アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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IRON MAN #239〜#242

アーマーウォーズを終え、困難から立ち直ったトニー。しかし人気が続く限り物語が終わらないのがアメリカンヒーローコミックスというもの。一難去ってもまた一難が降りかかるのが常なのです。今作は、そんなトニーが人生で最大の危機を迎えました。第2次アルコール中毒期、アーマーウォーズ、そして次なる受難……全て現在のトニーの土台となっています。その礎の1つを見ていきましょう。
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〈あらすじ〉

世間からの信頼も回復し、会社の事業拡大を目論むトニー。しかしそこには、宿敵達が障壁として立ち塞がっていた。更にトニーを襲う凶弾の正体とは? この時、トニーの人生が激変する!

 

〈宿敵との決闘〉

トニーも社員も全員の努力が実を結び、スターク社の信用はすっかり回復していました。事業も順調に進んでいるようで、トニーは更なる事業拡大を考えていました。ある会社の吸収合併を行おうとしていたのです。両社の合意もあり、こちらも問題なく進んでいる……と安心したその時です。なんと合併先の会社施設や設備が破壊されたというではありませんか。犯人はブラックアッシュ、ブーメラン、ブリザードの3人組。恐らく裏でジャスティン・ハマーの手引きがあったのでしょう。ハマー老人はDemon in a bottle編以来何度もスターク社を妨害してきた因縁の相手。不正な手段に訴えてでもスターク社の利益を妨げようとしてきました。トニーの元へある招待が届いたのはそんな時でした。なんと相手はハマー老人です。大胆不敵にも挑戦状を叩き付けて来たのでしょうか? 招待に応じ夕食を共にすると、ハマー老人は挑戦状ではなく取引を持ちかけて来ました。ゴーストを共に倒して欲しいと。ゴーストはかつてトニーと敵対し、目の前で亡くなったはずのヴィランです。もし生きているならばトニーへの復讐も行いかねない強敵。問題は、その打倒をハマー老人が持ちかけたことです。ハマー老人子飼のヴィランと共闘するなら確かにゴーストを倒すことは出来るでしょう。代わりにハマー老人は、ブリザードが行った悪行を見逃して欲しいと言うのです。恐らブリザードは今後も会社の施設を破壊し、多くの人々を危険に晒すでしょう。熟考を重ねたトニーは、ある作戦を思いつきます。ゴーストを倒しブリザードを更生させうる秘密の作戦です。そして数日後、トニーはハマー老人子飼のヴィラン達とゴーストを迎え撃っていました。ヒーローとヴィランとの共闘は、チグハグな連携で予想以上の苦戦を強いられます。それでもなんとか優勢まで追い込むことに成功。勝利は確実かと思われました。しかしゴーストはそれさえも想定していたようです。なんと戦場となった建物全体に予め爆弾を仕込んでおり、大爆発と共に自身の透過能力を発動、まんまと目の前で逃げおおせたのでした。
f:id:ELEKINGPIT:20230709103105j:imageアイアンマンと共闘するヴィラン。チグハグなチームワークだが、個々の戦闘力は高い。

 

ゴーストとの戦いからしばらく後、トニーは香港を視察していました。スターク社をより国際的な企業にするため、香港進出を目論んでいたのです。現在香港はチャン・トン氏が事実上市場を独占しているようで、香港を進出するにはチャン氏と交渉せねばなりません。早速アポイントメントを取り付け会談の場を設けたトニー。現れたのは、予想外の人物でした。チャン氏と紹介された人物は、どこからどう見てもマンダリンその人ではありませんか。トニーは悟られないよう精一杯表情を保ちます。一方マンダリンは悠々とした表情で、条件付きで香港市場参入を認めると言います。条件は単純かつシンプル。これ程わかりやすいものは無いでしょう。アイアンマンとマンダリンが一騎打ちし、アイアンマンが勝てば参入を許すと言うのです。もしその条件を飲まなければ? マンダリンはスクリーンにある映像を映し出します。ローディや古参社員を投獄した映像です。もしアイアンマンが負けたり、そもそもこの勝負に乗らなければ、投獄された仲間たち全員の命はない。卑怯な方法にトニーは怒りを露わにしますが、勝負を断る訳にはいきません。決戦の日まであと僅か。自ら助けに行くことは不可能に近く、マンダリンの怒りを買えば人質が何をされるか分かりません。助けるならば勝負の最中。トニーはかつて会社の危機を救ったリンという知り合いに頼ります。リンはハッキングの才能もあり、ローディらの脱出に大いに役に立つことでしょう。こうして迎えた決戦当日。マンダリンの指輪から放たれる数々の能力は脅威ですが、アイアンマンのアーマーは当時の最高レベルのテクノロジーが込められています。メディアの注目を集める中、2人の決戦が始まりました。
f:id:ELEKINGPIT:20230709133944j:imageアイアンマンvsマンダリン。長年の強敵に勝つことはできるのか?

 

事件が起きたのは、決闘を終えたその日の夜でした。策略を巡らせマンダリンに辛勝したトニーは、開放されたローディに送られ自宅へと帰りました。様子がおかしいと気付いたのは、扉を開ける直前です。窓ガラスが割れ、家の中には異様な気配が。恐る恐る足を踏み入れると、中にいたのはケイシーでした。ケイシーはトニーの元パートナーです。ポロ大会がきっかけで知り合った2人ですが、ケイシーの身勝手な行動が目立ちトニーの我慢も限界に。トニーから別れを切り出していました。そのケイシーが今目の前にいるのです。割られた写真、迸る緊張感。トニーはもう話すことはないと改めてケイシーを拒絶します。これにケイシーは驚くこともせずに応えました。「分かってる。それでいい。ただ最後に一目見てたかっただけ、言いたかっただけ。さようなら」ケイシーが懐から出したのは拳銃でした。これから何をしようとしているのかトニーが悟ったその瞬間、銃声と血しぶきが舞います。胸を撃たれたのです。
f:id:ELEKINGPIT:20230710000019j:image力なく倒れるトニー。滴る血の量がこの危機を物語っている。

 

〈大きくなるスターク社〉

トニーが銃撃されるという驚くべき展開がなされた本作。その前に、本作は会社の拡大とこれを対抗するエピソードが中心でした。今回は、そんなスターク社が主役です。スターク社は世界的な大企業として多くの方々が認識しているでしょう。しかし当時のスターク社は、オバディアから奪われたものではなくオバディアに対抗するため生まれたもの。西海岸でも有数なものとなっていましたが、世界を相手にしたビジネスはまだ不可能だったのです。その鎖を打ち破ったのもまたトニーでした。では何故このタイミングなのでしょうか? 劇中では、トニーらスターク社の失った信用は徐々に回復していました。確かにベストなタイミングです。それは読者にとっても同様でしょう。アーマーウォーズの影響が少なくなった今こそのチャンスなのです。また、現在のスターク社は回を追うごとに巨大になっています。物語とともに成長するスターク社。トニーや読者が目撃した事件の度に成長の証としてまた大きくなるのでしょう。