アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

お知らせとお詫び

カテゴリの階層化準備のため、一時的に設定しておいたカテゴリをすべて削除させていただきます。

 

読者の皆様にはご不便、ご迷惑をおかけしますことをお詫びいたします。大変申し訳ございません。

※なお、当記事はカテゴリの階層化ができしだい削除させていただきます。

SUB-MARINER REVOLUTION

海中にある王国、アトランティス。その王であるネイモアはなんとキャプテン・アメリカよりも歴史の古いキャラクターであり、様々な場面で活躍してきました。時にはヒーローの敵としても登場するネイモア。そんなネイモアの魅力がたっぷりと詰まった作品が本作です。何故ネイモアはヒーローと敵対することがあるのか? 何故ヒーローはそんなネイモアをヒーローとして受け止めるのか? そんな疑問も一気に解消されるでしょう。
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日本語版関連作

シビル・ウォー (MARVEL)

シビル・ウォー (MARVEL)

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※今回は紙の本から画像を引用しております。見えにくいなどありましたらコメントいただけると嬉しいです。

 

〈あらすじ〉

カンザスで爆破テロ発生! SHIELDは現場から犯人がアトランティス人であることを突き止める。疑惑の目を向けられるネイモアは、アトランティスを守るため孤独な戦いを迫られた。やがてこの戦いはアトランティスの運命を大きく変えることとなる……。

 

〈変わる世界〉

カンザスでの爆破テロは、あまりにも大きな被害を出してしまいました。SHIELDは現場の状況からさっさと生存者の捜索を諦めてしまうほどで、賑やかだった町並みは砂塵と僅かばかりの瓦礫が残る程度です。ここでSHIELDは驚くべきものを発見します。現場から少し離れたところに残った死体から、アトランティス人を発見したのです。恐らくアトランティススリーパーセル、一般人を装った工作員です。この事実からアメリカの政府高官は激怒。アトランティスとの戦争をも辞さない構えを見せます。死者900人以上とも言われる被害規模は、シビルウォーのきっかけとなったスタンフォードの悲劇をも凌駕します。これをアトランティスが行ったのであれば、明確な「アメリカへの攻撃」です。SHIELD長官であるトニーはすぐにネイモアへ問い合わせます。驚いたのはネイモアの方でした。そんなことを指示するはずがないし、そもそもカンザスの爆破テロ事件事態トニーから聞かされて初めて知ったのです。犯人の特定はこちらでも行うことを約束するネイモア。ところがこの答えにアメリカ政府高官は満足しません。アトランティスの関わりがあることは明らかで、むしろ態度を硬化させるばかり。即時開戦も辞さない程です。トニーはアトランティスをSHIELDの大艦隊で包囲せざるを得ませんでした。こうでもしなくてはアメリカ軍が直接アトランティスを攻める可能性もあったでしょう。トニーはネイモアへ乞う様に大人しくするよう言います。しかしネイモアはこの要求に応じません。疑惑を晴らすためにも、地上で犯人の特定を自ら行うことを誓います。部下には必ず戦争をしないように、しかし万が一SHIELDが攻めてきた場合は全滅させるよう言いつけて単身地上へ向かいました。
f:id:ELEKINGPIT:20240226205901j:imageSHIELDの包囲網を突破するネイモア。海洋の王にSHIELDは手も足も出ない。

 

地上へ現れたネイモアがまず向かったのは、テロ事件のおきた現場でした。クレーターのように凹んだ爆心地には黒焦げになったぬいぐるみが残されており、鼻の奥にまで虐殺の跡が突いて来るほどでした。いったい誰がこんな蛮行を? 地上へ出る前、アトランティスの高官を招集して話を聞いていたネイモア。アメリカへ潜伏させた12人のスリーパーセルとは全員連絡が取れるため少なくともネイモアが送り込んだ人物ではありません。しかしアトランティスにはとある噂がありました。派遣されていないはずの13番目のスリーパーセルがいると。犯人は恐らくその13番目でしょう。次にネイモアが向かったのは、エグゼビアのいる学園です。エグゼビアの能力とそれを拡張するセレブロがあれば、地上にいるアトランティス人を追跡することは可能でしょう。噂の通り、反応は13の地点にありました。13番目のスリーパーセルは存在していたのです。シアトルにある反応が恐らくそれでしょう。ネイモアは急ぎシアトルへ向かいます。しかし道中、突然襲撃を受けます。相手はヴェノム。ネイモア脱出の報せを受けたアメリカ政府は、サンダーボルツからヴェノムを派遣したのです。足に生えている羽をもがれ大ピンチに陥るネイモア。それでも意地と執念でチャンスを掴み取ります。ダメージを負ったネイモアはFFのスーザンの力を借りて、シアトルへと辿り着きました。敵の居場所はシアトルについた途端わかりました。アトランティスの兵器を使おうとしているのです。早速その場所へ向かうネイモア。犯人を見てネイモアは驚きます。これがカンザスの爆破テロ事件を起こした真犯人にして、13番目のスリーパーセル。その正体は、ネイモアの子どもであるケイメアでした。
f:id:ELEKINGPIT:20240227002555j:imageネイモアの子どもであるケイメア。真犯人の正体は何よりもネイモアを驚かせた。

 

ケイメアを説得し拘束したネイモアは、ヒミツの地下トンネルからアトランティスへ戻ります。更に国内の革命派を打倒し、王不在の間に起きた内乱をあっという間に制圧。こうした事件は解決したかに思われました。しかしSHIELDの大艦隊による包囲は終わりません。ネイモアはトニーと交渉を開始。どうやらトニーによると、これだけではアメリカ政府高官の腹の虫を収めるには至らなかったようです。確かにネイモアは犯人を突き止めた。しかしもしまだアメリカにスリーパーセルが潜んでいたら? それだけでもアメリカに対する挑発であり、驚異となり得ます。潜伏しているスリーパーセル全員を引き渡すならば包囲網を解くというのです。これはトニーさえ望むことではありませんが、態度を硬化させた政府高官の意見はちっとも変わらないのです。このままでは全面戦争は避けられない。開戦した場合、目の前の大艦隊を全滅させるのは容易でしょう。しかしその後も無尽蔵に大艦隊が送り続けられたなら。何人も臣民が殺される未来が頭に浮かびます。では降伏した場合は? アメリカによりアトランティスが支配され、同様に臣民が傷ついてしまうことは間違いありません。開戦も降伏もどちらもアトランティスを思えばありえないのです。ならばアトランティス臣民のためにできることは? 悩み抜いたネイモアはある決断をします。いくらアメリカでも敵がいなくては戦争できないはず。ネイモアはアトランティスを消滅させることを決断したのです。
f:id:ELEKINGPIT:20240227004258j:imageトニーと交渉をするネイモア。犯人を捕まえたも事態の解決には至らなかった。

