アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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AVENGERS & X-MEN AXIS 前編(#1〜#4)

物語をを創作する上で重要なピースの1つに、意外性というものが挙げられるでしょう。マーベルにも多くの驚異溢れる物語がありますが、中でもAXISほど意外性に富んだ作品は多くないように思います。世界の破滅の危機が序章で終わり、ヒーローとヴィランが反転する物語は、正に意外性の塊です。今回はその前半部分を見ていきましょう。
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日本語版関連作

 

〈あらすじ〉

破滅が迫ろうとしていた。世界へ憎悪を振りまきながら現れたのは、レッドオンスロートだった。ヒーローはすべての力を用いて戦うが、卑劣な作戦の前に敗れ去る。世界が破滅を迎えつつある中、ヒーロー達に秘策はあるのか?

 

〈破滅の危機〉

憎悪という感情が世界中にバラ撒かれました。怒りのホルモンを発するプラントマンと戦うアベンジャーズ。ところがふとしたことがきっかけで、仲間同士争い始めてしまいます。トニーはこれがテレパシーによって憎悪を引き出されていることに気づきました。テレパシー、つまり思念波であれば逆の波を発することで打ち消せるはず。パワードスーツに内蔵された反転装置でアベンジャーズの争いを収めることに成功します。何者が発したテレパシーかはわかりませんが、調査でいずれわかるでしょう。犯人は意外なほどすぐに分かります。スティーブ・ロジャースはこの憎悪が世界中へ広がっていることをアベンジャーズへ伝えました。各地で暴動が起き、各国で核のボタンが押されつつあるのです。何が起きたのか? 原因はハッキリしていました。レッドオンスロートが顕現したのです。レッドオンスロートとは、エグゼビアの遺体から頭蓋を手に入れたレッドスカルが最強の能力を手に入れた状態です。かつてアベンジャーズファンタスティック・フォーを全滅させたオンスロートと同じ名前を持つヴィランなだけあって、その力は地球全土へ及ぶほど。その存在は、世界の破滅の危機と言えるでしょう。既にアベンジャーズX-menの混成チームであるユニティ・スクワッドが戦っていますが、とても現状では歯が立ちません。世界の危機へアベンジャーズX-menが続々と集結。真正面から破滅に立ち向かいます。アベンジャーズX-men、普段であればこれほど安心できる連合チームはありません。しかしレッドオンスロートという強大な敵はそんな安心感すら打ち消す力を持ちます。その上ヒーロー連合が集結すると、レッドオンスロートは秘策を持ち出しました。かつてシビルウォーでトニーが開発した、対ヒーローに特化したスタークセンチネルです。
f:id:ELEKINGPIT:20240321174339j:imageスタークセンチネルを使うレッドオンスロート。対ヒーローに特化した兵器に、ヒーローは勝てるのか?

 

スタークセンチネルは、相手の攻撃に反応してピム粒子を当て対象を強制的に縮小化、捕獲することに特化したセンチネルです。対ヒーロー用に設計されているため、データの多いベテランであればあるほど捕まりやすくなっています。トニーの眼の前で、スタークセンチネルは次々と仲間を捕獲していきました。弱点はあります。対ヒーローに特化しているため、ヴィランのデータは入っていないのです。この弱点に賭けるしかないでしょう。今やヒーローはほとんどが捕まり、残ったトニーもパワードスーツの残電力がほとんどない状態です。世界の命運はマグニートーが連れてきたヴィラン軍団に託されました。ヴィラン軍団の猛攻は、スタークセンチネルにも有効でした。ヒーローとの戦いのみを想定した作りになっているため、ヴィランの攻撃は予測不可能なのです。まず助け出したのは、ドクター・ストレンジとスカーレット・ウィッチでした。2人の力を合わせれば一気にレッドオンスロートを倒せるかもしれないのです。その方法は反転でした。スカーレット・ウィッチのカオスマジックで混沌を生み出し、ドクター・ストレンジが魔法で秩序を生み出すのです。そうすることでレッドオンスロートの中にいるエグゼビアを主人格にし、レッドオンスロートを消滅させることができるでしょう。魔術の詠唱中は無防備となりますが、大勢いるヴィランの攻勢で持ちこたえることができました。反転魔法が、レッドオンスロートのいる島全体を包み込みます。悪の人格は善の、善の人格は悪の要素を引き出されます。
f:id:ELEKINGPIT:20240321191827j:image反転魔法に取り掛かる2人。この魔法がさらなる事件を呼び寄せた。

 

〈ヒーローの理由〉

後にヒーローが反転する展開が用意されているからか、前半である今回はかなり王道ヒーローの物語が用意されていました。ハウスオブMやシビルウォーの言及もあり、ファンには嬉しい展開も用意されています。そんな王道ヒーローものの前半部分。注目したいのは、トニーが語ったヒーローであり続ける理由です。ヒーローは何故ヒーローとしてあり続けなくては行けないのか? ジャケットは、初代アベンジャーズの1人として様々な戦いに参加してきたジャネットは、そんな弱音を吐いていました。ジャネット自身激しい戦歴の中、多くを失ってきました。カーンに自身の子どもをさらわれ、代わりに多くの子どもを救うなど自己犠牲の戦いを続けてきました。何故これほどの犠牲を払いながらもヒーローとしてあり続けなくてはならないのでしょうか? ジャネットの問にトニーは答えます。「長い間やってきたことじゃないか。わたしたちは力を授かった。それをうまく使うか、さもなくば世界が焼かれるのを見るだけだ」というのです。これを別の言い方をした言葉を、我々はよく知っています。「大いなる力には大いなる責任が伴う」のです。犠牲は責任ではないでしょう。しかし大いなる力を持つ人々は、それを持たない人たちのために善の力として使うべきなのです。私利私欲のために大いなる力を使うからヴィランは悪人なのです。