趣味語りしたいらいとか

らいとかの趣味をジャンル問わず気まぐれに語るブログです。好きなものを好きなように語ります

MENU

SECRET INVASION(2008)

シビルウォーの後、アベンジャーズは超人登録法賛成派と反対派に分かれ、互いに争っていました。そんなアベンジャーズ分裂期を終わらせた戦いが、このSECRET INVASIONです。スクラルによる大侵略を描いた本作は、アベンジャーズX-MENも巻き込んだ大いなる戦いへと発展していきます。そんなユニバースさえ激震させた本作はどのような戦いだったのでしょうか?
f:id:ELEKINGPIT:20240512103111j:image

 

日本語版関連作

 

〈あらすじ〉

スクラルの大侵略が始まった! 誰が敵で誰が味方かもわからぬまま突き進む戦争に、アベンジャーズX-MENも苦戦を強いられる。相次ぐ裏切りの数々。信じられるのは己のみ。そんな中、終止符を打ったのは予想外の人物だった!

 

〈化かし合い〉

始まりは「いつものこと」と言える出来事だったのかもしれません。1つの宇宙船が地球に墜落してきたのでした。墜落した地点はサベッジランド。今も恐竜が住まう危険地帯です。対地球外生命体専門組織のSWORDは、超人登録法賛成派で構成されたマイティアベンジャーズに確認を要請。一方マイティアベンジャーズの1人、スパイダーウーマンは反対派のシークレットアベンジャーズへ連絡。両アベンジャーズがサベッジランドに集結しました。未だ分裂状態のアベンジャーズは一触即発。宇宙船のことを忘れたかのように言い争いをしてしまいます。しかし次の瞬間でした。トニーのパワードスーツが突如コンピューターウイルスに侵食。エクストリミスでパワードスーツと接続しているトニー自身も倒れてしまいます。何が起こったのか? 誰もわからぬまま事態は進んでしまいます。宇宙船から現れたのは、なんと古いコスチュームをまとったアベンジャーズではありませんか! シークレット/マイティアベンジャーズには心当たりがありました。相手はスクラルではないか? スクラルとは姿を化ける事ができる宇宙人です。今まで何度もスクラルに騙されてきましたが、現在はスクラルの変身を見分ける方法が確立していたはずです。一方旧アベンジャーズも、今相対しているヒーローたちをスクラルと認識。どちらがスクラルかもわからないまま、アベンジャーズ同士での戦いが始まりました。
f:id:ELEKINGPIT:20240512110803j:image相対するアベンジャーズ達。どちらが敵でどちらが味方なのか?

何1つ違和感のない自然な立ち振舞い、仕草。これらがアベンジャーズを混乱させていました。中には敵側のアベンジャーを本物と信じてしまうメンバーも。しかし倒した敵は姿をスクラルに変えてしまいます。やはり敵はスクラルに違いないのです。これがアベンジャーズの怒りを焚き付けます。一方コンピューターウイルスによって戦えなくなったトニーは戦線から離脱。トニーは悪い予感がしていていました。ニューヨークがこの瞬間襲撃されているのでは? 次々とダウンさせられるスタークテックがその予感を裏付けていました。そこでトニーはキャロルへニューヨークまで急いで飛ぶよう指示を出し、自身はパワードスーツを修理してコンピューターウイルスと戦うことにします。ニューヨークはトニーの予感通りの事態に陥っていました。複数のヒーローの能力を複合させた、スーパースクラルが大量に現れたのです。ヤング・アベンジャーズやイニシアチブがそれに対抗していますが、本来スーパースクラルは1人でも強力な存在。苦戦を強いられることは確かです。この事態が世界中で起こっていました。フューリーは最初からスクラルの大侵略を予感していたのか、注目が集まりにくいヒーローたちに訓練させ、スーパースクラルに対抗していました。予想外の抵抗によって膠着状態に陥る戦争。スクラルの侵略は世界中で起こっていました。さらに一般人を取り込むため、有名人に変身したスクラルがマスコミを通して語りかけ始めます。
f:id:ELEKINGPIT:20240512113723j:imageニューヨークを攻めるスーパースクラル軍団。これが世界中で起こっていた。

