アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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ALL-NEW CAPTAIN AMERICA HYDRA ASCENDANT

マーベルユニバースを激震させた事件はいくつかありますが、キャプテン・アメリカの交代ほど私達を驚かさせる出来事は多くないでしょう。かつてスティーブが殺された事件では、バッキーのがキャプテン・アメリカを受け継ぎました。そして今作では、キャプテン・アメリカを受け継いだサム・ウィルソン(ファルコン)の初任務が描かれます。何故スティーブはキャプテン・アメリカの座をサムへ継承したのか? その意図が垣間見えるでしょう。
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日本語版関連作

 

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〈あらすじ〉

超人血清を打ち消されて牢人となったスティーブ・ロジャースは、新たなキャプテン・アメリカとしてサム・ウィルソンを指名した。赤い翼に青と白が入り混じったコスチューム、星の盾が新たなるキャプテン・アメリカの誕生を祝う。そんな新キャプテン・アメリカの初任務は、ハイドラの野望を打ち砕くことだった。

 

〈空飛ぶキャプテン・アメリカ!〉

キャプテン・アメリカことサム・ウィルソンは、ハイドラの秘密基地へ向かっていました。ハイドラが子どもを誘拐したという情報を得たのです。既にハイドラの基地に潜入していたノーマッドと合流し、次々とハイドラのエージェントを倒す2人。敵の中にはかつてのキャプテン・アメリカの敵、バトロック等多くの強敵が待っていました。それらを退け誘拐された子どもを救わねばなりません。道は見えました。基地の最奥部にて囚われた子ども、ルーカスを発見したのです。敵の隙を見計らい、あっという間にルーカス救い出す2人。まるで熟年コンビかのように華麗な連携を見せ、最奥部から脱出を図ります。しかし逃げ込んだ部屋には、ジーモが待っていました。絶体絶命の2人。ここでノーマッドが殿を努めることを提案、サムはルーカスを連れて逃げることにします。ルーカスを救う手立てはこれがベストだと判断されたのです。ルーカスと共に基地の外までやってきたキャップ。しかしここで、驚くべき事実が明かされます。ルーカスもハイドラだったのです。ルーカスに背後から襲撃されるキャップ。結局ルーカスにも逃げられてしまいます。一方ノーマッドも、ジーモに敗れ囚われていました。そもそも何故ハイドラはルーカスを誘拐してまで求めたのでしょうか? ノーマッドは朦朧する意識の中、勝ち誇ったかのように語るジーモの声を聞きます。インヒューマンとして覚醒したルーカスは、その血液が猛毒になっていました。浴びるとそれだけで死ぬ恐れのある猛毒なのです。この血液を使い、ハイドラは猛毒の爆弾とそのワクチンを作り上げていました。これを世界各地で爆破させると………恐るべきことが待っているのは確かでしょう。
f:id:ELEKINGPIT:20240320202427j:imageノーマッドに致命の一撃を与えるバロン・ジーモ。その野望は、世界をも動かしかねないものだった。

 

ワクチンを接種したのはハイドラ幹部のみ。その上幹部全員が爆弾を持っているようです。今すぐにでもハイドラを止めねば、大惨事は免れません。キャップはミスティーナイトと協力し、各地に潜むハイドラ幹部を倒すことにしました。相棒であるレッドウイングとの連携は完璧です。シン、クロスボーンズ、タスクマスター、名だたる幹部をレッドウイングとキャップの2人で倒してみせます。コブラアルマジロといった難敵もキャプテン・アメリカの敵ではありません。残るは宿敵、ジーモとルーカスのみ。ジーモとの戦いに集中していたキャプテン・アメリカは、ルーカスを取り逃してしまいます。ルーカスの乗せた飛行機はぐんぐんと高度を上げていきました。このままでは、ルーカスの持つ爆弾が起爆してしまうでしょう。しかしキャップは、なんとか生還したノーマッドと協力してジーモを相手にするので精一杯です。このまま何もせずに見守ることしかできないのでしょうか?その時です。鳥の大群がルーカスの乗る飛行機を強襲しました。キャップが自ら鳥を操る能力を使って呼び寄せたのです。形勢が一気に逆転する瞬間でした。ジーモとルーカスを一気に捕らえることに成功し、ハイドラの野望は阻止されたのか? いいえ、まだ1人残っていました。ハイドラとっておきの吸血鬼、バロン・ブラッドが残っていたのです。キャップとバロン・ブラッドの激しい空中戦が始まります。勝てば世界を変えうる戦いに、サムは全力で挑みました。
f:id:ELEKINGPIT:20240320205922j:imageバロン・ブラッドと戦うサムキャップ。その戦いは地球を見下ろすほど上空までもつれ込んだ。

 

〈新キャップの理由〉

サム・ウィルソンによるキャプテン・アメリカの魅力が詰まった本作。空を飛びシールドを投げ、鉄拳制裁を加える姿は多くの人々が魅了されたでしょう。スティーブ・ロジャースがサムをキャプテン・アメリカに選んだ理由も何となく理解できた方が多いと思います。そんな本作ですが、本編と同時並行でサムの幼少期の話が進行していました。シンによってその記憶が偽物であると語られますが、真偽はともかく記憶が精神を大きく培うことは間違いありません。今回はそんなサムの幼少期の記憶から、キャプテン・アメリカとなった記憶を読み解いていきましょう。

サムキャップを認めない人々は劇中にも現れました。バッキーやスティーブのように第2次世界大戦を経験したわけでもなく、兵士としてナチスと戦った経験もありません。もちろんこれらの経験がキャプテン・アメリカになるための必須条件ではありません。しかし星条旗の盾を掲げる以上、それが必要だと感じる人もいるでしょう。では何故スティーブはサムをえらんだのか? それを読み解く鍵がサムの記憶にありました。サムの幼少期の記憶で最も衝撃的なものは、両親がどちらも悪によって殺されていることでしょう。母親は強盗に銃撃され、父親は暴漢を説得しようとした結果です。この記憶がサムに暗い影を落としてしまいます。2人共悪によって倒れ、だからこそ守るための盾が必要だったことがわかります。あの時守れなかった記憶がサムに盾を持たせているのです。黒人であり空を自由に飛ぶサム。空の自由を知るサムは幼少期に失うという痛みも経験していました。スティーブが盾を託した理由はそれだけで充分ではないでしょうか?