アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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AVENGERS(1998)#5〜#6

復活して早々モーガン・ル・フェイの世界征服に立ち向かったアベンジャーズ。そんな地球最強のヒーローチームが次に挑むのは、もう1つの地球最強のヒーローチーム、スコードロン・スプリームです。平行世界からやってきたスコードロン・スプリームは、なんとDCコミックのヒーローチーム、ジャスティス・リーグを模したチーム。時にアベンジャーズとは相容れないこともありますが、同じ地球を守ってきた同士として厚い信頼関係が築かれています。ジャスティス・リーグと見比べて、どのようなヒーローのパロディが登場しているのか探してみるのも面白いでしょう。
f:id:ELEKINGPIT:20220413141810j:imageAVENGERS(1998)#5

 

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〈あらすじ〉

モーガン・ル・フェイの魔の手から世界を救い、再び世界の守護者として立ち上がったアベンジャーズ。世界中から歓迎される中復活となったが、中にはそれを快く思わない者もいた。ある日政府から依頼を受けたアベンジャーズは、極秘任務を帯びた飛行機の墜落事故救出に向かう。そこに現れたのは、もう1つの地球最強のヒーローチームだった。

 

〈伝説のヒーローチーム〉

今やニューヨーカーの観光名所となりつつあるアベンジャーズマンション。アベンジャーズの本部として有名なこの建物は、ある日重大な任務を政府から受信していました。緊急招集されたアベンジャーズ。任務の内容は、墜落した飛行機の救出作業を行って欲しいというものでした。なんでもその飛行機は極秘の重要任務中に墜落したのだとか。その任務も、かつてアベンジャーズと戦ったサノスの宇宙船を調査するため。表向きは旅客機を装っていますが、なるほど外部に知られれば混乱を招く要素ばかりです。アベンジャーズはすぐさま現場の海上へ出動しました。海上では誰が知ったか既にマスコミが押しかけていました。更に救助作業を始めようとした瞬間、天から怒声が降ってきます。見上げると、そこに居たのはスコードロン・スプリームでした。
f:id:ELEKINGPIT:20220414102500j:image空から現れたスコードロン・スプリーム。その様はアベンジャーズの敵意を隠そうともしない。

 

救助作業を手伝うのかと思われた途端、スコードロン・スプリームはいきなりアベンジャーズへ襲い掛かりました。激しくぶつかり合う両チーム。スコードロン・スプリームは、アベンジャーズを何度も偽物と呼び、強く怒りを露わにしていました。一方敵の攻撃で吹き飛ばされたアイアンマンは、墜落した飛行機のほぼ真下の海底でサノスの宇宙船を発見します。しかも既に何者かがサルベージを始めているではありませんか。この事件には何か裏があるに違いないでしょう。とはいえ今は戦闘中。これ以上調査する暇もなく、すぐさま戦線に復帰します。不意をつかれたとはいえ、アベンジャーズは苦戦していました。アベンジャーズに負けず劣らず様々な超人が集うスコードロン・スプリームの能力に翻弄されっぱなしだったのです。更にスキをついたスコードロン・スプリームが、なんと飛行機を救出。これ以上ここに留まる理由はないとキャップが退却を命令、初戦はアベンジャーズの敗北に終わってしまいました。実力も精神もアベンジャーズと同等のスコードロン・スプリーム。そんな名士達が何故アベンジャーズに立ちはだかったのでしょうか? テレビでは今のアベンジャーズを偽物と糾弾する、チームリーダーのハイペリオンが全面的に映し出されていました。もしやスコードロン・スプリームは洗脳されているのではないか? アベンジャーズの頭には確信に近い推理が頭をよぎります。実際過去、アベンジャー同士が戦った原因の殆どは洗脳により操られていたことです。すぐさま可能性の高いヴィランをリストアップ。一方、外では何かの騒ぎが起きていました。なんとアベンジャーズの調査を嗅ぎつけたスコードロン・スプリームが再び登場したのです。
f:id:ELEKINGPIT:20220415012902j:image再び対峙する2大最強チーム。何故両チームは戦わなければならないのか?

 

動揺するアベンジャーズですが、戦闘は容赦なく始まります。互いの能力をフル活用したバトル。互いの揺るがない信念の衝突。どれをとっても世界最高峰のレベルでしょう。しかしその戦闘はそう長く続きませんでした。キャロルの直感的推理により、敵の正体が露わになったのです。それは政府の極秘チーム、プロジェクトペガサスの長官に扮していたコラプターでした。コラプターは自身の精神操作能力を活かし、スコードロン・スプリームを手先にして操っていたのです。そうと分かればあとは簡単。洗脳されているならそれを解けばいいのです。スカーレット・ウィッチのヘックスパワーがスコードロン・スプリームへ必死の呼びかけをします。
f:id:ELEKINGPIT:20220415015110j:image徐々に自我を取り戻すスコードロン・スプリーム。奇跡を起こすヘックスパワーだからこそ出来た芸当だ。

 

アベンジャーズの信頼度〉

スコードロン・スプリームによって偽物疑惑をかけられたアベンジャーズ。その後の世間の反応は詳しく描写されていませんが、後にこの疑惑が取り消されても少なからず影響を与えたことは想像に難くないでしょう。ではアベンジャーズの偽物疑惑を世間はどのように受け取ったのでしょうか?

さて、まずはここで当時のマーベルユニバースの状況を見ていきましょう。かつてアベンジャーズのほとんどが全滅したオンスロートとの戦いからしばらく経った後、政府は新たにサンダーボルトと呼ばれる新ヒーローチームを創設します。元ヴィランを改心させて結成されたこのチームは、後に変身型宇宙人スクラル人との戦いでダメージを受けてしまいます。このスクラル人は他人の姿をコピーする能力を持っており、「死んだと思われた人物が実はスクラルで、本物はどこかで生きていた」なんてケースもしばしばあるほど。アベンジャーズが突如復活したのはまさにそんな時でした。全滅したと思われていたアベンジャーズが一斉に、それも市民が納得出来るほど十分な説明も無く復活したのです。#1〜#4では歓迎する市民の姿が多く描かれていますが、復活したと知った高揚感が人々の疑念を上回っていただけとも解釈できます。もしそんなムードが漂っていたとしたら、それに一石投じたのがスコードロン・スプリームの告発でしょう。両手を挙げてアベンジャーズを信じきる人がどれほどいるのか? ヒーロー社会を描く物語はほぼ必ず、いつかヒーローへの不満が市民の間で爆発するまで溜まってしまいます。こうした小さな蓄積がヒーローへの不信を生んでしまうのかもしれません。そしてマーベル史上最大の悲劇とも言われるシビル・ウォーへも……?