アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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AVENGERS(1998)#13〜#15

怒涛の展開が続くカート・ビュシーク氏のアベンジャーズシリーズ。なるほど確かに読者を飽きさせない工夫が幾重にも施されており、人気となるのは必然だったのかもしれません。そんな本シリーズもついに新章突入。新たなる敵との対峙がもたらす展開とは? 強大な陰謀に立ち向かうプロローグの幕開けです。
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前回はこちらelekingpit.hatenablog.comelekingpit.hatenablog.com

〈あらすじ〉

憧れのアベンジャーズに加入しながら、そのプレッシャーに耐えきれず1人苦しむジャスティス。元いたニューウォリアーズに居心地の良さを感じ始めるが、そこへ現れた最凶の敵が襲いかかる。

 

〈挑戦状〉

スーパーパワーを持ったティーンエイジャーで構成されるチーム、ニューウォリアーズ。今やアベンジャーズのメンバーとなったジャスティスとファイヤースターも参加しており、現在はノヴァやスピードボールらが活動を続けています。ところがジャスティスら2人が抜けて以来自警活動は散発的で、規模も小さくなりつつありました。そこでスピードボールは抜けた2人に戻ってきてもらおうと画策。久しぶりにフルメンバーでの自警活動を行います。一方アベンジャーズの活動に重いプレッシャーを感じていたジャスティスには居心地の良いチームだった様子。懐かしき和気あいあいとした空気を楽しんでいました。そんな時、ニューウォリアーズの本部に緊急警報が鳴り響きます。科学による世界征服を目指す組織、AIMの秘密基地が見つかったというのです。AIMの雑兵ならばニューウォリアーズでも余裕で相手できるでしょう。勇気ある若者たちは早速秘密基地へ向かいました。決して油断し過ぎず、少ない経験値を存分に生かした戦い方で悪人らは次々と敗走して行きます。基地の制圧まであと僅か。誰もが勝利を確信していたニューウォリアーズですが、その瞬間、何者かが姿を現しました。AIMの盾となり圧倒的な存在感でニューウォリアーズに立ちはだかる謎の人物は、自らをテンプラー卿と名のりました。その強さは一瞬で勝利ムードの空気を塗り替えてしまうほど。何とチーム最強のノヴァが刹那の間に倒されてしまったのです。ファイヤースターは自分たちの敗北を悟り、アベンジャーズに加勢を願います。
f:id:ELEKINGPIT:20221228114436j:image強大な力を持つヴィラン、テンプラー卿。絶望的な力の差にニューウォリアーズは敗北を確信するしか無かった。

 

駆けつけたアベンジャーズにほくそ笑んだのは、テンプラー卿の方でした。テンプラー卿は自らの力を試そうとアベンジャーズに挑みたかったというのです。フルメンバーでは無いとはいえ、テンプラー卿の力は強大。AIMの頑丈な基地が半壊するほど激しい戦いの末、テンプラー卿は満足そうな表情を浮かべて姿を消しました。テンプラー卿とは何者だったのか? 足跡すら残さなかった謎の敵にアベンジャーズは首を傾げるばかり。調査を始めるにも、どこから手をつけるかさえ分かりません。何も進展がないまま数日後、ニューヨークに怪力を誇るヴィランが現れたとの情報が。ペイガンを名乗る敵は、銃弾を弾く頑強な肉体に地面を砕く程のパワーを持ち合わせています。スカーレット・ウィッチらがすかさず応戦しますが、何度攻撃しても全くダメージが効かないではありませんか。力任せの攻撃は隙だらけだし、防御に至ってはほとんどノーガード。ダメージさえ通せばもう3回は倒せているでしょう。しかし全くと言っていいほど有効打を与えられません。そこでワンダは敵をよく観察して秘密を探ります。なんとペイガンは攻撃を受ける度に体が大きくなっていたのです。物理的なダメージを無効にしてその分巨大化する能力者でしょうか? ならばヘックスパワーで……そう思った時でした。遅れて駆けつけたキャップ達が参戦します。ワンダは自らの推測について話そうとしますが、キャップは到着した途端メンバーにそれぞれの指示を言い渡し、戦い始めてしまいます。ペイガンを超怪力の持ち主だと見抜いたキャップはソーと正面衝突させる作戦で倒そうとしているようです。ワンダが静止する間もなくソーとペイガンが戦い始めてしまいます。鉄槌の一撃を食らったペイガンはさらに身体を巨大化。強くなった自分を誇らしげに、地面へ穴を作って逃げてしまいました。
f:id:ELEKINGPIT:20221228141102j:imageタイムズ・スクエアを戦場に変えたペイガン。まともに喰らえば一撃でノックアウトさせられそうな拳を振るう。

