アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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IRON MAN ARMOR WARS②(#220〜#222)

ヒーローに休息なしとはよく言ったもので、時にヒーローはプライベートをも犠牲にして人々を救い続ける場合もあります。また常に凶悪なヴィランから命を狙われ続けるため、気を休める時間も決して多くはないでしょう。アーマーウォーズの前哨戦となる今回は、酒を絶ったトニーが立ち向かう最大の危機と言えます。休息の暇すら与えられない過酷な戦いを、酒という悪魔に打ち勝ったトニーはどのように挑むのでしょうか?
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前回はこちらelekingpit.hatenablog.com

 

〈あらすじ〉

アキューテック社との契約締結のため奔走していたトニー。しかしそこへ現れたゴーストは、透過能力を駆使してアイアンマンを苦しめた末、トニー・スターク殺害予告を残して行った。一方拡大し続けるスターク社を敵視し、ロキソン社もトニー・スターク暗殺を企んでおり……錯綜する野望はやがて2人のヴィランを引き合わせた!

 

〈トニー・スターク抹殺指令〉

ゴーストとの戦いから約1週間。音もなく現れる暗殺者を恐れ、トニーは不眠不休でアーマーを着用し備えていました。極限の緊張感はローディすら一瞬敵と見紛うほど。このままでは暗殺関係なく倒れてしまうでしょう。コーヒーを入れるためにオフィスを訪れることすらままならないのです。一方1週間近く姿を表さないトニーへゴーストも痺れを切らしていました。次に姿を現した時は確実に殺しに行くでしょう。事実、トニーがデスクに座った途端ゴーストの襲撃が始まります。自身の能力を駆使して手際よくトニーを暗殺したゴースト。遺体を確認しようと手を伸ばしますが、どうも違和感が拭えません。それもそのはず。その正体は暗殺の達人スパイマスターだったのです。スパイマスターはスターク社の急拡大を恐れたロキソン社が放った刺客でした。まずは同じトニーの首を狙うゴーストを排除するため、こうして罠を張ったのでした。スパイマスターの参戦は予想外でしたが、確かに互いの存在は目的達成の障害になりかねません。2人が争うのは必然だったと言えるでしょう。
f:id:ELEKINGPIT:20230227234509j:image人質を盾にするゴーストと、それを容赦なく撃つスパイマスター。スターク社を巻き込んだ最悪のバトルが始まる。

 

社内の騒動を知った本物のトニーもたまらずオフィスへ駆けつけ、社員の避難にあたります。一刻も早く事態を収めなければ、無関係の社員に死者が出てしまうでしょう。しかしローディもアイアンマンも避難誘導に手一杯。悲鳴が聞こえたのは正にそんな時でした。声の主はなんとスパイマスター。ゴーストがスパイマスターの体を中途半端に透過させたことで、壁の中で圧死したのです。すぐさまアイアンマンが向かいますが、これ以上騒ぎを広げたくなかったのかゴーストは去った後でした。この非道なる殺人にアイアンマンは激怒します。化学者だからこそ、上半身だけ残ったスパイマスターがどれほど苦しみながら死んだのか、容易に想像がつくのでしょう。トニーは逃げも隠れもせずゴーストを迎え撃つ覚悟を決めました。次の犠牲者が出る前に倒す。入念な計画を立て、ゴーストを誘き出すための記者会見がスタートします。
f:id:ELEKINGPIT:20230228005807j:image悲鳴を上げた後即死したスパイマスター。残酷すぎる殺害方法にトニーも憤りを隠せない。

 

いつものようにスターク社の新製品をプレゼンするトニー。記者への質問にも誠意ある返答をしてみせます。そこに現れたゴースト。会場の混乱などお構い無しに、あったいう間にトニーへ銃弾を撃ち込みます。戸惑うゴーストに今度は記者達が一斉に銃を向け始めました。これこそがトニーの用意した作戦です。トニーのホログラムを準備し、記者会見しているように見せかける。そして容赦なく暗殺しようと登場するゴーストを、記者に扮したエージェント達が取り囲む。あとはアイアンマンが拘束してしまえば作戦成功です。ところが自身の危機を感じたゴーストは、グレネードをエージェントへ投げ込み逃走を図ります。ここまで追い詰めて逃がす訳にはいきません。アイアンマンは透過の隙すら与えず戦いを挑みます。透過用ジェネレーターを破壊されたことで、ゴーストは遂に透過することさえ不可能となってしまいました。もはやアイアンマンもゴーストもこの勝負の行方を察したことでしょう。ところが敗北を受け入れられないゴーストは、実験中の強力なパワージェネレーターに身を投じます。ジェネレーターのパワー全てを使えば透過できる可能性が残っていたのです。しかしそれがどれほど危険なことかは明らか。ジェネレーターのパワーはゴーストのパワードスーツの許容量をはるかに超えているはずです。それを無理やり使おうとすればショートしてしまうでしょう。それでもゴーストはパワージェネレーターの使用を強行しました。
f:id:ELEKINGPIT:20230228011836j:image強すぎるパワーに身を焼かれるゴースト。アイアンマンも見守ることしか出来なかった。

 

〈守るべきは〉

今作では人々を守るために苦悩し続けるトニーの姿が描かれていました。特にゴーストがパワージェネレーターのショートで身を焼かれるシーンで、トニーは助けるべきかで迷っていたのです。結局はジェネレーターの強すぎるパワーでアイアンマンは近づけなかったのですが、もしゴーストを助けられたとして、アイアンマンは助けるという選択肢を選んだのでしょうか?

そもそも何故アイアンマンはゴーストを助けるべきか迷っていたのでしょうか? その理由は大きく2つありました。まずはパワージェネレーターのショートに自分も巻き込まれる恐れがあったことです。そうなれば自身のアーマーもショートし、そのまま死ぬことさえ有り得ます。あの場で助ける行為は「命懸け」というよりただ命を捨てるだけになってしまうのです。そしてもう1つ、助けるに値するかを考えていたのです。ゴーストは既にスパイマスターを殺していたし、グレネードでエージェント数人も死亡しています。恐らく生きていればこれからも罪を重ね続けることでしょう。ここで助けてしまえば、更なる殺人を犯す可能性があるのです。しかしこれはとても危険な考えと言えます。人々を助ける価値とは何なのでしょうか? 助けようとする度に常にその価値と向き合い、精査し続けなければならないのでしょうか? アーマーウォーズの前哨戦となる今作で、早くも爆弾が投下されたように感じました。酒を捨てヒーローとして立とうとするトニーに、再びヒーローとは何かを問おうとしているのかも知れません。