アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

STAR WARS VADER DARK VISIONS #1 SAVOR

世界的に有名な悪役、ダース・ベイダー。冷酷無比なシスの暗黒卿であり、容赦なく人を殺すさまに恐怖した方も多いでしょう。さて、今回紹介するSTAR WARS VADER DARK VISIONSは、そんなベイダー卿に関するシリーズです。あらゆる角度からベイダー卿を描き直した本作、そこには「傍若無人な敵」だけでない新たな姿がありました。
f:id:ELEKINGPIT:20220502141224j:imageSTAR WARS VADER DARK VISIONS SAVOR

 

〈あらすじ〉

遠い昔、はるかかなたの銀河系で……

シアナップの人々は絶望に暮れていた。たった1匹の怪物が惑星全てを支配してしまったのだ。

ある時、上空から突如現れたのは1人の人間だった。そよ風に揺られる黒いマント、光を嘲笑うかのように真っ暗な装甲服を着た人間が。

赤い刃を振るうあの人間は神か悪魔か? シアナップの運命はあの刃に託された!

 

〈黒い騎士〉

銀河の中でも穏やかな星、シアナップ。地球によく似た環境を持つその星は、小麦色の大地を撫でるように風が吹き、蔦にまみれた木々が生い茂る美しい世界が広がっています。しかし1歩外に出てみれば、割れっぱなしの窓ガラスに今にも崩れそうなビル群、荒廃したかつての都市の姿も。シアナップはかつて高度な文明を持ち栄えていた惑星でした。しかしある日突然現れた「エルダー」と呼ばれる怪物に全てを破壊され、今や地下で原始的な生活をせざるを得ないほど追い込まれてしまいました。かつての黄金時代を知らない少年は、木々もビル群もまるで庭のように駆け回っていました。お気に入りの昼寝スポットはポッカリ空いた窓ガラスの向こう側。上空から爆炎が見えたのはその時でした。実はシアナップの遥か空、真空の宇宙では帝国軍と反乱軍の激しい戦闘が行われていたのです。爆発とともに墜落する戦闘機が、シアナップの村々からも見えました。人々は興奮気味に戦闘機が墜落した場所へ急ぎます。少年が着くとまもなく、戦闘機から人影がぬぅっと現れました。黒いマントに黒い装甲服、どこか人間味を感じないながらも強い力を感じさせる人物です。しかしこの人物に興味を持ったのは、シアナップ人だけではありませんでした。エルダーが目覚めたのです。f:id:ELEKINGPIT:20220503013230j:image惑星の文明を衰退させた巨大生物エルダー。黒い装甲服の人物に、睨むような強い視線を送る。

 

エルダーも黒い人物の戦闘はすぐさま始まりました。黒い人物は手元から突然赤い光の刃を伸ばし、焼き切るように攻撃を繰り出します。その様子はまるで騎士。少年は戦いで全てが変わることを予感し、急いで両者が戦う場所へ向かいます。黒い騎士とエルダーの戦いは、まるで天変地異のような迫力でした。波をも利用し、互いの力を利用し、巻き込まれたかつての都市は瓦礫の山になりつつあります。それでも両者は戦いをやめようとはしません。どちらかが倒れるまで終わらない、正しく生存競争ともいえる光景に、少年はじっと圧巻されていました。この星に災厄をもたらしたエルダーを討伐する「黒い騎士」。その姿は正しく「英雄」そのものです。こうしてシアナップの歴史は大きく変わることとなりました。
f:id:ELEKINGPIT:20220504223333j:image「フォースとともにあったのだろうな」助けた少年へ一言残したダース・ベイダー。その姿はまるで……

 

〈シスの騎士〉

惑星1つを救い、少年に英雄のような姿を刻みつけたベイダー卿。その姿にアナキン・スカイウォーカーを重ねた方も多いのではないでしょうか? しかしベイダー卿が戦いを始めた理由は決して惑星を救うためでも英雄になるためでもなかったのは明白。両者が戦いを始めた理由は、言うなれば「邪魔だから」以上にほかなりません。では何故ベイダー卿は少年を助けたのでしょうか?

昔の自分と重ねた、というのはもちろんあるでしょう。向上心が強いかつての奴隷と。しかしそれだけとは思えません。ベイダー卿の「フォースとともにあったのだろうな」というセリフは、紐解けば「フォースの運命に導かれたのだろう」と解釈できるでしょう。かなり受動的なセリフです。またシスの暗黒卿ならば、フォースの運命により惑星1つを救うようになるのでしょうか? ここにベイダー卿の「シスの暗黒卿」としての異質さが現れていると考えます。ベイダー卿は、パドメの命を救うために暗黒面に身を落としたかつてのアナキンです。その後の会話からもわかる通り、アナキンは平和をもたらすための強大な力を身につけようとしていました。アナキンはあくまで善の力として暗黒面を利用しようとしていたのです。つまり、ベイダー卿は完全に暗黒面に落ちることはなかったのではないでしょうか? ダークサイドに溺れながらもライトサイドの心が残っていたからこそ、少年を助けるというフォースの運命に導かれたのかもしれません。