アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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AVENGERS WORLD vol3 NEXT WORLD

世界中の危機から物語がスタートしたアベンジャーズワールドシリーズも、事実上いよいよクライマックスとなりました(シリーズは以降も継続されますが、メインイベントのタイインが中心となります)。アベンジャーズの世界という壮大なタイトルを持つ今シリーズはどのような終着点を迎えるのでしょうか? 
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前回はこちらelekingpit.hatenablog.com

 

〈あらすじ〉

世界の終わりが始まった。やがて人々は跪き許しを乞うこととなるだろう。神の恵みと許しを祈るだろう。なんの意味もないというのに。世界中で同時多発的に発生した事件は、災害をも超える規模に拡大しつつあった。この戦いの全てに勝利したものこそが世界を征するであろう。世界はもう、元の姿には戻れない。

 

〈新秩序の訪れ〉

世界各地でアベンジャーズが戦いを繰り広げる中、SHIELDのヒル司令官は驚くべき情報を手に入れます。なんとAIMの最高科学者アンドリュー・フォーソンがテレビに出演しているというのです。フォーソンはテレビ番組で自らの主張を通そうとしているようです。環境汚染による問題は、最早個人の対策では止まらないほど進行してしまいました。それ以上母なる大地を汚すとは許されるはずがありません。そこでフォーソンは、人類の贖罪と問題解決を一気に成し遂げるため、世界をリセットするというのです。様子を見る限り賛同者はかなり多いよう。危険極まりない思想を元に動き始めるテロリストが何をするかは想像もつきません。すぐさまトニーが止めに入りますが、「自分の演説を暴力で止めさせようとした」とフォーソンは抗議。これを口実に、AIM帝国が宣戦布告し事実上の戦争状態に突入します。
f:id:ELEKINGPIT:20220803003613j:imageホワイトハウスを取り囲むAIMと対峙するアベンジャーズ。まるで予め準備していたかのように、宣戦布告と同時に大軍が押し寄せた。

 

同刻、未来へ派遣されていたサンスポットとキャノンボールが現代へ帰ってきました。ネクスト・アベンジャーズを引き連れて。スマッシャーをAIMに囚われていたため、取り返すための人員を欲していたのです。現代のアベンジャーズよりも一癖も二癖もあるネクスト・アベンジャーズ。子ども扱いされたとヒル司令官に怒ったかと思えば、テレポーターエデンに諭されて矛を収めたり……しかしその実力は本家にも負けません。AIM帝国が宣戦布告した今、AIM島を攻めるには絶好の機会でしょう。一方その頃、イタリア方面へ向かったアベンジャーズはヨーロッパのヒーローチーム、ユーロフォースと共闘していました。忽然と住人が消えたイタリアのある町。その真相は、モーガン・ル・フェイによって魂が弄ばれた結果でした。死霊の軍団による事実上のヨーロッパ制圧に、アベンジャーズとユーロフォースは大苦戦。モーガン・ル・フェイは自らを女王と名乗るほどでした。しかしそこへ、魂を操る魔術師ドルイドが加勢。魂を扱う魔術がモーガン・ル・フェイの黒魔術に相性抜群で、戦況は一気に好転します。そして大地がドラゴンとなったマドリプールでは、中国のヒーローチームとアベンジャーズが手を結び立ち向かっていました。しかし島全体がドラゴンとなったマドリプールと戦う手段は限られています。そこで打ち出された秘策。それはピム粒子を打ち込み、シャンチーを巨大化させることでした。
f:id:ELEKINGPIT:20220805080211j:image世界中で上げられる反撃の狼煙。アベンジャーズが守る世界に、何人たりとも付け入る隙はないのだ。

 

アベンジャーズの世界〉

この世界はアベンジャーズの世界である。という前提で今シリーズはスタートしました。今シリーズのヴィランは正にそれを打ち壊そうとする存在。誰もがこの世界を支配しようと目論んだのです。アベンジャーズが敗れたならば、ヴィランの世界となったことでしょう。しかし今作では、アベンジャーズが守る以上それはありえないことが示されました。アベンジャーズの世界とヴィランの世界では一体何が違うのでしょうか?

まずはヴィランが守る世界を見ていきましょう。今作に登場したヴィランは、それぞれアプローチは違うものの世界を自分のものにしようと企んでいました。死霊が蔓延り魂を弄ばれるモーガン・ル・フェイの世界。マドリプールをドラゴンとして従え、世界中に火種をばらまこうとしたハンドの世界。世界の改良を掲げ、強引に環境浄化を進めようとしたAIMの世界。三者の世界は、言ってしまえば「自己の拡大」でしょう。煽り運転をする運転手のように、些細なことで必要以上に恫喝する者のように、道具や他者を自己の境界線内に入れることで自分の力を拡大しようとする人は意外にも多く存在します。今作に登場したヴィランは、その世界に住む住民のことすら考えず、世界すら自己の一部と捉えることでその力をより大きくしようとしていたのでしょう。目的のために力を拡大させるのではありません。力を拡大させることそのものが目的なのです。一方アベンジャーズの世界にその傾向は見られません。アベンジャーズとは、あくまで住民を守るために存在するチーム。人々が願えばそれに応えるため全力を尽くすのです。世界の中心にいるのは住民で、アベンジャーズは住民がいなければ新たな存在価値を見出さねばならないでしょう。そこに住民がいるからこそアベンジャーズは成り立ち、アベンジャーズそのものの自己は極めて小さい状態とも言えます。両者の世界の違いは、端的に言えば自己の大きさの違いなのです。