 

アトランティスのヒーロー〉

ネイモアは時にアメリカのヒーローと対決することがあり、また、時にはヴィランと手を組むことがあります。それでもヒーローは最終的にネイモアを味方として受け入れるのです。それは何故か? 本作にはネイモアの行動原理が描かれていました。ネイモアは常にアトランティスの未来を考えて行動していました。つまり、アトランティスのために動き続けているのです。発言の端々から傲慢だと思われるネイモアですが、それ以上に国民を大切に思っています。本作ではそんな国民思いなセリフが何度も登場しています。怒りに任せ戦争を始めてしまうことなどなく、国民の犠牲を最小限にしようと努力する本作がまさにその象徴と言えるでしょう。ネイモアの行動原理はアトランティスでありとアトランティスの国民のためにあることが分かります。そんなネイモアをヒーロー等が味方として受け入れるのは、ネイモアがアトランティスにとって王であり英雄、ヒーローだからなのでしょう。本作では多くのヒーローがネイモアへ疑惑の目を向け敵対してしまいました。しかし後の戦いを見ると背中を預ける様子も見られることから、どれだけネイモアが信頼されているかわかります。アトランティスの王であるネイモア。その行動原理は常に国民のためであり、アトランティスにとっては最高のヒーローなのです。

MS.MARVEL vol2 GENERATION WHY

ニュージャージーの新ヒーローとしての決意を固めたカマラ。その活躍はこちらの世界でも大きく話題を呼びました。待望の第2巻となる本作は、前回以上にメッセージ性の強いものとなっております。このメッセージ性もまた、本シリーズを人気作に押し上げた理由の1つかもしれません。
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日本語版関連作

 

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〈あらすじ〉

親友の弟を助けて以来、町に巣食う悪党インベンターと敵対することになったカマラ。若者の悩みに漬け込んだ悪辣な作戦に、町の守護者となったニューヒーローの鉄拳が振り下ろされる。

 

〈新時代〉

インベンターと敵対するようになって以来、カマラは町のパトロールを行うようになりました。インベンターは執拗にカマラを追ってくるのです。そんなある日、カマラは下水管から唸り声を耳にします。インベンターがなにか企んでいるのでは? コスチュームを着て早速下水管をパトロール。唸り声の主はすぐに見つかりました。アリゲーターの群れです。それも全員がなにか機械を取り付けられています。驚くカマラの眼の前に現れたのは、文字通り鳥頭の人物が写ったホログラムです。鳥頭の人物は自らをトーマス・エジソンのクローンだと豪語します。遺伝子配列のミスが原因で顔がセキセイインコとなってしまいましたが、卓越した頭脳は本人譲り。鳥頭のエジソンニュージャージーを実験場にしているのだと言います。そのためにはミズ・マーベル、カマラが邪魔だと。これは宣戦布告です。インベンターの宣戦布告なのです。映像はそのタイミングで途絶えます。代わりに現れたのはウルヴァリンでした。ウルヴァリンは行方不明になったジーン・グレイ学園の生徒を探しているうちにここへ辿り着いたといいます。若者を使ってインベンターが何かを企んでいるのは明らかです。2人は協力して下水管につながるインベンターの実験場を探索します。巨大なアリゲーター、メガゲーターをも倒し2人が辿り着いたのは、驚くべき光景でした。ジェルに包まれ横たわった若者がいたのです。この若者は、ウルヴァリンが捜していたカマラはこれが実験場の動力、バッテリーになっていると推測します。若者がバッテリー扱いされている。それも故郷ニュージャージーで。カマラは改めてこの事件を自身の手で解決する覚悟を決めました。
f:id:ELEKINGPIT:20240220151838j:imageバッテリーとなった若者。人間以下の扱いを許すわけにはいかない。

 

引き続きニュージャージーで調査を続けるカマラに、心強い仲間が現れます。犬です。それも町の人々が逃げ惑うような大きな。首から下げられた文字からわかることは、犬の名前がロックジョーであること。そしてハグが大好きなこと。カマラはロックジョーをハグで迎え、家で飼うことに。ウルヴァリンの追っていた若者の足取りからインベンターの居場所を突き止めようとするカマラですが、ここでロックジョーがその能力を披露します。なんと家の外で飼っていたロックジョーが、カメラの部屋の中へ一瞬で移動したではありませんか。ロックジョーはテレポートできる大型犬なのです。カマラはこの能力を使ってインベンターを追うことにします。しかしそもそも誰がロックジョーをカマラの下へ送り込んだのでしょうか? ウルヴァリンは、カマラと別れたあとある人物とコンタクトを取っていました。メデューサです。インヒューマンの王であるメデューサは、能力が覚醒しインヒューマンと判明した人物の把握に努めていました。覚醒したきっかけは、ある日不思議な霧に包まれたこと。カマラはインヒューマンなのでした。ウルヴァリンがそれに気づき、メデューサと連絡を取っていたのです。ロックジョーの能力でインヒューマンの拠点アティランへテレポートしたカマラは、この事実をメデューサから伝えられるのでした。望めばアティランで保護、能力の訓練を受けることができる。メデューサの提案を、カマラは拒否します。自分がインヒューマンであろうとミュータントであろうと関係ないのです。やることは変わらず1つ。守ると決めたニュージャージーを守り続けること。その決意に、メデューサはロックジョーを通して見守ることにしました。ニュージャージーへと戻ったカマラは、インベンターと最初に対決した建物へ行き着きます。予想通りここには大勢の若者が囚われていました。解放し、逃げるよう忠告するカマラ。しかし若者たちは首を振って迷惑だと言うではありませんか。若者たちは望んで囚われたのです。
f:id:ELEKINGPIT:20240223155603j:imageカマラの伸ばした手を拒絶する若者たち。ここへ来たのは自らがそう望んだと言う。