 

テンプラー卿にペイガン、たった数日で2人の凶悪なヴィランに逃げられたアベンジャーズは、事態を重く受け止め捜索に乗り出します。トニーがテンプラー卿を追跡する装置を発明、遂に足跡を追うことができるようになったのです。追跡装置は新興宗教「三位一体の解釈」の新たな教会を指していました。ならばあとは追うだけ。アベンジャーズが教会を訪れると、そこでは信者のジョナサン・トレモントが他の信者に演説をしていました。ヴィランがいるとは思えない平和な光景。しかしその瞬間、地面からペイガンが現れたではありませんか。信者を避難させつつ応戦するアベンジャーズ。超パワーを有する敵に一切の余裕はありません。今や堅牢な肉体はソー程の攻撃でなければビクともしないほど。超人パワーのぶつかり合いに、周囲が次々と瓦礫の山に変えられるほど激しい戦闘が続きました。それでもペイガンを追い詰めることができません。決め手に欠けたまま戦闘は激しくなり、一方で信者たちの心配をよそに瓦礫の山は高くなるばかり。打つ手なしと思われたその時でした。上空から姿を見せたのは、なんとテンプラー卿その人ではありませんか。ペイガンに加えテンプラー卿を相手する余裕がどこに残っているでしょうか? 苦い表情を浮かべるアベンジャーズですが、その後の展開はさらに予想外なものでした。テンプラー卿が攻撃したのはペイガンだったのです。今回の襲撃を諌めるテンプラー卿。どうやら2人は主従の関係にあるようです。呆気に取られるアベンジャーズを他所に、テンプラー卿はペイガンを独力で抑えてあっという間に去ってしまいました。残ったのは瓦礫の山ばかり。新興宗教「三位一体の解釈」は、自分達の協会がアベンジャーズにより壊滅させられたと声高に非難を浴びせます。一方、全ての事件の裏でほくそ笑む存在がいました。
f:id:ELEKINGPIT:20221229003340j:imageピム博士の動向を確認し、満足気な様子を見せるウルトロン。鋼鉄の体に包まれた邪悪そのものの存在が、今後どのように関わるのか?

 

アベンジャーズの転換点〉

今作ではアベンジャーズが何度もヴィランを捕り逃してしまう様が描かれました。今作に登場したテンプラー卿もペイガンも強力にして凶悪なヴィラン。話を展開させるためとはいえ、そんなヴィランを何度も逃して大丈夫なのでしょうか?

今作のアベンジャーズは1つの分岐点を迎えていました。一時的に不在だったキャップの代わりにスカーレット・ウィッチがチームのリーダーを務め、チームを今1度見渡すようになったのです。そこで洗い出された問題点を改善しようと様々な試みを行っていました。例えば定例会議の議長役をローテーションさせチーム内の風通しを良くしようとします。それまで「キャプテン・アメリカの指示だから」というだけで従ってきたヒーローはスカーレット・ウィッチ含め多いのですが、それではいけないと悟ったようです。チームにとって1つの転機が訪れたと考えていいでしょう。そんな時に現れたのがテンプラー卿とペイガンです。特にペイガンとの初戦は顕著ですが、キャップ体制のアベンジャーズでは勝てないことが表されていました。数々の危機から世界を守ってきたアベンジャーズ。しかし事件の連続であやふやな問題をそのまま放置してきた感は否めません。そんな問題点を指摘するかのように失態が続いたのかもしれません。