アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

MENU

JUSTICE LEAGUE New52 vol1 ORIGIN

MARVELと同じくアメリカンヒーローコミックの最大手であるDC。膨大な歴史に莫大なキャラを重ね、MARVEL同様巨大なユニバースを構築してきました。今回はその中でも比較的初心者に優しいとされるNEW52シリーズの中心的存在、ジャスティスリーグを紹介したいと思います。私自身DC作品は映画を数本見た程度でほとんど知らないと言っていい程なのですが、そんな私でも楽しめる作品となっています。DC作品に触れてこなかった方々も、これを機に日本語版や原書に手を出してみるのも良いかもしれません。
f:id:ELEKINGPIT:20230228181505j:image

日本語版コミック

 

〈あらすじ〉

世界各地に出現した超人の存在は、人類に困惑と動揺を与えていた。空を飛び光の速さで走る彼らが敵か味方かさえ分からなかったのだ。世界終末の危機が訪れた時、7人の超人達はどちらに味方するのだろうか?

 

〈奇跡を起こす存在〉

バットマンとグリーンランタンは、地球外生命体を追ってゴッサムシティを駆け抜けていました。ところがまるで巨大な虫のようにも見えるエイリアンは、「ダークセイドのため!」と叫び小さな箱を呼び出し自爆します。2人は疑問に思いながらも箱を調べますが、銀河中の知識が詰まっているというグリーンランタンの指輪を用いても何の物質で出来ているかさえ分かりません。宇宙由来の物質に違いないでしょうが、こうなっては検討もつきません。そこで同じく宇宙からやってきたと噂されるスーパーマンを訪ねます。しかしスーパーマンも、グリーンランタンの友人であるフラッシュも心当たりがないようです。首を傾げる超人たち。その瞬間謎の箱からポータルが出現、怪物たちがなだれ込み超人たちを襲います。どうやら謎の箱は各地に存在していたようで、多くの地域で同様の出来事が起こっている様子。さらにこの怪物たちは人間をどこかへ攫っているではありませんか。一刻も早く事態を解明し、解決せねばなりません。
f:id:ELEKINGPIT:20230301001141j:image各地を襲う怪物たち。顔を合わせたばかりの超人たちに、この危機を対処できるのか?

 

人々を攫った怪物たちは、どうやら同じ方向に向かっているようでした。何かしらの意図があるに違いありません。同じく怪物たちを追うワンダーウーマンやアクアマンとも合流し、見つけたのは見たことも無い巨大な物体でした。怪物たちはどうやらその中へ入っていくようです。これが怪物たちにとっての城のようなものだと考えて間違いないでしょう。ならばそこへ向かうまで。ところがその時、ダークセイドを名乗る人物が怪物たちを呼んだポータルから現れます。ダークセイドの攻撃はあまりにも苛烈で強力。なんとあっという間に超人たちが吹き飛ばされてしまいました。素早く立ち上がったフラッシュとスーパーマンも追尾光線で追い詰め、人々を庇ったスーパーマンがノックアウトしてしまいます。グリーンランタン決死の猛攻さえものともせず、超人たちが総出でどうにか足止めできる程圧倒的です。このままでは敗北することは必至。八方塞がりの状況ですが、サイボーグが活路を見出しました。サイボーグは今回の危機で体を焼かれ死を待つ運命でしたが、身体中を特殊金属で覆うことで文字通り改造人間となり生き残った青年です。超人たちの中でも最年少で自身のパワーに戸惑うばかりでしたが、怪物たちやダークセイドとの戦いの中で覚悟を決めたようです。サイボーグは自らの力を使えばもう一度ポータルを開くことが出来ると言います。そこへダークセイドを押し込めば、元の世界へ帰るはず。足止めが精一杯の現状ではそれさえ難しいことですが、解決策はこれしかありません。超人たちの決死の猛攻が始まります。
f:id:ELEKINGPIT:20230301010455j:imageダークセイドをポータルへ押し込むスーパーマン。世界の行方を左右する戦いの決着がつこうとしていた。

 

〈明日への夜明け〉

超人の誕生とそれに動揺する世界。この構図は、今作が発表される約10年前にMARVELが発売したアルティメッツシリーズと類似していると言えるでしょう。しかし今作には、アルティメッツと全く作風が異なる感じる方が多かったのではないでしょうか? 今回は、アルティメッツと今作の違いを比較したいと思います。

アルティメッツの世界では、ミュータントを除きほとんどの超人が人工的な存在でした。例えばキャプテン・アメリカやハルク、アイアンマンなどはわかりやすいでしょう。人は自らの力を超えるために試行錯誤し、その結果超人とヒーローという言葉の違いを身をもって理解することとなります。人工的に生み出された超人は最初から市民や国家に歓迎され、やがてチタウリという外宇宙からの脅威と戦うこととなりました。最後には王道ヒーロー物のストーリー展開となりましたが、それに至るには様々な紆余曲折を経ており、また超人たちがヒーローへと成長する場面も描かれています。ヒーロー達はそれぞれに問題を抱えており、市民の歓迎する様子と比べ本当にヒーローに相応しいのか読者を悩ませる場面も散見していたほどです。一方今作は、外宇宙の脅威からジャスティスリーグが立ち向かうというほぼ同じ構図にも関わらず、ヒーローの描き方で全く違う味を演出してみせました。ヒーローは最初からある程度正義について成熟しており、自分の能力を的確に把握し、ページを捲れば捲るほど応援したくなる姿が増えていきました。しかし市民の反応は、自然発生的に登場した超人の存在に戸惑いを隠せない様子。ゴッサム市警はバットマンを逮捕しようと追いかけ、フラッシュに助けられた市民は感謝ではなく疑念の目を向けていました。しかし最後にはジャスティスリーグをヒーローと認め、称える様子が描かれています。正義を貫く姿に心を打たれたのです。ハルクの暴走などで超人を敬いながら徐々に恐れていくアルティメッツの市民とは正反対な反応でしょう。同じ超王道ストーリーを描いた2作。しかし多くの問題を抱えながら正義を掲げるアルティメッツと正義を誠実に貫くジャスティスリーグでは、全く違う作風となりました。まだまだチーム同士の絆は育まれる最中ですが、固い正義の意志を持つジャスティスリーグに目が離せません。