アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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MS.MARVEL(2006) vol2 CIVIL WAR

超人登録法賛成派として内戦を戦い抜いたキャロル。今作はそんなキャロルに焦点を当てたシビルウォーのタイインです。理想の自分、「ベストオブベスト」を目標に日々活動するキャロルは、何を思い内戦を戦い抜いたのでしょうか? キャロルが見たのは、超人登録法の光と影でした。
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日本語版関連作

シビル・ウォー (MARVEL)

シビル・ウォー (MARVEL)

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〈あらすじ〉

超人登録法に従い、アイアンマンの作戦の元で活動するキャロル。ある日ティーンエイジャーのヒーローを訓練することとなり、理想のヒーローになるべく邁進していた。しかしそれは本当正しかったのか? 理想のヒーローとして、キャロルらどちら側につくべきだったのか?

 

〈ベストな側に〉

超人登録法に賛成したキャロルの任務は実に単純で、難易度の高いものでした。超人登録法違反のヒーローを捕らえるのです。経験もあり高い戦闘力を持つキャロルはある意味適任でしょう。トニーからの指示通り、SHIELDの特殊部隊と共にヒーロー逮捕へ尽力していました。ある日キャロルに課せられたのは、未成年のヒーロー、アラーナの保護と登録の要請です。ティーンヒーローが「スタンフォードの悲劇」のきっかけとなったのですから、未成年も法の対象となるのは当然でしょう。少ないヒントを頼りに、キャロルはワンダーマンと協力してアラーナの捜索を始めます。アラーナが見つかったのは、2人の予想外の場所でした。ファストフード店で食事をしようとしたところ、強盗が襲撃。ベテランヒーロー2人はこれをあったりと倒しますが、その直後店のカウンターからアラーナが飛び出してきたのです。アラーナはこの店でアルバイトをしていたようでした。思わず家へ帰ってしまったアラーナ。キャロル達はそれを追い、アラーナの親へ説明した上でアラーナを「保護」します。スーパーパワーを持っていながら、強盗の襲撃にどうしたら良いか分からなかったというアラーナ。力の使い方や対処法を知れば良いヒーローになるでしょう。キャロルはアラーナを「訓練生」として任務に同行させるようになりました。キャロルの次なる任務は、超人登録法反対派へ転じたシュラウドとアラクネの逮捕です。キャロルを尊敬しついてきてくれたアラーナのためにも、キャロルは全力を尽くします。結果シュラウドの逮捕に成功。尋問の結果アラクネの居場所も割り出します。どうやらアラクネは実家に潜伏している様子。子どももそこにいるため、任務は慎重を要します。できる限り対話で問題を解決しようとするキャロルですが、アラクネはこれを断固拒否。特殊部隊の突入で強引に問題が解決されようとしていました。こうなっては元に戻すことなどできません。アラクネは逮捕され、その子どもは保護されます。目の前で親と子が引き離されたのです。アラーナはこの出来事にショックを受け、またキャロルもこれが正しかったのか悩むしかありませんでした。
f:id:ELEKINGPIT:20240122145349j:image法がきっかけで離れ離れになる親子。これがベストな選択だったのか?

 

その日の夜、自宅に戻ったキャロルを待っていたのは、X-Menに所属するローグでした。かつて敵対していたローグの訪問に戸惑いを隠せないキャロルですが、驚いているのはローグも同様です。なんとローグは、先程キャロルに襲撃されたと言うではありませんか。当然キャロルに覚えはありません。重い任務を終え帰ってきたばかりなのにいつ襲撃するのか。そもそも敵意もないというのに。答えはすぐに分かります。なんとキャロルの自室のベッドで、もう1人のキャロルが寝ているではありませんか。これがローグを襲撃した犯人でしょう。もう1人のキャロルは目を覚ますと、ローグの顔を見るなり敵対心MAXの状態で襲い掛かります。もう1人のキャロルが変身したのはウォーバードの姿。かつてキャロルが着用していた、肩パット付きのコスチュームです。不意をつき、どうにか2人はウォーバードを気絶させました。ウォーバードの正体が気になる2人はX-Menのビーストへ調査してもらうことに。どうやらもう1人のキャロル、ウォーバードは平行世界からやってきた人物のようです。目が覚め落ち着いたウォーバードの話を聞くと、キャロルが体験したこととほぼ同じ経験をしてきた様子。奇跡と偶然が重なりこの世界へ迷い込んだようでした。ところがウォーバードにとってローグは敵そのもの。ローグと仲間になったキャロルにさえ怒りを覚え、その力を奮ってきました。1人で対処すべく戦うキャロル。しかしウォーバードの戦闘力は、僅かな差とはいえキャロルをも超えていました。それもそのはず。ウォーバードは数々の平行世界を旅し、その世界にいるキャロルとローグを殺し続けていたのです。ならば尚更負けられません。一瞬の油断を見せたウォーバードへキャロルは反撃。一撃で倒してみせます。僅かなボタンの掛け違えで、復讐者に落ちたウォーバード。キャロルは自らの信念を再び奮い立たせ、ヒーロー活動を再開するのでした。
f:id:ELEKINGPIT:20240122160658j:imageウォーバードと対峙するキャロル。復讐者と成り果てた自分へ制裁を下すのは、自分しかいないのだ。

 

〈逃げずに向き合う〉

超人登録法の光と影をまざまざと見せつけられたキャロル。若きヒーローへ適切な訓練を施し力の使い方を学ばせた一方で、親と子を超人登録法によって引き裂いてしまいました。後半は超人登録法と直接的な関係は無いものの、重い任務を終えたキャロルとその感情の向き合い方に焦点が当たっていました。これらを経て、何故キャロルは賛成派に居続けたのでしょうか?

賛成派から反対派に転じたヒーローといえばスパイダーマンを思い出しますが、本作のように立場を変えたヒーローは何人か存在します。それを見てきたキャロルが反対派に転じなかったのは、キャロルの目標である「理想の自分」の姿でしょう。House of Mでのキャロルは、栄光のキャプテン・マーベルの称号を受け継ぎ多くの市民から歓迎されていました。キャロルにとって理想のヒーローの姿とは、市民のために活動する、市民の求めるヒーローなのです。そのため、内戦当時は超人登録法を求められているならばそれに応えるのがキャロルの理想と言えるでしょう。ややもすれば体制派として危険な行動に繋がりかねないのですが、「理想のヒーロー」について悩むキャロルが今自分の出来ることをやりきった結果なのでしょう。また、キャロルは盲目的に法に従うのではなく、本作で「逃げずに向き合う」ことを決意していました。反対派が超人登録法から逃げているという意味では決してないでしょう。法に間違いがあればそれにも向き合い、ヒーローとしての役割を果たすという覚悟の表れです。