せることも、無抵抗の人間を殺すこともジェダイの掟に反しているということに悩んでいる様子が本作後半ではよく見られました。ライトセイバーを捨てようかと考える程です。自分はジェダイにふさわしいのか? ボモのために行ったこととはいえ、これはジェンナの大きな罪です。しかしジェンナが悩む理想のジェダイとは、共和国末期の時点で存在していたのでしょうか? 今回は理想のジェダイ像について考えたいと思います。

ジェダイには様々な掟が定められています。執着を無くすために恋愛を禁じたり、怒りを表すことなどが有名でしょう。どれも暗黒面に落ちないための掟ですが、時としてそれはまるで抑圧しているだけのようにも思えます。さて、人は強い抑圧を続けるとどうなってしまうのでしょうか? 抑圧され満たされなかった欲求が別な形で発露するのです。例えばあまりの待ち時間の長さに机を指でトントンと小突き続ける、などがその例でしょう。共和国末期のジェダイはあらゆる負の感情を抑圧し、また恋愛しないために抑圧を課し続けました。これほど巨大な抑圧ならいつ爆発してもおかしくありません。もちろんそれはジェダイオーダーへの反乱などではなく、もっと別の形で現れていたかとしません。しかし抑圧の結果押さえつけられたものが弾き出され、また新たに暗黒面の信奉者が現れてもおかしくないでしょう。遅かれ早かれ共和国末期のジェダイが倒れたのは必然だということです。

ではジェダイが真に必要だったのはなんでしょうか? 決して感情の抑圧ではないと私は考えます。例えばEP6後のルークは、暗黒面と光明面両方に精通したジェダイマスターです。EP3のアナキンも怒りを適度に力へと変えることで大きなパワーを得ていました。つまり、ジェダイとして優れた腕前を保つには、ある程度感情と向き合う必要があるのです。負の感情や執着心とも向き合い、自分の中で決着をつける。「調和」が必要だったのではないでしょうか?