 

環境破壊に人口増加、今や若者たちは地球の抱える大きな問題を生まれながらに直面しなくてはなりません。自分は世界にとっていらない存在かもしれない。多感な時期を送る若者がそんな極端な考えに行き着くのも無理はありません。インベンターはそんな若者へ目をつけたのでした。成長期にのみ発されるエネルギーを用いれば、環境破壊を気にせずに大画面でテレビを見続けることができるでしょう。環境破壊とエネルギー問題をクリーンに解決する手段です。少なくともインベンターはそう考えたようでした。言葉巧みに若者たちを惑わし、電池として使うことでガラクタを改造したメカを使っていたのです。カマラが若者らを解放したことに気づいたインベンターは、ロックジョーを拉致。強硬手段に訴えます。この様子を見た若者は、ようやくインベンターが悪であることを悟りました。カマラへインベンターの秘密基地の場所を教え、ともに戦う覚悟を決めたのです。従えたはずの若輩者の反乱を見てもインベンターは余裕たっぷりでした。なぜなら拉致した若者はもっと大勢いるのですから。その中にはカマラの親友ナキアの姿も。ガラクタを改造して作り上げた巨大メカとロックジョーを盾に、インベンターは鋭い牙を向けます。一刻も早く解決せねば、若者のエネルギーが悪に利用されるだけです。カマラは相棒ブルーノを通して警察へ連絡、自身は巨大メカの内部へ侵入し破壊しようと試みます。
f:id:ELEKINGPIT:20240223160958j:image大勢の若者を搾取し高笑いするインベンター。これ以上事態を悪化させないため、カマラは若者らと協力して戦う。

 

〈世代と未来〉

本作は若者のアイデンティティクライシスがテーマにありました。自己の存在意義を見いだせず、心理的な混乱状態にあることです。劇中ではインベンターがこれを利用して若者を惑わしていました。カマラは自身の言葉で説得をしていましたが、私も自身の言葉でインベンターへ反論をしてみましょう。

新しい時代を作るのは老人ではない、とは機動戦士Zガンダムに登場するクワトロ・バジーナのセリフです。ガンダムは環境破壊と人口増加が根底にあるります。そんな作品で登場したのが上記のセリフです。本作でインベンターが行ったことは、一言でまとめるならば搾取です。これから成長を始める若者のエネルギーを電力などに変換しているのですから、これは未来への搾取と捉えることができます。現実への比喩と言い換えても良いでしょう。例えば若者を理不尽に安い賃金で働かせて私腹を肥やす老人なんて構図はわかりやすく想像できますし、世の中に溢れている事柄のように思えます。しかし新しい時代を作るのは老人ではないのです。若者が私服を肥やすべきだというのではありません。若者のキャリアを潰して自分だけが私欲を満たしても、それは未来に繋がらないのです。では若者を甘やかせばよいのか? それは違います。何度もいうように、新しい時代を作るのは老人ではないのです。若者が作らねばならないのです。環境問題やエネルギー問題など、若者が生まれながらに直面しなくてはならない課題が多く山積しているのが現状です。これを解決できるのは同様に若者やもっと下の世代です。未来を諦めては諦めた通りの未来しかないでしょう。若者が電池として使われたり、安い労働力として買い叩かれたり、様々な「ディストピア」が簡単に描かれます。しかし諦めなければ如何様にもできることもまた事実。カマラとインベンターの戦いは苦難の連続でしたが、最後にカマラ達が勝利したことが何よりもそれを証明しているでしょう。

最後に、少し説教臭くはありますが本作の力強いメッセージを紐解いてみましょう。本作は、カマラが良い教師を見つけるよう言いつけられるシーンからスタートします。良い教師とは、本作ではウルヴァリンメデューサなどがそれに該当します。カマラを教え導き、見守るのです。新しい時代を作るのは老人ではありませんが、老人を蔑ろにすることは同様に未来を捨てることとなります。カマラはウルヴァリンに導かれたからこそ戦う覚悟を強く決めました。見守られたからこそ戦い続けられました。上の世代がいたからこそカマラは自分の力で戦い抜くことができたのです。若者は上の世代の言葉に耳を傾け、そして最後は自分で判断せねばなりません。言われた通りになるとインベンターに導かれた若者のようになってしまうかもしれないのですから。一方上の世代は、若者にとって良い教師でなくてはなりません。ウルヴァリンの本職は教師ではありませんが、カマラの支えとなる言葉を多く送りました。その言葉はウルヴァリンの経験からもたらされたものです。メデューサはカマラを放置することなく、ロックジョーを通して見守ることを選択します。自由にさせる代わりに責任をともに背負い込むことは、自ら学びを得る機会を増やすのです。少し説教臭い話になってしまいましたが、本作にはそれほど多くのメッセージがあらゆる世代へ向けられているのです。

MS.MARVEL (2006) vol3 OPERATION LIGHTNING STORM

ベストオブベストなヒーローとなることを目標に活動するキャロル。内戦では賛成派として戦い抜きましたが、今作ではさらなる飛躍を目指します。目指すべきゴールはどこにあるのか? 3つの短編が集まった今作で、キャロルは少しずつ成長を見せます。
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〈あらすじ〉

シビルウォーを勝ち抜いたキャロルは、ベストオブベストなヒーローを目指すためアベンジャーズのリーダーとなる。更にSHIELDの上級エージェントだけで構成されたチーム、オペレーションライトニングストームを率いることに。最高のヒーローへの道は開かれるのか?

