アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

MENU

STAR WARS JEDI FALLEN ORDER DARK TEMPLE

今回紹介するSTAR WARS JEDI FALLEN ORDER DARK TEMPLEは、ゲーム「STAR WARS JEDI FALLEN ORDER」のスピンオフコミックです。ゲーム内ストーリーでは主人公カルを導く存在として登場したシアと、ストーリーの鍵を握る古代文明を調査していたコルドヴァ。そんな2人の共和国時代はゲーム内でもほとんど語られておらず、今作にて2人の関係性が初めて深堀されました。また、アナキンやオビワンが登場しない旧共和国後期を描いたストーリーは珍しく、それだけでも一見の価値あり。ゲームをプレイした方はもちろん、未プレイの方も是非お手に取ってはいかがでしょうか?
f:id:ELEKINGPIT:20220809132948j:image

 

〈あらすじ〉

遠い昔、はるかかなたの銀河系で……

ジェダイの反乱から5年の月日が経った。未だ芽吹きつつある希望の種を狩るため、今や銀河中に尋問官が派遣されている。

反乱同盟軍に触発され、帝国に牙を向いた惑星へ派遣されたセカンドシスターは、古びた寺院でジェダイの痕跡を発見した。捨てられたライトセイバー、古びた寺院、死にかけのドロイド。

それらはかつて起きた戦争の証だった。たった一人のパダワンが、惑星に革命をもたらした証なのだ……

 

〈革命の旗〉

ジェダイマスターにして考古学者でもあるイーノ・コルドヴァは、パダワンであるシア・ジュンダを連れて様々な任務をこなしていました。コルドヴァは豊富な知識を用い、ライトセイバーを使わない交渉術が得意。そのため無用な血が流れない平和な問題解決を導き続けていました。一方シアはそんなコルドヴァのようなジェダイを目指しますが、まだまだ忍耐が足りないよう。そんな2人に評議会から新たな任務が下されます。惑星オントトでの護衛任務です。オントトは最近共和国に加盟した惑星ですが、未だ政情が不安定。そんな時に発見した古代寺院の発掘調査に、テロリストから襲撃を受けないよう守って欲しいというのです。発掘調査はその地帯でも有名なDAA社が行うとのこと。2人は早速惑星オントトへ向かいます。迎えに来たのはDAA社の創業者ダイラントでした。ピンク色の雪が降る幻想的な惑星オントトは、共和国に加盟するために最近統一政府が出来たばかり。しかし全ての民族がそれに賛成したわけではなく、フィラリと呼ばれる民族はずっと反対し続けていました。交渉しようにもフィラリの領土に入った途端攻撃される始末。発掘調査を行う寺院もフィラリの領土内にあり、護衛なしでは近づくことさえままならないのです。政府との兼ね合いや危険性から、ダイラントの案内も途中まで。重武装した装甲車に乗せられ、2人はフィラリの領土へ向かいます。しかしその瞬間、装甲車から爆音が響いたではありませんか。外ではDAA社の護衛兵が全滅。急ぎ戦おうとシアは外に出ますが、装甲車の爆発に巻き込まれて意識を失ってしまいました。
f:id:ELEKINGPIT:20220810164216j:image強い爆風に巻き込まれて吹き飛ぶ2人のジェダイ。この瞬間、オントトの運命は誰もが予想外の方向へ進んでいく。

 

