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MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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AMAZING SPIDER-MAN CIVIL WAR

アイアンマンとキャプテンアメリカの対立を描いたシビルウォー。本編でのスパイダーマンは、当初超人登録法に賛成し顔も名前も明かすという衝撃的なシーンが描かれました。しかし後に離反、反対派として終戦を迎えます。賛成派、反対派共に信念を持って戦った内戦。スパイダーマンはその両方を内側から見てきたことになるでしょう。今作はそんなスパイダーマンの視点でシビルウォーを描いた作品です。超人であり、等身大なピーターはあの内戦で何を思ったのか?その背中を追っていきましょう。
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日本語版関連作

シビル・ウォー (MARVEL)

シビル・ウォー (MARVEL)

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〈あらすじ〉

ピーターパーカーは迷っていた。スパイダーマンはどちら側に着くべきか? トニーの言葉もあり賛成派として活動する中、やがてピーターはトニーのやり方に不信感を募らせる。本当に正しいのはどちらか? ピーターはもう1度考える。どちら側に着くのか?

 

〈誇れる側に〉

スタンフォードの悲劇が起きた夜、ピーターは窓辺で立ち尽くしていました。キャプテンアメリカとアイアンマン、どちら側に着くべきか迷っていたのです。トニーは既に、超人登録法へ全面的な支持を表明すると宣言しており、スパイダーマンも立場を明確にしなければならない時がやってきました。スタンフォードの悲劇に対する責任は、スパイダーマンにはありません。しかしトニーは多くの人々がヒーロー全体へ厳しい目を向けていると言います。それはピーター自身も感じていました。人々のヒーローに対する目が明らかに冷たくなったのです。不安な眼差しを向け、時には睨みつけてくる人も。スタンフォードの悲劇以来、世界が変わったようでした。MJとメイおばさんに悩みをうちあけ、ピーターは超人登録法に賛成する決意を固めます。そんなピーターを歓迎するトニーは、早速頼み事を始めました。なんとマスコミの前でマスクを脱いで欲しいというではありませんか。それはピーターにとって最も忌避してきたことです。マスクの下を隠してきたからこそ守ってきたものがあったのに、それを脱いだらどうなるか。しかし賛成派である以上、政府に身元を明かさねばならないのは同じこと。キャプテンアメリカのように「間違った道」を選んでしまった仲間たちへ「正しい道」をアピールするためにも、ピーターはマスクを脱ぐ覚悟を決めます。こうしてピーターは記者会見に望むのです。
f:id:ELEKINGPIT:20240121173821j:imageカメラの前でマスクを脱いだスパイダーマン。不安と戦いながら、悩み抜いた決断だった。

 

スパイダーマンの正体公表で、賛成派に着くヒーローは数を大きく増やしました。一方ピーターの生活も激変します。道を歩けばカメラを向けられ、玄関前にはいつもマスコミが殺到している始末。アベンジャーズタワーに住んでいるおかげでプライバシーは守られているものの、そうでなかったらと思うと恐ろしく感じます。しかしピーターにはマスクを脱ぐ決断が正しかったかどうか悩む暇もありません。なんとトニーが、キャップ捕獲のための部隊にスパイダーマンも組み込むと発表したのです。当然ピーターにとっては寝耳に水。誰も傷つけないことを約束したのに、これでは話が違います。その上キャップはピーターにとって憧れのヒーロー。それを逮捕するなんて考えられません。あの伝説のヒーローと拳を交えるなんて。ピーターはトニーに詰め寄りますが、トニーはその意見を受け付けません。ピーターは戦わざるを得ませんでした。この戦いでゴライアスの死を目の当たりにします。本当に賛成派に回ったのは正しい選択だったのか? その上ピーターはある噂を聞きつけていました。超人登録法違反で捕まったヒーローが、別次元ネガティブゾーンに幽閉されているというのです。トニーへネガティブゾーンの見学を申し出るピーター。そこには巨大な監獄が作られ、独房の中にはヒーローの姿がありました。人を助けるためにヒーローとなったのに、これがヒーローとして正しい姿なのか? ピーターは再び決意します。反対派につくことを。アイアンマンと対立したピーターは、家族を逃がしある場所へ向かいました。生放送を行っているテレビスタジオです。カメラの前に立ったスパイダーマンは、自らの意思で再びマスクを脱ぎます。そして訴えたのは、超人登録法の実情でした。
f:id:ELEKINGPIT:20240121210416j:imageメディアに向けて自らが見て感じたことを主張するピーター。右腕とまで信頼していたトニーはこれを見て何を思うのか?

 

〈ヒーローとして〉

登録法賛成派として正体を明かしながらも、反対派として終戦を迎えたスパイダーマン。しかしそれはあくまで悲劇の序章に過ぎない……という話はここでは脇に置いておきましょう。今回は何故スパイダーマンが反対派へ鞍替えしたのか? という点について考えたいと思います。

まず注目したいのが、スパイダーマンは超人登録法の是非に重きを置いていないことです。政府に身元を明かすことに対しては懸念を示していたものの、明確に反対する理由にはならなかったよう。スパイダーマンにとって、内戦とは超人登録法への賛否ではなく「誰につくか」が最も重要だったのです。義理や恩からアイアンマン側につき、それに報いようと顔まで明かしたスパイダーマン。しかしその行動に不信と疑問を抱き、キャプテンアメリカ側につきます。この行動から見えてくるのは、誰につくか。そして「自分にとってヒーローでいられる側」なのでしょう。つまり「自分を誇れる側」なのです。スパイダーマンにとって、無実のヒーローを監獄へ入れることも、そもそもヒーローと戦うことも「ヒーローの行為」ではなかったのでしょう。あくまでヒーローとしてのあり方にこだわったスパイダーマン。賛成派から反対派へ立場を変えるという行為は衝撃を与えながら、しかし双方スパイダーマンを責めることはありませんでした。その理由は、スパイダーマンが「ヒーローの在り方」を貫き続けたからでしょう。超人登録法の賛否を問うシビルウォー。しかしそれ以外の選択肢を示した、内戦における第3の主人公がスパイダーマンなのです。