 

〈重み〉

その日の夜、キャロルの家を訪ねたのはアーニャでした。キャロルの訓練生として戦う新米ヒーローのアーニャは、怪しい人物を見つけたといいます。傍らで倒れているのは、格好からAIMだと思われます。何があったのか? AIMと思われる人物は、キャロルへ助けを求めてきたというのです。ドゥームズデイマンが復活した。キャロルはその言葉にゾットします。ドゥームズデイマンは、かつてアベンジャーズをもノックアウトしたキャロルの宿敵です。クリーセントリーの技術を用いた強固なアーマーは、操縦者と生体接続することで頑強なパワーと俊敏さを獲得していました。どうにか倒して捕らえていたものの、その後AIMにより強奪されたよう。AIMはドゥームズデイマンの技術を盗み出そうと考えていたのです。ところが眠っていたはずのドゥームズデイマンが突如暴走、今に至るわけです。キャロルはアーニャと共に騒動のあったAIM基地へ駆けつけます。既に基地から黒煙が見えており、深刻な事態となっています。ドゥームズデイマンの恐ろしさを知るキャロルはアーニャを置いて単独で敵と戦うことに。ところが基地の内部へ侵入した途端、新たな問題が発生します。周囲をゾンビ軍団に囲まれたのです。どうやらゾンビは接触感染によって生きた人間が変異させられてしまうもの。触れてはならない大量のゾンビとドゥームズデイマンを同時に相手しなくてはなりません。更にキャロルのピンチを悟り駆けつけたアーニャが負傷。大ピンチに陥ってしまいました。
f:id:ELEKINGPIT:20240217094449j:imageピンチをチャンスに変えるため、フルパワーで戦うキャロル。獅子奮迅の活躍で、チャンスは訪れる。

 

数日後。キャロルは悩んでいました。ベストオブベストなヒーローになるにはまだ何かが足りない。アーニャの負傷に罪悪感を抱いていたキャロルは、自らへさらなる成長を促すため、トニーへある提案をします。一方トニーもあるアイデアを提案しようとしていました。内戦後事実上解散となったアベンジャーズの復活と、そのリーダーをキャロルへと託そうというのです。悪い話ではありません。まだまだ荷が重いようにも思えましたが、目標へ向け確実に前進できる道です。ところがキャロルは承諾する代わりに1つは条件を突きつけます。SHIELDの小隊を自身の指揮下に置いて欲しいというのです。アベンジャーズはいわば大槌。大事件化する前にスピーディに解決できる小隊が欲しいというのがキャロルの要望でした。編成する隊員はキャロルが指名するとのこと。トニーはこれを了承します。こうしてキャロルは、オペレーション・ライトニングストームを編成。ヘリキャリアの縮小版、ミニキャリアを拠点に活動を開始します。こうしてキャロルはベストオブベストなヒーローを目指して全身を試みるのでした。オペレーション・ライトニングストーム最初の任務は、ジュリア・カーペンターとその子どもの捜索です。シビルウォーにて引き裂かれた親子を、キャロルは自分の責任だと罪悪感を抱いていました。そのため、2人を捜索して何とか引き合わせようと考えていたのです。ジュリアはすぐに見つかりました。なんとアーニャを襲撃し、尋問しようとしていた様子。パニック状態のジュリアをひとまず昏睡させ、ミニキャリアで保護することにしました。目覚めたジュリアから話を聞くキャロル。ジュリアは真っ先に子どもを探そうと動きましたが、実家は既に売られており、足取りを掴めなかったようです。キャロルは話を聞き、オペレーション・ライトニングストームに総力をあげさせて探し出します。祖父母のカード使用歴などから居場所はすぐに割り出されます。すぐさま子どもを迎えに行くジュリア。しかし祖父母はそれを固く拒否しようとします。家を売ったのもジュリアから隠れるためだと。我が家に戦争を持ち込んだジュリアから子どもを守る。その言葉にジュリアはショックを受けます。それでも娘を守ると誓っていたジュリアは、子どもを連れて去ってしまいます。
f:id:ELEKINGPIT:20240217191256j:image子どもを抱え祖父母から逃げるジュリア。これが正しい選択なのか?

 

ジュリアを送り届けたライトニングストームの次なる任務は、AIMです。ドゥームズデイマンの暴走以来裏で暗躍し続けていたAIMですが、恐るべきものを作り出したことが判明します。DNA爆弾です。これを使えば被爆者は遺伝子を組み替えられてしまいます。絶対に使わせるわけにはいきません。更にAIMはモードックとモニカ・ラパチーニの2人を筆頭に内紛を起こしている様子。これでは判明していないだけで更に危険な兵器が使われてもおかしくはありません。ともかく、DNA爆弾はモードック派が作り出したようです。オペレーション・ライトニングストームはモードック派の基地を特定、すぐさま急行します。ところがそこにはモードックが。なんとモードックはワンダーマンへ洗脳波を放ち、洗脳してしまいました。その上ワンダーマンの洗脳を解く間、モードックやAIM兵を相手にしていたのはライトニングストームの面々。モニカ博士を捕らえる大戦果はあげたものの、被害も出てしまいます。その場は何とか凌ぐことに成功しますが、しばらく後にさらなる問題が発生。なんとニューヨークの真ん中にモードックがテレポートしてきたというのです。アイアンマンは、AIMを追跡していたキャロルへ事態の解決を要請します。キャロルはワンダーマンと共にすぐさま現場へ駆けつけました。ところがその時には既に手遅れだったようです。敵はDNA爆弾を起爆させようとしていたのです。
f:id:ELEKINGPIT:20240217193814j:imageDNA爆弾により遺伝子が変異し始めるキャロル。敵を取り逃し、大きな被害がでてしまう。

 

〈最高なヒーローとは?〉

皆さんは、ベストオブベストなヒーローと呼ばれてどのようなヒーロー像を思い浮かべるでしょうか? このような問いを答えられる人間は、ヒーローオタクやヒーローの住む世界の住民でもそう多くはないでしょう。それはキャロルも同様です。本作にて指摘されたのは、ベストオブベストを目指すキャロルにゴールが設定されていないことでした。キャロルはベストオブベストに強いこだわりを見せていますが、そもそも目標が設定されていないため迷走しているのです。その結果がジュリアへの対応であり、AIMとの対決でした。罪悪感を抱いていたからとジュリアを助け出すのは一見正しい行いのように見えるでしょう。しかしジュリアの側に立つと、子どもと引き離され刑務所へ囚えたその人が、申し訳ないからと協力するのは傲慢でしかないでしょう。人生を破壊されるまで振り回されたのですから、不満を抱くなという方が無理な話です。またAIMどの戦いでも、キャロルはその場での対応が精一杯でライトニングストームを守ることができていませんでした。この戦いで1人が死亡、1人は能力を失う結果となりました。これもトニーやキャップなら同じミスはしなかったように思えます。ベストオブベストにはまだまだ未熟なキャロル。そんなキャロルが成長し、更に強くなった姿をも期待したいです。

