アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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IRON MAN ARMOR WARS③(#223〜#227)

トニーとアーマーを巡る戦いも、今作でいよいよ本格化します。ゴーストとの戦いで大きく精神を削られたトニー。瓶の中の悪魔に打ち勝ってなお、不安定な面が多く残っていることは否めません。そんな不安定な状態で、トニーはアイアンマンとなって以来最も恐れていた事態に対処せねばならないのです。史上最大のピンチにアイアンマンはどのように立ち向かうのでしょうか?
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〈あらすじ〉

ゴースト、スパイマスターの脅威も去り、平和な日常を過ごしていたトニー。しかし突如現れたヴィラン、フォースの存在から安息の日々は徐々に崩壊し始める。かつての宿敵が迫る中、疑心暗鬼に陥ったトニーの行動とは?

 

〈開戦〉

フォースはアーマーを纏い強盗などを行うヴィランでした。世界征服を企む巨悪ではありませんが、アーマーから放たれる攻撃は間違いなく強力。先日も武装された潜水艦を落とす活躍を見せ、その実力が底知れぬものだと改めて思い知った市民も多いでしょう。そんなフォースがスターク社に現れたのです。警備員では到底敵わないパワーに、社員達もパニックを起こすばかり。ところがその行動はどうもおかしなものでした。無言でじっと立っていたフォースは、アイアンマンが現れた途端最小限のジェスチャーで自分の意思を示します。なんと自分を社屋のラボに連れて行けというのです。どれほど信用していいかは分かりませんが、人々に危害を加える様子のないフォースにアイアンマンはひとまず要求を飲むことにします。ラボにて装甲を強制的にパージさせる装置に腰掛けたフォースは、ホッと安堵した様子を見せていました。ヘルメットが取れ素顔を見せたフォース。一通り礼を言うと、ここに来た目的を話し始めました。数年前、フォースは自身のアーマーでは強盗にも手詰まりを感じていました。そこへある男が現れます。アーマーを強化する代わりに力を貸して欲しいと。しばらくして圧倒的に強くなったアーマーを身にまとい、男に協力し続けていたフォース。しかしその仕事は徐々にきな臭くなってきます。疑心が広がり始めますが、アーマーには命令違反を検知すると爆発する爆弾が。苦肉の策として、命令違反しないギリギリの範囲でアイアンマンへ助けを求めたのです。フォースを強化した謎の男の名はハマー。かつてトニーを罠に陥れ、アルコール依存症にさせた張本人です。ハマーの名を聞いた途端、トニーもローディも緊張感を高めていました。事実、フォースを取り戻そうとするヴィラン軍団からの襲撃を受けてもいます。この話は嘘ではないようです。
f:id:ELEKINGPIT:20230330015550j:imageハマーの手で操られていたフォース。この人物の存在が、トニーの運命を大きく動かした。

 

トニーはまずフォースのアーマーの解析を始めます。ハマーが改造を行っているならば、敵の持つ技術や弱点が分かるはずです。しかしここで、驚くべき最悪の事実が発覚しました。フォースのアーマーにはアイアンマンの技術が使われていたのです。アイアンマンテクノロジーが盗まれた? どうやって? トニーはこれまでにないほど激しく動揺します。そもそもこうならないように厳重に厳重を重ねたセキュリティで警備され、トニー自身も相当気を使っていたはず。何故このような事態になったのでしょうか? 血眼になって原因を探ります。そして病的なまでの執念でようやく真実を掴みました。先日ゴーストとの戦いで死亡したスパイマスターが内部データを流出、ハマーの元へ売却していたのです。考えられる限り最悪の状態でしょう。既に敵の手へ流出したデータを止める手段はありません。そしてハマーならばさらにこのデータを高値で売却するでしょう。トップシークレットだったアイアンマンの技術は今や世界中に拡散されていてもおかしくないのです。
f:id:ELEKINGPIT:20230330021452j:image流出した技術を使っていると思われるヴィランのリスト。これほどの人数でさえ最低限でしかない。

 

ヘルメットの奥でギラギラと光る両目が、目の前のヴィランを捉えました。狂気にも似た執念がアイアンマンを突き動かしています。技術の流出が発覚して以来、トニーはある装置の開発を行っていました。アーマーを纏う者に直接貼り付けスキャン、特定のテクノロジーが使われていると診断されれば自動で無効化させる装置です。これを使い、トニーは「ヴィラン狩り」を行っていました。既に何名かのヴィランは無力化し、順調に進んでいます。そんな時です。トニーは偶然カナダのヒーロー、スティングレイのニュースを目撃します。スティングレイは水中を高速で移動出来るアーマーを着用したヒーローです。掌からビームを放つ必殺技はまるでアイアンマンそのもの。カナダ政府公認のヒーローとして日々活躍していますが、もしカナダ政府経由で自らの技術が使われたら? 一度会って確かめる必要があるでしょう。スティングレイに会ったアイアンマンは早速話し合いを始めようとします。しかしアイアンマンの煮え切らない余裕のない様子に、スティングレイは不信感を抱くばかり。やがて疑心と不信に満ちたスティングレイは、アイアンマンが何かしら危害を加えようとしていると判断し攻撃を開始します。交渉決裂です。スティングレイは得意の水中戦を展開。アイアンマンを翻弄します。一方無理矢理にでもスティングレイにスキャン装置を取り付けようとするアイアンマンも容赦なく攻撃を浴びせます。水中戦に引き込んだ時点で形勢はスティングレイがやや有利。しかしそれ故か慢心した一瞬の隙を突かれ、なんとアイアンマンが勝利します。気絶したスティングレイにスキャン装置を押し当てるアイアンマン。診断結果は、盗まれた技術は使われていないようです。なんということでしょう。カナダ政府公認のヒーローを早とちりと誤解から気絶させてしまったのです。国際問題に発展することは目に見えているでしょう。罪悪感からか、アイアンマンはさっさとその場を去ってしまいました。翌日、トニーは自身のボディーガードと説明していたアイアンマンの解雇を発表します。
f:id:ELEKINGPIT:20230330023858j:imageアイアンマンを怪しみ水中へ急行するスティングレイ。誤解から善良なヒーロー同士の戦いへ発展してしまう。

 

〈狂気〉

今作で目立ったのが、狂気に取り憑かれていくトニーの姿でした。アーマーの技術が盗まれるという前代未聞の自体に終始混乱していたトニー。その目は回を重ねるごとにランランと病的な光を放っていました。敵の対応が完璧だったためか後手後手に回り続け、空回りすることへの小さなストレスさえトニーを大きく刺激しているようです。そんなトニーの取った行動は、盗用された技術が確認され次第無効化する作戦でした。当初は街を襲うヴィランにのみターゲットを絞っていました。しかしターゲットはやがて過激化。遂には無抵抗のヴィラン、SHIELDの強化スーツ、スティングレイにさえ手を出してしまうほど。徐々にではあるが確実に狂気へと取り憑かれているのです。その様は、いわゆる「闇堕ち」のようにさえ感じてしまいました。なりふりさえ構わず敵のアーマーを無力化し、挙句放置するアイアンマン。果たしてこれがヒーローの姿なのか? 今作を読んだ読者の多くがそう感じることでしょう。精神的に追い詰められると攻撃的になる性格は、今までのアルコール依存症から現れ始めていた特徴の1つです。今のトニーは当然シラフですが、瓶の中の悪魔との戦いはまだ終わっていない。精神的に追い詰められたからこそ露呈したトニーの姿は、瓶の中の悪魔を彷彿とさせました。今作やそれ以降は、それを乗り越えることが早急の課題でしょう。