アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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IRON MAN#183〜#185

前回、ついにアルコール依存症から脱する道を見つけたトニー。しかし物語にはまだまだ問題が山積みです。未だオバディアと戦う意思を見せないトニーと、それに何故かホッとしていたローディ。2人の微妙な関係性は今後の物語の鍵となることでしょう。
f:id:ELEKINGPIT:20220316101738j:imageIRON MAN #184

 

前回はこちらelekingpit.hatenablog.com

 

〈あらすじ〉

壮絶な体験を経てアルコール依存症から立ち直ったトニー。一方ローディは日に日に強くなる頭痛を無視できずにいた。そして新会社設立のために奔走するアーウィン博士らに転機が訪れる。

 

〈いざカリフォルニアへ〉

アイアンマンのパワードスーツ実験を続けるローディへ入ってきた緊急連絡。ニューヨークの高層ビルで襲撃があったというのです。テナントビルとして巨額の収入を得るはずが、ヴィランの襲撃で台無しになる可能性も。アイアンマンヘ高額な依頼料と共にヴィラン退治を要請しました。新会社設立のために資金を集めているローディにとってはまたとないチャンスです。メンテナンス中のためリパルサーブラストは使えませんが、早速ニューヨークへ駆けつけます。情報によれば、襲撃されていた場所はビル内に建設された怪しげな研究所でした。そこには闘牛のコスチュームをした人物と巨木のような体格の人物が。闘牛のコスチュームをした人物にローディは覚えがありました。かつてアベンジャーズと戦ったヴィランチーム「ゾディアック」の一員で、おうし座を司るタウロスです。隅で怯え隠れている人物に尋問すると、ここはタウロスが設けた秘密研究所とのこと。ゾディアックはニューヨークへ魔の手を広げようとしていました。しかしニューヨークの裏社会は既にマギアと呼ばれる極悪マフィアグループのナワバリです。マギアは自らのナワバリを守るために工作員を送り付け、タウロスの研究所を破壊しようとしていたのです。ヴィラン同士の衝突でも、助けを求める人物がいれば手を差し伸べるのがヒーローの役目。ローディはマギアの工作員と戦う決意を固めます。しかし巨木のような体格を持つ工作員には、鉄壁をも破壊する拳も通用しません。フルパワーのユニビームすら効果はなし。リパルサーブラストが使えない今、トニーのように機転を利かせた戦い方が重要となるでしょう。無敵の防御力を持つ相手に、ローディはある秘策を思いつきます。
f:id:ELEKINGPIT:20220317161310j:imageユニビームさえも無傷で受ける敵。一切攻撃が通じない敵を倒す方法とは?

 

こうして大金を手に入れたローディらは、ついに念願の新会社設立の資金が手に入りました。またアルコール依存症から回復したトニーが合流、4人で新たな会社を興すこととなります。クライ博士の提案で、その拠点はカリフォルニアのシリコンバレーに決定。早速荷造りをしてシリコンバレーへ向かうことに。しかしその裏では、野望に燃えるタウロスの姿がありました。マギアからその身を助けてくれたアイアンマンへ、「秘密を知りすぎた」と激しい憎悪を抱くようになったのです。組織内でも頭脳派なタウロスは、瞬く間にアイアンマンの正体をローディやトニーら4人まで絞りました。4人がシリコンバレーへ向かっていることを知ったタウロスは、同じくゾディアックのおひつじ座を司るアーリス、みずがめ座を司るアクエリアスに協力を要請。道中で様々な罠を仕掛けました。力自慢でアイアンマンを自身の超パワーのみで倒そうとするアーリス、独自の部下を持ち狡猾な罠の数々を「芸術」と呼ぶアクエリアス。トニーとローディそれぞれの閃きと機転が、凶悪なヴィランと激突します。
f:id:ELEKINGPIT:20220318014540j:image敵の罠に陥り囚われてしまったアイアンマン。トニーの助言で光明を見出していく。

 

〈トニーとローディの確執〉

今作で目立ったのは、復活したトニーへ複雑な感情を抱くようになったローディの姿です。当初はトニーの合流に誰よりも喜んでいたローディですが、アーウィン博士らへ的確に助言する姿を見てイライラを隠そうともしないようになります。時には「今は誰がヒーローだと思っているんだ」とそのアドバイスを聞かなくなる時も。恐らく4人はトニーがいなければシリコンバレーへ到着する前に死亡していたことでしょう。しかしこれがローディにとって面白くない。トニーはこれまでの罪悪感からローディへ反論出来ず、まるで最初からなかったかのように2人の絆が薄まっていきました。何故ローディはトニーへイライラを募らせているのでしょうか?

鍵となるのは「I am IRON MAN」でしょう。ローディはこの言葉を何度も心の中で呟いていました。トニーと合流する前は「トニーほどの機転はない」としながらも自らのスタイルを確立させつつ戦い続けていました。しかしトニーと合流して以来、自分こそがアイアンマンだと主張するばかり。トニーの機転に頼る時も追い詰められた場合だけです。「無敵の鎧に囚われた」ローディは、無自覚ながら万能感に包まれていたのです。しかし当然鎧がなくなれば無敵でも万能でもなくなります。トニーがアイアンマンへ復活することを過度に恐れていると考えるのが妥当でしょう。

さらに、ローディにはパワードスーツを着用する度に激しい頭痛に苛まれる悩みがありました。現在は頭痛薬でどうにか痛みを抑えていますが、それでも戦いに集中出来なくなるほど痛む時も。普段のローディなら無敵の万能感だって自分なりに解決出来ていたことでしょう。しかしこの耐え難い頭痛がローディの余裕をなくし、視野を狭くし、結果トニーへ辛く当たってしまうのだと考えられます。この頭痛の原因が何かすら分かっていないのが現状。新会社が設立されれば経営者としても十指に入る手腕を持つトニーが加われば、瞬く間に中心人物となるでしょう。トニーに自分の居場所が奪われる感覚が頭痛によって強くなっているはず。ジワジワと自分の立場が追い詰められる感覚は、オバディアによって会社から追い出されたトニーと極似しています。明確に倒すべき敵であるオバディアと違い、協力すべき仲間であるトニー。ローディに用意された壁は想像以上に高いものとなりました。