ULTIMATE COMIC CAPTAIN AMERICA

アルティメットユニバースのキャプテン・アメリカは、正史世界のそれとは違い過激な面が目立ちます。高潔の代名詞のような正史世界のキャプテン・アメリカと違い、アルティメットユニバースののキャプテン・アメリカは時に汚い手も容赦なく使います。ではその根底にあるものは? 銃を使い、敵味方に容赦もないキャプテン・アメリカ。その根底に流れる魂を本作では描き出しました。
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〈あらすじ〉

キャプテン・アメリカが囚われた。犯人はベトナム戦争の亡霊である。想像を絶する拷問の中、超人ばかりが住む村でキャプテン・アメリカは脱出することができるのか? 求められるのは肉体ではなく意思の強さだった。

 

〈決して屈することのない〉

北朝鮮が極秘に生み出した超人は、武器を持った軍人が10人で同時に相手しても勝てないほどの強さを誇っていました。新開発した血清は今のところ大きなデメリットもなく、成功したかに見えます。その様子を見たある人物は、ニヤリと笑みを浮かべてみせました。その時です。銃声と怒号が建物内に響き渡ります。SHIELDです。SHIELDが新たな超人血清を生み出そうとする実験を嗅ぎつけ、襲撃してきたのです。銃撃戦にはキャプテン・アメリカも参加していました。このままでは新開発した超人血清がサンプル体共々捕まってしまうでしょう。それを防ぐため、笑みを浮かべた人物はサンプル体を気絶、焼き殺します。焼いてしまえば体内の超人血清も残らないだろうと考えたのです。計算通り、SHIELDは超人血清の完全なサンプル採取を諦めざるを得ませんでした。しかし誤算はありました。キャプテン・アメリカの諦めの悪さです。屋上まで追跡してきたキャップを何とか迎え撃つものの、殴り合いの戦闘になってしまいます。SHIELDのエージェントも、恐らくキャップ自身も、この筋骨隆々な人物を殴り倒せると思っていたことでしょう。ところが殴り負けたのはキャップの方でした。恐るべきパワーとスピードで翻弄され、瞬く間に腹部へ拳をクリーンヒット。キャップは完膚なきまでに叩きのめされてしまいます。去り際に、筋骨隆々な人物は見せつけるように覆面を脱ぎ捨てました。その顔面には、星条旗が描かれていました。2日後。あの戦いから気絶していたキャップが目覚めます。SHIELD長官のキャロル・ダンバースによると、作戦は失敗です。超人血清のサンプルは得られず、首魁は正体が判明しただけで行方知れず。また同様の事件が起きてもおかしくありません。敵の名はフランクリン・シンプソン。ベトナム戦争に派兵された、元キャプテン・アメリカです。
f:id:ELEKINGPIT:20240215163458j:image星条旗のタトゥーを見せつける謎の人物。その正体は、アメリカの負の歴史の象徴だった。

 

第2次世界大戦でキャプテン・アメリカが死亡したと思われて以来、アメリカ政府は第2のキャプテン・アメリカを求めていました。そのためアースキン博士が開発した超人血清を再現しようと実験を続けます。完成した代物は決して完璧とは言えないまでも、能力はスティーブ・ロジャースのそれを超えうるものでした。ベトナム戦争開戦時、愛国心のある若者を募った結果、完成した代物をフランクリン・シンプソンへ投与。こうして第2のキャプテン・アメリカが誕生します。フランクリンに投与された血清は完璧ではありませんでした。そのためサイバネティック改造手術と、ステロイド薬により無理やり安定させているような状態です。フランクリンはこの状態でベトナム戦争の激戦地へ派遣され続けます。フランクリンの心は徐々に破壊されました。戦争のストレスに加え、不完全な超人血清はフランクリンの精神へダメージを与えていたのです。そして1972年、フランクリンは失踪しました。以降の記録はSHIELDに存在しません。今回の事件から恐らく、自身の血液から超人血清を作り続けていたのでしょう。キャップはフランクリンの去り際の一言が耳に引っかかっていました。アメリカを本当に支持する者として、自分を探しに来いと。キャップは飛び出します。フランクリンを探すためです。ベトナム戦争に従軍していたこと、推し量るに今でもあの戦争に囚われていること、これらからある程度どこにいるかは見当がつきます。東南アジアを駆けずり回ったキャップは、遂にそのヒントを見つけカンボジアのある村へとやってきました。村の老人へフランクリンの行方を訪ねるキャップ。ところが少し様子がおかしく思えます。違和感の正体はすぐに明らかになります。なんとキャップが投げ飛ばされたのです。この村は老若男女関係なく、全員が超人です。つまりフランクリンの私兵なのです。その事実にキャップが気付いたときには、既に手遅れでした。キャップはフランクリンに捕らえられます。待っていたのは、恐るべき拷問の数々でした。
f:id:ELEKINGPIT:20240215165719j:imageフランクリンの罠にかかり捕らわれたキャプテン・アメリカ。大勢の超人相手に、伝説の傭兵も力では負けてしまう。

 

真にアメリカを支持する者として、フランクリンはキャプテン・アメリカへ凄惨な拷問を行います。ただキャップへ「私は間違っています」と言わせるために。フランクリンはアメリカの負の歴史を無理やり聞かせ、また超人血清の影響で精神に異常をきたした子どもたちがのたうち回る様子を見せ、また肉体的な拷問も常に行い続けました。これらはすべてアメリカ生まれの苦しみだと言っているようです。それでもキャップは決して屈しようとはしません。絶対に自分が間違っているとは口にしません。ある日、キャップを捜索しに来たSHIELDのエージェントが捕まりました。フランクリンはそれをキャップの目の前で拷問、1人は殺害し、1人は腹をナイフで割くという拷問の結果、「間違っていました」と言わせることに成功。その後殺害されます。更に拷問は続きました。それでもキャップは屈しません。捕まったあの時と全く同じ不屈の精神で立ち向かいます。ある日のことです。キャップのいる監獄に、毒蛇が紛れ込みました。キャップはそれを噛み殺し、毒液をフランクリンへ吹きかけました。こうして隙のできた間に監獄から脱出。キャップとフランクリンの一騎打ちが再び始まります。確かに単純な力の差ではキャップはフランクリンに劣るかもしれません。しかし、キャップにはそれ以上の力がありました。精神力です。それはフランクリン自身が最も目の当たりにしたことでしょう。殴り飛ばされたフランクリンは最後に屈してしまいました。
f:id:ELEKINGPIT:20240215193556j:image怒りの拳を食らうフランクリン。最後に勝負を分けたのは、精神力の差だった。

