アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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ULTIMATE SECRET

ギャラクタス3部作も今作で2作目となりました。宇宙から飛来したヴィジョンにより、アルティメットユニバースへ衝撃を与えた前回。正史世界では描けない展開を踏まえた本作は、アルティメットユニバースならではの更なる拡大を見せました。ファンタスティック・フォーも登場し、ユニバース全体を巻き込みつつあるストーリーに、最終作まで目が離せません。
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前回はこちらelekingpit.hatenablog.com

 

〈あらすじ〉

SHIELDの主導で新型スペースシャトルの発射テストが行われた。しかしテスト開始直前、爆炎と共に異星人が現れる。閃光に包まれた異星人の正体が告げる目的とは? 鍵を握るのは、絶滅を告げるガー・ラク・タスの存在だった。

 

〈禁断の情報〉

SHIELDはキャロル・ダンバース率いるチームの新型スペースシャトル、エイシスの打ち上げを見守っていました。このスペースシャトルは強大なエネルギーで反重力を生み出し、また爆発しても被害が広がらないよう様々な工夫を凝らした最先端科学の結晶です。ところがまもなく打ち上げが始まろうとしたその瞬間、爆煙とともに救援を求める通信が。襲撃です。敵の目的も正体も分からない状況に司令塔もキャロル大佐も混乱している様子。しかしチームの一員であるローソン博士だけは違いました。爆煙に隠れた敵の正体を可視光線で見破ると、こっそり別室へ移動、腕時計型のデバイスを起動させてあっという間に変身したではありませんか。そのまま爆煙の背後にいる敵と戦うローソン博士。異形の敵は以前から予想していたものに違いありません。自分1人では苦戦するかもしれないが、エイシスのコアを叩きつけてしまえばチャンスは大いにある。異形の敵へ「マァア・ヴェル」と呼ばれるローソン博士は、スペースシャトルの爆発と奇襲戦法を駆使して戦います。作戦は見事に成功しました。しかし予想以上にダメージを受けていたようで、ローソン博士もまた意識を失ってしまいます。
f:id:ELEKINGPIT:20230606140124j:image突如現れた異形の敵と「マァア・ヴェル」と呼ばれるローソン博士。2人の登場は何を意味するのか?

 

ローソン博士が目を覚ますと、そこは尋問室でした。体は縛られ、首元にはプラスチック爆弾。目の前にはキャロル大佐がキッと睨みつけています。大佐によると、今着用しているものがパワードスーツの類であることは分かるが脱がし方がわからず、とりあえず拘束したとの事。ローソン博士は腕時計型のデバイスを起動して変身を解除して見せました。そして自らの正体を語ります。ローソン博士の正体は、遥か遠くの惑星からやってきたクリー人です。地球人でいう海軍大尉で、先程戦闘していたのは同じくクリーからやってきたキルポイントと呼ばれる兵器です。他にも何人かのクリー人がある任務のために潜伏していると言います。地球人の観察です。まだまだ科学が未発達な地球人が如何にして惑星外まで移動する手段を確立するのか、如何にして全人類を地球から脱出させるのか。如何にして、ガー・ラク・タスが地球を襲撃するのか。それらを全て観察し、或いは地球人の脱出を妨害してでもクリーの惑星ハラへ情報を送る任務です。キャロル大佐と共に尋問していたフューリー長官は戦慄します。以前ヴィジョンが発していたメッセージが異星人によって裏付けられたのです。ガー・ラク・タスの名は最高機密情報として扱われていたので、マァア・ヴェルの言うことが単なるでっち上げとは考えにくいでしょう。新型スペースシャトルのエイシスをキルポイントが襲撃したことも、惑星外への移動手段と思えば妨害しデータを集めようとしたのだと推測できます。ガー・ラク・タスとは何なのか、異星人からの攻撃があった以上ヴィジョンの修復を待つ時間はありません。早急にガー・ラク・タスの対策と他の異星人を牽制する必要があるでしょう。SHIELDはファンタスティック・フォーとアイアンマン、ソーを招集。世界最高の頭脳と武力で作戦を考えることにします。
f:id:ELEKINGPIT:20230606150730j:image招集された超人達。最高の頭脳と最強の武力が集まった。

 

