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MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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STARWARS VADER DOWN【2022年11月私的ベストアメコミ】

EP4とEP5の間を繋ぐ2つのスターウォーズシリーズ。それぞれが互いに影響を与えながら、しかし本筋には関わらないストーリーが進行されてきました。そんな両シリーズが本格的なクロスオーバーをしたのが本作、ベイダーダウンです。ジェダイ寺院へ向かい修行を始めようとするルーク、我がものにしようと執拗に追いかけるベイダー卿の物語がついに交差するのです。それだけでも一見の価値ありな本作ですが、その見せ所はなんと言っても圧倒的な力を持つベイダー卿の戦闘でしょう。赤子の手をひねるように反乱軍を虐殺するその姿は正しく一騎当千の鬼神です。最強の敵として立ちはだかるベイダー卿に、ルーク達が逃れる術はあるのでしょうか?
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〈あらすじ〉

遠い昔、はるかかなたの銀河系で……

銀河中が震えていた。皇帝の拳として帝国に仕えるシスの暗黒卿ダース・ベイダーは、ついにデス・スターを破壊した人物が自分の子どもだと知り、暗黒面に引きずり込もうと動き始める。

オビワンの手記を手掛かりにジェダイ寺院のある惑星ヴロガス・ヴァスを訪れたルーク・スカイウォーカー。かつてのジェダイ騎士団のようにフォースの使い方を学ぼうとする最中、黒衣の悪魔が現れたことを知るのだった。

裏社会を通じてルーク・スカイウォーカーの居場所を知ったダース・ベイダーは、ドクター・アフラ達を引き連れ極秘でヴロガス・ヴァスを訪れる。3度目の対決に、銀河中のフォースが震えていた……!

 

ベイダー卿、堕ちる!〉

ヴロガス・ヴァスにあるジェダイ寺院をルークが訪れていると知ったベイダー卿。同じくデス・スター破壊犯を捜索する帝国将官が見つける前にルークを捕え暗黒面に引き込むため、単騎で目的の惑星まで飛び立ちます。しかしそこには予想外の光景が。なんとヴロガス・ヴァスの上空は反乱軍の訓練中だったのです。Xウィング3個中隊がベイダー卿のTIEインターセプターをあっという間に囲みます。これにはドクター・アフラも驚きを隠せません。しかし超天才的なパイロットの腕を持つベイダー卿の敵ではありませんでした。2個中退を一瞬で壊滅させると、まるで視界にも入っていないのか真っ直ぐルークの元を目指します。一方ダース・ベイダーの飛来をフォースで感知したルークはXウィングで宇宙を目指します。反乱軍にとって、ベイダー卿を捕らえる一世一代の大チャンスです。フォースで相手の動きを予測できる2人のパイロットの勝負は一瞬でした。なんとルークは、ベイダー卿の戦闘機に特攻を仕掛けたのです。
f:id:ELEKINGPIT:20221103161111j:image正面からぶつかるXウィングとTIEインターセプター。空中で起きた親子対決は一瞬で終わった。

 

墜落する両者。反乱軍はすぐさまベイダー卿の戦闘機を捕捉し、地面に激突した瞬間には大部隊が包囲していました。しかしベイダー卿はそれすら全く気にも止めていない様子。1000人以上の大軍相手に、フォースとライトセイバーのみで虐殺を始めます。一方ベイダー卿との通信が切れたドクター・アフラは、ベイダー卿救出のためヴロガス・ヴァスの地へ降り立っていました。しかしそこで遭遇したのは、なんとルーク・スカイウォーカーではありませんか。ここでルークを捕えベイダー卿に引き渡せばより強固な信頼関係と莫大な報酬が期待できるのでしょう。拷問用ドロイドのトリプルゼロを使い、背後から強烈な電撃を浴びせることで気絶させることに成功。あとは倒れたルークを母艦へ運べばいいだけです。ところがその瞬間、ベイダー卿捕獲のためにやって来たハン・ソロの妨害が。元密輸業者同士の激しい撃ち合いが始まります。
f:id:ELEKINGPIT:20221104091811j:imageブラスターを撃ち合うドクター・アフラとハン・ソロ。ルークを巡る戦いはフォースユーザーだけでは留まらない。

 

同刻、ベイダー卿は反乱軍の増援までも全滅させ、わずかな時間で数千人規模の被害を与えていました。残る前線の反乱軍はレイア姫のみ。そこでベイダー卿は、わざとレイア姫を逃し尾行することでルークを探そうと画策します。ところがその瞬間、予想外の人物が現れます。カービン司令官です。カービン司令官は帝国からデス・スター破壊犯を捜索する任務を与えられていた人物。カービンが来たということは、帝国もルークを発見したという事にほかなりません。しかしここで帝国にルークを捕えられては今までの努力が水の泡。逃げるレイア姫をよそに、カービン司令官とベイダー卿の戦いが始まります。カービンはかつてクローン大戦で活躍したグリーヴァス将軍を彷彿とさせる改造ボディを有しており、4つのライトセイバーを用いた連続攻撃でベイダー卿に猛攻を仕掛けます。しかしライトセイバーを最も上手く扱えるのはフォースユーザーのみ。ブラスターキャノンすら簡単に弾くベイダー卿ライトセイバーの数は驚異ではありません。ジェダイ寺院の近くでいくつもの光刃が交わる激しい戦いが続きました。
f:id:ELEKINGPIT:20221104095151j:image怒涛の連撃をさばく鈍重な一閃。ルーク争奪戦は帝国軍同士の戦いまで発展する。

 

〈帝国の拳〉

ベイダー卿一騎当千な活躍が終始続いた本作。それまでのダース・ベイダーシリーズがルークの行方を巡り暗躍するストーリーが中心だったのに対し、今作は多くの戦闘シーンが描かれていました。中でも印象的なのがカービン司令官との対決でしょう。帝国の命令を無視してでもルークを探していたベイダー卿と、正規任務でルーク捜索を任されたカービン司令。カービン司令官が刃を向けたのは、言わば帝国の意思を無視して動くベイダー卿へ差し出された「帝国の拳」なのです。思えば今までダース・ベイダーシリーズは皇帝の姿も多く描かれておらず、皇帝の忠臣という側面はあまり見られません。ベイダー卿は帝国の代名詞ではなく、個人として動いているのです。帝国の代名詞、拳として現れたカービン司令官へ刃向かったのはそんなベイダー卿の立場の表れでしょう。しかし後のEP5やEP6では帝国に仕え続け、時に皇帝の代理人として働く姿もありました。ベイダー卿にとって、帝国とはなんなのでしょうか? それまでのベイダーシリーズと今作を合わせて考えるなら、帝国は言わば「枷」でした。自由にルークの捜索もできず、それどころかデス・スター破壊の責任を背負って降格までさせられていたベイダー卿。自らの行動を大きく制限されていたのです。しかしベイダーダウンではそんな枷が外され、カービン司令官に刃を向けてでもルークを捕らえようと動いていました。反乱軍に対し無双の活躍を見せるベイダー卿はEP4と比べても活き活きしてるように見えます。しかし同時に、帝国の強大な力も理解しているはずです。自らを縛る枷が嫌なら外せばいいだけ。しかしそれをしないのは、出来ないからだと分かっているからです。枷とはいつだって自分より弱い立場に嵌めるもの。ベイダー卿は今の自分では皇帝に刃向かっても勝てないと理解しているのです。