シアが目を覚ますと、そこはフィラリの拠点でした。テロリストに拘束されたのか? シアは警戒度を高めますが、フィラリの長ネラリは違うと言います。確かにフィラリも攻撃はした。しかしそれは、別の組織の攻撃から身を守るためだったというのです。その証拠に、ネラリは攻撃者の衣服の一部を見せます。そこにはDAA社のロゴが入っているではありませんか。フィラリはジェダイを救うためにDAA社を攻撃したのです。何とかシアは助け出せたものの、コルドヴァはどこにもいなかったとの事。この問題は想像以上に根深いのでしょう。シアはコルドヴァの言葉を思い出します。まずは相手の文化を知り、尊重すること。そこで、フィラリが何故何者も受け入れようとしないのかを知ろうとします。ネラリはシアを寺院まで連れていきました。DAA社が発掘調査を行おうとしていた寺院です。それはフィラリがこの土地に住み着く以前から建てられていました。あの寺院に何があるのか、どんな秘密があるのかは誰にも分かりません。或いは何も無いのかもしれません。しかしフィラリは、ただ何者もその寺院に近づけてはならないという掟を守り続けているのです。フィラリは共和国との国交も貿易も、発掘調査も望んではいません。むしろその意見を無視して強引に進めたのはオントト政府であり、DAA社ではないか。ネラリの訴えに、シアは心を動かされます。ジェダイが守るべきは正義。正義の使いとして任務をこなしている。ならば自分の正義に従うまで。
f:id:ELEKINGPIT:20220810183321j:imageフィラリが守り続けてきた寺院。途方もない間大切にされてきた文化を、利益のために破壊するDAA社の行為にシアは激怒した。

 

とはいえいきなり戦争をふっかけてしまえばそれこそテロリストと変わりません。賢者コルドヴァの弟子として、まずは対話から始めようとします。議会の場に立ちDAA社の行いを告発しようとしたのです。ところがどれほど訴えても、どれほど証拠を並べてもオントト政府は聞く耳を持ちません。それどころか「共和国の使者を攻撃した罪」で軍を派遣したではありませんか。なるほど戦いが望みならば立ち向かうまで。こちらへ進軍するDAA社に、フィラリは遂に銃を取り立ち上がります。ジェダイが味方にいる以上、フィラリの優勢は明らかでした。ここで無闇に人を殺すべきではないと考えたシアは、あくまで我々が攻撃するのはドロイドのみにしようと提案。最小限の犠牲で戦いを優位に進めます。さらにシアは、もう一度交渉しようとダイラントの乗る装甲車へ侵入します。護衛兵を倒し、停戦を呼びかけるシア。しかし予想外の人物が止めに入りました。死亡したと思われた、コルドヴァです。
f:id:ELEKINGPIT:20220810185413j:imageダイラントを守ろうと現れたコルドヴァ。シアとは全く逆のことを説明されたのか、フィラリをテロリストと信じていた。

 

ジェダイの役割〉

あくまで共和国の使者として任務をこなすことが多いジェダイ。しかしシアのように、ジェダイ=正義と信じて行動する場合も。ジェダイの求められる役割とはなんなのでしょうか?

クローン戦争が勃発する前の共和国後期は多く描写されていませんが、EP1などを見るにジェダイの仕事は「交渉」が主だったものなのでしょう。実際今作序盤でも、コルドヴァはある惑星へ交渉人として派遣されていました。またクローン戦争以前の共和国は軍隊すら持ち合わせておらず、警察機構もありません。恐らくジェダイはそういった面も担っていたのでしょう。時に悪人を追いつめ、共和国の使いとして様々な惑星と交渉を行うジェダイ。総じて、秩序をもたらす存在と言えるでしょう。これはジェダイの教義にも則った行為です。しかし時として求められる正義が秩序ではないような場合も。今作のようなケースが少なかったとは言いきれません。私はそれでも、ジェダイが「共和国の秩序」のために戦うのではと考えてしまいます。シアはパダワンで未熟な部分も多かった。だからこそ柔軟に立場を変えれたとも言えます。これがもしジェダイマスターならば……コルドヴァのようなジェダイはむしろ稀で、保守的な考えを持つジェダイが多かったことは映画内でも描かれていたこと。共和国の警察的な役割を任されるジェダイだからこそ、今回のようなケースも目を瞑ってきた可能性は否めないのです。だからこそ分離主義のような反共和国勢力を生み、やがて大きく成長していく原因になったのかもしれません。