 

〈不屈の精神力〉

今作には2人のキャプテン・アメリカが登場しました。1人はスティーブ・ロジャース。もう1人はフランクリン・シンプソンです。2人は超人血清を投与され、それぞれ激戦地へ送られました。その後2人は終戦を見ることなく失踪します。2人は多くの共通点があるのです。しかしそれ以上に、2人は決定的な違いがあることを皆様は直感で悟っているはずです。2人の違いは精神力の差だと。超人血清の副作用や未完成品がどうかは脇に置いておくとして、2人には大きな違いがあります。それはアメリカの負の歴史に屈したかどうかです。

フランクリンはアメリカに絶望しました。それはベトナム戦争がいかに凄惨だったかを想像すると分かるかもしれません。フランクリンは元々愛国心あふれる若者でした。歪んでしまいましたが、それは今でも変わりません。ところがゲリラと市民の区別をつけず、動く者全てを敵とみなして撃ち殺すアメリカ軍の姿のどこに理想があったでしょうか? 戦争というものは等しく非難されるべき最も醜悪な行為です。そこで自国軍の非人道的な戦いを目にしたフランクリンは絶望してしまったのでしょう。だからこそフランクリンはかつて夢見たアメリカへと修正するため、力をつけました。一方スティーブは、それらの事実を知ってもなお絶望していません。世界最悪の戦争と呼ばれた第2次世界大戦を戦ったスティーブは、ナチスという忌むべき悪を目の当たりにします。また、フランクリンの口にするアメリカの負の歴史を全て「知らないとでも思ったのか」と言い返します。スティーブはそれらをすべて受け止めた上で、今でも星条旗を纏い「キャプテン・アメリカ」として立っているのです。「キャプテン・アメリカ」に求められることは時代を経るごとに多くなったように思います。戦争の勝利と兵士の士気向上だけでなく、理想と自由、アメリカンドリームもその両肩に乗りました。スティーブはそれを理解しているのでしょう。だからこそ絶対に屈しないのです。自身の敗北は、フランクリンも夢見た「理想のアメリカ」の敗北へと繋がってしまうのですから。

 

IRON MAN DIRECTOR OF SHIELD

ヒーロー同士の内戦を経て勝者となったトニーは、SHIELDの長官という地位を得ました。今作はそんなSHIELD長官として活躍するトニーを描いたシリーズの第1作目です。強大な権力を手に入れたからこそ見えてくるトニー・スタークという人物像と、その覚悟がありました。
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日本語版関連作

 

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〈あらすじ〉

SHIELDの長官となったトニーは、組織の内部改革に取り組んだ。そんな中見え隠れするテロ組織の存在と宿敵の影。迫りくる脅威を前に、失ったものばかりを見ないために、トニーは再び覚悟を決める。アイアンマンとしての覚悟を。

 

〈責任と覚悟〉

SHIELDの副官、ダムダム・デュガンは辞任すべきかと決心していました。トニー・スタークが長官となってから、あまりにSHIELDは変わりすぎたのです。トニーが長官となってまず行われたことは、目安箱の設置でした。そしてカジュアルフライデーを実施、またヘリキャリア内にカフェテリアを設置し安らげる空間を作り出します。そしてデイケア(保育園のようなもの)まで。まるで会社のような組織運営にデュガンはうんざりしてしまっていました。更に問題は、数日前に遡ります。オペラハウスを襲撃したテロリストとの戦いです。最新武器を揃えているテロ組織に対し、トニーは特殊部隊を編成。アイアンマン技術を応用したパワードスーツを着用させます。その上で、作戦はトニーの主導で行われます。作戦の重要な要素は全てトニーが1人で遂行したのです。被害は最小限に抑えられ、怪我人もわずか。作戦は大成功です。ところがデュガンはそれも不満に感じていました。本来SHIELDはチームで動きます。特殊部隊を編成したのならなおのことチームで動くべきでしょう。しかし作戦の重要な部分をトニー1人で遂行してしまうと、SHIELDの存在意義が問われてしまいます。実際オペラハウス襲撃事件も、アイアンマン1人で何とかなったであろう事案です。しかしトニーはSHIELDの長官。本来は後方から指揮をする立場にあるはず。SHIELDとして対処するならば、せめてチームで作戦行動を行わねばならないとデュガンは指摘します。こうして大きく変わった新体制のSHIELDに適応できないデュガンは辞任を考えていたのです。ところがそんなデュガンを踏みとどまらせた事実が浮き彫りになります。頻発するテロに用いられる武器のほとんどが最新鋭のものなのです。どこからそんな武器が流れたのか? 資金源は? 調査をしているうちに、カリム・ナジーブという名前にたどり着きました。中国のテロリストです。恐らくカリム・ナジーブにも真の黒幕が存在しているでしょう。デュガンはSHIELDに留まる代わりに、トニーへ1つだけ忠告します。SHIELDの長官という立場は、命令1つで部下が死ぬ可能性もある責任の重いものです。だからこそ部下には一定の緊張感を保たせておくべきだと。カフェテリアやデイケアの設置は結構なことですが、ヘリキャリアは何かあればすぐさま戦場へ直行する乗り物です。場合によってはヘリキャリアが戦場になることも。ならば行うべきはホワイト企業化することではないでしょう。トニーはデュガンの言葉に深くうなずきました。
f:id:ELEKINGPIT:20240213204132j:imageSHIELD長官としての覚悟を説くデュガン。企業運営とは違う組織のあり方が求められるのだ。

 

