アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

MENU

ULTIMATE WAR

アルティメッツの台頭と加速するX-Menの活躍。徐々に広がるアルティメット・ユニバースに、クロスオーバーへの期待はグングンと上がっていたことでしょう。本作ULTIMATE WARは、X-Menシリーズの1作でありながら初めて全面的にアルティメッツとクロスオーバーした作品です。それぞれの正義を求めて誕生したヒーローチームがぶつかり合う時、どのような化学反応が起こるのでしょうか?

f:id:ELEKINGPIT:20230530224846j:image

 

関連記事[elekingpit.hatenablog.comelekingpit.hatenablog.comelekingpit.hatenablog.com

 

〈あらすじ〉

マグニートーが復活した。全米を恐怖に陥れたミュータントテロリストが再び現れたのだ。ホモ・サピエンスの血を浴びながら宣戦布告したマグニートーへ、米国はついにアルティメッツの投入を決定。進化と絶滅を巡る究極の戦争が始まろうとしていた。

 

〈磁界王再臨〉

マグニートーが生きていた。エグゼビア教授の手で死を偽装、人格を改変されていたエリックですが、かつて自身が率いていたブラザーフッドにより洗脳が解除されました。そのためエリックはマグニートーとしての記憶と人格を取り戻し、早速復活を宣言したのです。更に未だ虐げられるミュータントの現状に強硬手段を行使しました。ブルックリン橋を爆破、800人以上の死傷者を出すテロが実行されます。全米が震えがある中、マグニートーは全人類へ宣戦を布告。隷属か死か、1ヶ月以内の選択を要求したのでした。当然米国政府はこれを黙って認めるわけにはいきません。大統領は大量殺人の罪共にマグニートーを捕らえることを決意。SHIELDのフューリー長官へアルティメッツの出動を許可しました。アルティメッツは予想以上の戦果を素早く上げます。マグニートーが率いていたブラザーフッドを瞬く間に制圧したのです。しかし肝心のマグニートーの居場所は誰も知らない様子。そこでアルティメッツは、X-Menに協力を求めようとしました。アイアンマンとSHIELDのエージェントが学園を尋ねます。高度なセキュリティに驚きつつも、トニーはより衝撃的な光景を目にしました。なんと学園には人っ子1人いないではありませんか。学園はもぬけの殻だったのです。これではまるで……。目の前の事実に、トニーはある推論を確信します。X-Menマグニートーは協力関係にあるのではないか? マグニートーの戦争にX-Menも加担しているのでは?
f:id:ELEKINGPIT:20230530234258j:image静けさだけが居座る学園。ここでトニーはX-Menの裏切りを確信する。

 

一方X-Menはマンハッタンの地下にある隠れ家で生活していました。このタイミングで地下に隠れたのは、ミュータントとしてさらなる迫害から逃れるためです。またヒーロー活動も密かに行っており、ブラザーフッドの残党を倒し引き渡す行為は何度も繰り返していました。とはいえいつまでも潜伏したままでは埒が開きません。状況を打開するため、エグゼビア教授はマグニートー接触することにします。なんとX-Menマグニートーに協力するというのです。仲間になったフリをしてマグニートーの隠れ家を暴き、奇襲する算段でした。当然マグニートーはこの申し出を訝しんでいますが、断ったとしてウルヴァリンを追跡させる作戦。抜かりはありません。ウルヴァリンはウェポンXの改造手術によりサイキッカーでさえ思考を読めず、感知することさえ不可能。尾行にはうってつけの人物でした。誤算があるとすれば、マグニートーが気付いていたことでしょう。誤算があるとすれば、マグニートーがこれを予期して準備していたことでしょう。アルティメッツがもぬけの殻の学園を見つけてから数日後、マグニートーはアルティメッツを襲撃していたのです。これではアルティメッツはマグニートーX-Menの関係性を疑わざるを得ません。X-Menを尋ねて数日後に襲撃されるとは、裏の関係を想像してしまうのは容易でしょう。あとはアルティメッツとX-Menを対立させる最後のピースをはめるだけ。マグニートーは、X-Menの隠れ家を匿名でSHIELDへリークしました。
f:id:ELEKINGPIT:20230531013719j:imageエグゼビア教授と会談するマグニートー。しかし腹の底では2大ヒーローチームの衝突を画策していた。

 

ニューヨーク上空。作戦開始まで秒読みの段階となっていました。匿名の情報提供がきっかけで判明したX-Menの隠れ家へ、アルティメッツとSHIELDが突入しようとしているのです。恐らくX-Menマグニートーと関わりを持っている。そうでなくともエグゼビア教授がマグニートーの死を偽装し、また事件処理後に誓いの言葉と共に虚偽を述べていたことは大問題。エグゼビア教授の確保を目的に作戦はスタートしました。上空から高速で襲撃するアイアンマンを皮切りに、アルティメッツとSHIELDが次々と突入します。X-Menには自衛のため戦う以外手段が残されていません。こうして2大ヒーローチームの衝突が始まりました。互いが知恵と戦略を張り巡らせ、人智を超えた戦いがあちこちで起こります。アイアンマンが倒され、ウルヴァリンが行動不能になり、刻一刻と変わる戦局。爆煙と共に増える被害。これを戦争と言わずなんと言うでしょうか? マグニートーの盤上で両者は命を削り合うのでした。
f:id:ELEKINGPIT:20230531021121j:imageアイアンマンを倒すウルヴァリン。正義を目指したはずのチームが、互いを命懸けで殺し合う。

 

人智を超えても〉

アルティメッツとX-Men、アルティメットユニバースを代表するヒーローチーム同士の戦いが描かれた本作。種族として、あるいは発達したことで人を超えたとしても、人と変わらぬ様はアルティメッツで何度も何度も繰り返し描かれてきたことでした。そしてそれはX-Menでも同様でしょう。今作を見ると、エグゼビア教授の夢見るミュータントと人類の平和的共存など不可能では? と思わず頭を抱えたくなるほどです。しかし2つだけ、それを実現可能にする要素がありました。マグニートーとワスプです。ワスプはピム博士の研究の結果、身体の大きさを自在に縮小できる能力者だと考えられてきました。しかし今作でワスプはミュータントだと発覚します。そしてアルティメッツもそれを知った上で活動していました。皮肉なことにミュータントと人類は共存はアルティメッツが可能だと証明していました。そしてマグニートーの存在も、やがてその証明となるでしょう。今やマグニートーX-Men、アルティメッツの共通の敵となりました。共通の敵が現れ団結する様はアルティメッツが何度も繰り返し行ってきたこと。人智を超えても団結する手段が少ないのは事実です。しかし味方同士で争うだけでなく、人智を超えたのだからこそ私たちをあっと驚かせる方法で団結する姿を望んでいます。