マァア・ヴェル大尉によると、ガー・ラク・タスに関する情報はクリーでも秘匿されており、知っているのは一握りのみ。その1人が、地球の潜入任務を指揮するヨン・ログです。現在母艦を月機動の影に隠しているヨン・ログですが、直接会うでもしない限り情報を引き出すことは難しいでしょう。地球に潜伏するうちに地球人のことを気に入ったマァア・ヴェル大尉も全面的に協力することが決まり、地球の言葉で発音しやすいようキャプテン・マーベルと呼ばれるようになります。あとは作戦を決めるのみ。ファンタスティック・フォーのリードのアルティメッツのトニーは、フューリー長官やキャプテン・マーベルの話を聞き同じ結論に達していました。新型スペースシャトルのエイシスは爆破されたもの以外にも何基か残っており、発射するならば同じようにキルポイントが襲撃することは容易に想像できます。ところがキルポイントはヨン・ログの母艦から直接出撃しており、キルポイントの襲撃中はヨン・ログの護衛は手薄くなっているのです。ならばエイシスの発射と同時にキルポイントを足止めし、護衛の少ないうちに乗り込んでしまえば良いでしょう。当然高度なステルス技術や高い戦闘能力が作戦成功には必須条件ですが、キャプテン・マーベルの全面協力に加えソーやシングらがいれば問題はないも同然。フューリー長官もこの作戦を了承し、早速準備が整えられます。作戦当日。エイシスの発射に予想通りキルポイントが大量に登場しました。しかし迎撃チームは地球でもほとんど最高戦力に近いメンバーが揃っています。両者の激突を横目にエイシスは無事発射しました。
f:id:ELEKINGPIT:20230606152931j:imageシャトル基地の前に大量に現れたキルポイント。迎え撃つソーやシングらはそれでもたじろぐことさえなかった。

 

真っ暗な真空の中で、月の裏側に隠れていたのは禍々しい見た目をした巨大な宇宙船でした。中は予想通り警護が少なく、ヨン・ログまで安全にたどり着けるでしょう。船へ侵入した時点でヨン・ログも察知しているようですが、ここまで追い詰めれば問題ありません。ヨン・ログは最終手段として1人用の脱出ポッドに乗り込んでいたところを、地球のヒーロー達に発見されました。キャプテン・マーベルによると、ガー・ラク・タスを知るものは等しく発狂するのだとか。クリーが機密情報にしている理由は既にヨン・ログが物語っていました。目をカッと見開き、うわ言のように地球人を罵るばかり。ほとんどパニック状態に陥っているようです。クリー人はガー・ラク・タスの襲来とその滅亡を気が遠くなるほど長い間観察していました。そのためガー・ラク・タスを退けた経験も。だからこそ地球滅亡という未来を直感ながら確信していました。絶滅が確定しているのなら、地球人は既に死んだも同然。狂ったヨン・ログは、そんな不吉な言葉を残して船ごと爆死してしまいました。
f:id:ELEKINGPIT:20230607020424j:image爆死するヨン・ログ。1人の軍人さえ狂わせるガー・ラク・タスの情報は、最後まで抜き出すことが出来なかった。

 

〈驚嘆すべきヒーロー〉

今作では、正史世界でほとんど伝説となりつつある初代キャプテン・マーベルが初登場しました。脅威を確認し、物陰に隠れてこっそり変身、敵へ勇ましく突撃する姿はアルティメットユニバースでは珍しい、古典的なヒーロー像です。人類を心の底から気に入り、異星の軍人でありながら地球人を全力で守る姿もスーパーマンさえ思い起こすほど。しかしその心根はかのスーパーマンとは大きく異なるものでした。クリー人にとって、地球人は未発達の知的生命体。実際キャプテン・マーベル自身も地球人を猿と例えることさえあった程です。ならば前述の「人類を心の底から気に入る」という心境はかなり違って見えてくるのではないでしょうか? キャプテン・マーベルが地球人を守るのは、人助けよりも愛玩動物を守るという感覚に近いのでしょう。キャプテン・マーベルの心境では決して同じ視点に、立場に地球人が立つことはないのです。有史以来の未曾有の大厄災が迫る中、「愛玩動物」を守るために留まるキャプテン・マーベルはどこまで命をかけるのでしょうか? 今作が初登場というのもあり、今後の動向に期待したいキャラクターでした。