解剖のため運ばれた死体を見て、マヤ・ハンセンは驚愕していました。トニーの特別顧問のような立場としてヘリキャリアに乗船していたマヤは、あるテロリストの奇妙な遺体を解剖していました。頭には大量のケーブルのようなものが繋げられており、体内は大幅な改造が施されていたのです。そこにはバイオハードドライブとでも言うべき記憶装置があり、目を通して得られた情報が映像として保存されていました。更に遺体はバイオコンピュータウイルスに罹患しています。これがあれば、死体であろうと関係なく遠隔で操作できるでしょう。解剖には危険が伴うようでした。トニーはこれらの発信源が、やはりカリム・ナジーブにあることを特定します。裏に潜む黒幕が、何かを企んでいることは間違いありません。拠点の1つを攻撃してでも陰謀が動き出す前に止めねばならないでしょう。トニーは即時決断します。編成した特殊部隊と共に拠点を攻めるアイアンマン。しかしそこには人の気配さえありません。その時です。バイオコンピュータウイルスに侵された人々が襲撃してきたではありませんか。すぐさま対応しますが、危機的な状況は別の場所でも起きていました。日本の米軍基地付近で待機していたヘリキャリアですが、マヤの解剖していた遺体が突如暴走。臓器を増殖させながらヘリキャリア全体が戦場へと変わったのです。銃火器で対応は可能なものの、猛スピードで増殖するバイオコンピュータウイルス相手ではジリ貧でしかありません。トニーは唯一の解決法を思いつきました。バイオコンピュータウイルスを、エクストリミスを通じて自身に感染させるのです。その上でウイルスを倒すのだと。拠点を制圧するとマッハでヘリキャリアへ戻ったトニー。しかしここで悲劇を知ります。父と慕う恩師が、ウイルスの攻撃で死亡していたのです。そしてウイルスを自ら感染させます。
f:id:ELEKINGPIT:20240214090611j:image父も友も兄弟も失った。それでもトニーには立ち上がる責任がある。

〈責務〉

本作で強調されたのは、責任でした。SHIELDの長官となったトニーは、その責任の重さに気付かされます。ホワイト企業化させたSHIELDから、その責任と実感の追いつけてなさが現れているようです。そんなトニーがSHIELDの長官としての責務を実感したのが本作でしょう。SHIELDの長官というのは、強大な権限があります。世界中を守るのですから国境を超えるのにビザやパスポートも必要ありません。しかしだからこそ、重すぎる責任があります。テロが起きるとそれがどこであれ対処せねばなりません。民間人の被害は最小限に抑える方法を臨機応変に的確に、そして最速で考え出さねばなりません。またニック・フューリーとマリア・ヒルのように、長官が変わるとそれだけでヒーローコミュニティに溝が生まれてしまうことも。トニー自身、フューリーから会社を買収されそうになった経験があり、如何にその力が強大かは思い知っていることでしょう。また部下が命令1つで死ぬ可能性もあります。大人数の部下を自由に動かせる反面、怪我人や死者が出た場合は全て自分の責任です。しかしそれらも全て長官職の側面でしかないでしょう。何よりも重いのは、絶対に折れてはならないことです。トニーは何度も何度も様々な状況に挫折し、立ち直るたびに強くなるキャラクターとして描かれていました。しかしSHIELDの長官がそれではいけません。大勢の人命が両肩に乗ってるのですから当然です。SHIELD長官は絶対に折れてはならないのです。

キャプテン・アメリカ視点で見るシビルウォー

超人登録法の賛否を巡って争ったシビルウォー。前回はトニーの視点でシビルウォーを紐解いて行きましたが、シビルウォーの主役はトニーだけではありません。理想に邁進したキャップはなぜ政府と戦ってでも超人登録法に反対したのでしょうか? 題して、「キャプテン・アメリカ視点で見るシビルウォー」です。今回も、前回同様シビルウォーについてオタク語りをする記事となっております。ご了承ください。
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〈ヒーローから見た超人登録法〉

キャプテン・アメリカの視点でシビルウォーを考えるには、まずヒーロー視点で見た超人登録法を紐解いていかねばなりません。そこで注目したいのが、Road to civil warでのファンタスティック・フォーのスーザンが発したとあるセリフ、「選挙の票集め。そうに決まってる」というものです。若いヒーローのミスにより死者600名以上を出したスタンフォードの悲劇以前から超人登録法の存在は公になっていました。しかしスーザンはこれを選挙で注目を集めるための施策だと考えているのです。Iron man civil warでも、トニーが票や小金目当ての政治家ばかり集まってくると嘆く姿が描かれていました。実際政治家にとって超人登録法というものはその程度のもので、スーザンの推察は間違っていなかったと言えます。また、ヒーローにとって超人登録法の成立が唐突であったというのは、Civil war序盤のバグスタービルディングでの会合を見ると明らかです。それ以前に「法が成立した場合」の話し合いを行っていなかったと考えられます。ということは、ヒーローの視点で見ると登録法はスタンフォードの悲劇がなければ成立はあり得ないものだったという認識だったのでしょう。またIron man civil warでは、当時トニーが超人登録法を反対するために動いていたことをキャップは知っていたセリフがありました。キャップの視点で考えても、トニーに任せていれば解決するものだと信じていたようです。スタンフォードの悲劇で成立が確定的となるまで、キャップもまた他のヒーロー同様に成立しない法だという認識だったことがわかります。
f:id:ELEKINGPIT:20240210103232j:imageバグスタービルディングで超人登録法のについて話し合うヒーロー。悲劇が起きるまでは支持されない法だと考えていたよう。

 

楽観的ともいえる対応ですが、それほど超人登録法には多くの問題がありました。第1に、ヒーロー活動を行う場合その正体を政府に登録せねばなりません。また給料が保証される代わりに、SHIELDの指令を受けなくてはなりません。反対派が指摘する問題点はこれらにありました。身分を政府に登録すると、ハッキングが得意なヴィランから正体に露呈するのでは? 正体を明かしているヒーローも、事実上SHIELDのエージェントとなる条項には猛反対しています。また、キャプテン・アメリカは超人登録法が構築するシステムに問題があると指摘しています。その指摘が最も分かりやすく主張されているのは、What if? civil warでしょう。トニーが死んだ世界で超人査問委員会と議論するキャップは、死者が出ないように戦い続けるのは不可能だと主張します。国家や世界を転覆させようとする敵を相手に誰も巻き込まないことは、誰よりも戦い続けているキャップが無理だと実感しているのです。また1人、あるいは数人の個人の支配下にヒーローが身を置くようなシステムは非常に危険な誘惑だといいます。強大な力を持つ組織は必ず腐敗するのです。最初は誠実な理念のもとで組織が運営されたとしても、腐敗が進めば特定個人の利益のためにヒーローの力が行使されてしまいます。多くの過去を見てきたからこそキャップは声高に主張するのです。この法には断固反対だと。
f:id:ELEKINGPIT:20240210112726j:image超人登録法の施行が確定となった瞬間から断固反対を主張するキャップ。腐敗を招くシステムにヒーローが利用されるなら、絶対に成立はありえないのだ。