 

混乱するヒーローと世界。X-MENもインヒューマンも、ワカンダさえ同じ状況です。打開策はあるのか? その時です。サベッジランドに一筋の光が降り注ぎます。リード・リチャーズです。リードは大侵略が始まった際、ピム博士に化けたスクラルによって捕らえられていました。しかしSWORD長官のアビゲイル・ブランドの手で脱出に成功。新たにスクラルの正体を見破る光線銃を即座に開発し、サベッジランドへとやってきたのでした。今回のスクラルは、遺伝子レベルでの変身を達成していました。そのため既存のセンサーでは見破ることができなかったのです。しかしリードによって正体が見破れるようになったため、サベッジランドの騒動はすぐに鎮圧されるようになります。一方スクラルの女帝は自らスパイダーウーマンに変身し、長らく潜伏していました。戦況が不利と見るや、スクラルの部下たちと合流。スーパースクラルを中心に、全戦力をニューヨークに集結させつつありました。これにアベンジャーズも応えるように戦力を集結。サンダーボルツも戦線に加わり、両者総力を尽くした最終決戦が始まろうとしていました。アイアンマン、ソー、キャプテン・アメリカが久しぶりに集まったこの戦いは、両者入り乱れる混沌とした状態でスタートします。敵の首魁さえ倒せばこちらは勝利となるでしょう。マスコミが世界へ向けて中継する戦い。どちらが勝利してもおかしくない状態ですが、アベンジャーズが少しずつ女帝を追い詰め始めます。そして最後の一撃を放ったのは、意外な人物でした。サンダーボルツを率いていたオズボーンです。それを世界中が目撃していました。
f:id:ELEKINGPIT:20240512172731j:image女帝へとどめを刺したオズボーン。この一撃が世界を変えることとなる。

 

〈タイミング〉

本作には1つの疑問点が残されていました。何故このタイミングでスクラルは大侵略を仕掛けたのか? もちろんそれも示唆はされていました。本作の序盤、エレクトラに変身したスクラルの遺体が発見されるシーンから物語はスタートします。これがスパイダーウーマン(=スクラルの女帝)に露呈したと考えられ、なし崩し的に大侵略が始まったのだと。スクラルは常に侵略のタイミングを覗っていたことは、What if? Fallen sonで明かされていました。このイフ世界ではトニーがシビルウォー後に死亡してしまい、葬儀の直後にスクラルの大艦隊が地球へ向かっている描写で物語は終了します。トニー・スタークの死はそれほどスクラルの大侵略にも影響があったのです。では本作で、スクラルが大侵略を始めたのも、トニーに関係があるのではないでしょうか? 今回は、本作冒頭で示された以外にも大侵略を始めたきっかけがあるのかを考えたいと思います。さて、ここでスクラル大侵略が始まる直前のヒーローの情勢を見ていきましょう。当時はいわゆるアベンジャーズ分裂期と呼べる状態で、アベンジャーズが超人登録法の賛成派と反対派に分かれていた時期でした。ワールド・ウォー・ハルクの結果、ハルクは海底に囚われている状態で、ソーもラグナロクの後処理に奔走。X-MENはサンフランシスコに拠点を構えており、戦力が分散している状況でした。これだけでも攻めるには絶好のタイミングと言えますが、トニーに関係していると考えるならもう1つ理由があるでしょう。当時のトニーは、SHIELD長官として自身に様々な役割を課していました。キャップのいない世界を守るために凄まじいプレッシャーを自ら背負ったのです。そのため僅かな期間で疲弊しきってしまいました。統合失調症寸前まで陥ってしまい、心身共に限界を迎えていた時期であると言えるでしょう。普段のパフォーマンスを発揮できないのは明らか。エレクトラに変身したスクラルが発見されなくとも、スクラルは大侵略を始めていたでしょう。トニー・スタークの存在はそれほど世界平和にとって大きな影響を与えていたと言えます。