 

キャプテン・アメリカvs超人登録法〉

登録法の成立が不可避となった瞬間から、キャップは地下へと潜りました。法が構築するシステムが腐敗を呼び、ヒーローを利己的に利用できるものならば成立することさえハッキリとNOを突きつけなくてはなりません。アイアンマンのように内部革命が名目だったとしても、悪法であれば従うことは許されません。それがキャプテン・アメリカの正義であり、自由の守護者としての振る舞いなのです。それがたとえ政府であったとしても、悪法に従うのは少なくとも「キャプテン・アメリカ」ではありません。New avengers civil warでは、スティーブ自身がそれを言い聞かせている描写があります。また、自身の主張を書籍や絵画で発表しようか思案しているシーンがありました。誰も信用できない状況に陥ったからこそ、少しでも賛同者を得ようとしていたのです。地下へ潜り、賛同者も得にくい状況で内戦を迎えたキャップ。その覚悟が現れているシーンがCivil war本編で描かれています。シビルウォー中の有名なシーンとして、話し合いを提案するアイアンマンへキャップが、握手すると同時に電磁スクランブラーでアイアンマンを攻撃するシーンです。よくキャプテン・アメリカはそんなことをしないと話題になる場面ですね。何故キャップはそのような行動に出たのでしょうか? 超人登録法に従うことはキャプテン・アメリカにとってありえません。それは立場を同じくするヒーローも同様です。ならば超人登録法が否決するまで戦い続かなくてはならないのです。トニーと同様にキャップもまた、必勝不敗の戦いになると考えていたに違いありません。反対派の敗北は即ちSHIELDや政府へヒーローが従属することを意味し、自由と正義を守るものがいなくなってしまうのです。以上を踏まえると、絶対に負けられない戦いにおいて、親友を倒すことで後戻りできない状況に自らを追い込み、褌を締め直したようにも考えられます。この戦いで賛成派と反対派の対立が露わになったことが何よりもそれを示しているでしょう。
f:id:ELEKINGPIT:20240210205538j:imageアイアンマンをも攻撃するキャプテン・アメリカ。それはキャップ自身の覚悟を表すものだったのかもしれない。

それほど超人登録法に断固拒否して必勝不敗の覚悟を示したキャップですが、最後には自ら手首を差し伸べ逮捕されてしまいます。何故キャプテン・アメリカは最後に出頭したのでしょうか? キャップが出頭する直前、キャップは追い詰めたアイアンマンへとどめを刺そうとしていました。しかしそれを市民が庇い止めたのです。これにキャップは涙を流し、守るべきものを思い出して出頭するという一連の流れがありました。キャップの守るべきものは、平たくいうと自由と正義です。キャップはヒーローの自由が侵されるから超人登録法に反対しました。そしてファンタスティック・フォーのスーザンの推測通り、超人登録法は元々選挙の票集めや小金目当ての政治家が生み出したものだと考えられます。超人登録法は成立以前から高潔な理念や精神がなく、そこに正義はないのです。守るべきものが守られていないから反対しているのです。しかし最後にキャップが降伏したのもまた、守るべきものが守られていないからでした。これはどういうことなのか? 答えは簡潔で明白です。キャップのいう自由と正義は全て市民のためにあるのです。キャップが戦うのは、市民が自由と正義を全うするためです。それは宿敵のレッドスカルがナチズムを信奉していることからも読み取れます。キャップはシビルウォー最後の戦場となったマンハッタンが黒煙に塗れ、市民が自分の攻撃から身を挺してでもアイアンマンを守ったことから悟ります。市民が選んだ自由がそこにあると。自由とは自分勝手に好き放題振る舞うことではありません。その選択を自ら選択し、また選んだ責任を自身で負うことです。自由の守護者たるキャップがそれを理解していないはずがありません。守るべき市民を蔑ろにし、また市民の選んだ自由を守れていなかったからこそキャップは出頭を選択したのでしょう。
f:id:ELEKINGPIT:20240210211727j:image市民に攻撃を防がれるキャップ。守るべき正義はそこにあった。

 

〈まとめ〉

超人登録法は、ヒーローにとって成立しないものだと思われていました。選挙の票や小金目当ての政治家が作成した法律であって国民が納得するはずがないと考えていたからです。キャップ自身、トニーが反対活動を行っていることを認識しながらも何らかの動きを見せなかったことから、成立しないと考えていたことが分かります。ところがスタンフォードの悲劇以来、超人登録法の成立が確定的となった時点でキャップは地下は潜ります。超人登録法を断固反対するためです。超人登録法には多くの問題が存在していますが、中でもキャップが反対しているのは、システムによる腐敗でした。個人または少人数がヒーローコミュニティの上に立つことを危惧していたのです。最初は高潔な理念によりシステムや組織が運営されたとしても、やがて腐敗し、特定個人の私利私欲のために使われる恐れがあるためです。例え政府と戦うことになろうとも、それがキャップの正義でした。そのためトニーのような内部改革はキャップの中に選択肢としてありえませんでした。内部改革には時間かかりますし、改革が終わらぬうちはSHIELDに従うも同然です。自由と正義にのみ従うキャップであればそれは明白だったでしょう。自由と正義に反するならば超人登録法は絶対に許されません。しかしそんなキャップが最後には降伏したのは、守るべきものが守れていなかったからでした。キャップは自由と正義の守護者です。自由と正義とは、市民にとっての自由であり正義です。それを内戦によって蔑ろにしてしまい、また市民が選んだ側がアイアンマンであることを悟ったからこそキャップは降伏したのでした。

現実的な勝利を目指すトニーと、理想の勝利を狙ったキャップ。その差は読者への印象の違いという形で顕著に現れました。理想のために命をかけ、自由と正義の盾として戦い続けたキャップ。戦いに負けはしましたが、降伏した理由も含めて最後まで主義主張が一貫していたことは間違いありません。判官贔屓もあるかもしれませんが、シビルウォー中のキャップに多くの支持が集まるのは、そんな理想を貫き続けた力強い姿を崩さなかったからこそでしょう。