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MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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AVENGERS & X-MEN AXIS 後編(#5〜#9)

人間には善も悪も存在します。ヒーローにもヴィランにも当然それはあるでしょう。それを描いたのが本作、アクシスです。前半では王道ヒーローの物語を展開させることで、より反転させた側面を際立たせています。ヒーローが悪に落ちる展開自体珍しい展開ですが、それがその人の一面であるというのもまた注目したいポイントです。
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日本語版関連作

 

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〈あらすじ〉

レッドオンスロートを反転魔法で消滅させたヒーロー&ヴィラン総連合。しかし反転魔法の影響を受けたのは、レッドオンスロートだけではなかった! 敵の殺害を目論むアベンジャーズ、マンハッタンの支配を進めるX-men。両チームの悪事を止めるのは、宿敵しかいない?

 

〈反転した世界〉

レッドオンスロートを反転させ、エグゼビアの人格を主人格にしたヒーロー&ヴィラン総連合。その処遇をめぐりアベンジャーズX-menが争っていました。エグゼビアの復活とそれを迎えたいX-men、レッドオンスロートのリスクが残っているため捕らえたいアベンジャーズ。結局スティーブの声でアベンジャーズが拘束することとなりました。しかし拘束程度でレッドオンスロートというリスクが消え去ったわけではありません。アベンジャーズはレッドスカルを完全に殺そうと言い出します。ところがレッドスカルを閉じ込めていた監獄はもぬけの殻。誰かが逃がしたに違いありません。激怒したキャプテン・アメリカは、元アベンジャーズだったヒーロー達を緊急招集。全員にピム粒子を浴びせて捕まえてしまいます。スパイダーセンスで危機を乗り越えたスパイダーマンとノヴァ。2人はアベンジャーズタワーから逃げ出し、スティーブの潜むアベンジャーズマンションへ向かいました。同刻。X-menはアポカリプスをリーダーとし、マンハッタンにミュータントの国を建国することを宣言します。アベンジャーズX-menも、まるで悪に手を染めたような所業ではありませんか。何が起こったのか? 答えは簡潔でした。レッドオンスロートを消滅させるために唱えられた反転魔法は、その戦いに参加した者全員に影響を与えていました。つまりその場にいたヒーローは悪に、ヴィランは正義に目覚めたのです。スティーブはこの事態に、正義に目覚めたヴィランのみで構成されたアストニッシング・アベンジャーズを結成します。
f:id:ELEKINGPIT:20240322194318j:image善に目覚めたヴィランチーム、アストニッシング・アベンジャーズ。悪に落ちたヒーローを止めるにはヴィランしかいない。

 

X-menはマンハッタンを支配するにあたり、時限式の遺伝子爆弾をセットしていました。これが起爆すると一体どんな悲劇が起きてしまうのか。考えるまでもないでしょう。デッドプールと合流したスパイダーマンは、遺伝子爆弾の場所を突き止め起爆を止めようとしていました。一方アベンジャーズは、私利私欲のために時にパワーを使っていましたが、X-menとアポカリプスの宣戦布告を受けてマンハッタンに戻ってきました。X-menと激しい戦いを始めるアベンジャーズアベンジャーズはレッドスカルの殺害を最終目標に定めていました。エグゼビアを取り戻し、ミュータント国家を建設したいX-men。レッドスカルを殺し、2度とレッドオンスロートのような悲劇を生み出したくないアベンジャーズ。両車のすれ違いは都市部を瓦礫の山にすることで現れてしまいました。一方ラトベリアでは、ドゥームとスカーレット・ウィッチの戦いが繰り広げられていました。ヒーロー達を元に戻すには、また反転魔法を唱えるしかありません。しかしスカーレット・ウィッチが悪に反転してしまった以上、何とかしなくてはならないのです。秘策はありました。反転の影響を受けなかったヒーロー、ドクター・ブードゥーがスカーレット・ウィッチに乗り移るのです。決死の作戦でした。その覚悟が功を奏したのでしょう。命がけで乗っ取りに成功します。あとはドクター・ドゥームと協力して反転魔法をかけるのみ。マンハッタンにやってきた2人は、エグゼビアの人格を持つレッドスカルと共に反転魔法の準備に取り掛かりました。
f:id:ELEKINGPIT:20240322210653j:image反転魔法を唱える3人。ヒーローは元に戻るのか?

 

〈善と悪〉

ヒーローとヴィランの善悪を反転させるという、衝撃的な展開がなされた本作。カーネイジが陽気なヒーローになるなど意外性に溢れるキャラクターが数多くいました。しかし本作のポイントは、意外性を楽しむだけではありません。そもそも反転魔法はその人の持つ善悪を引き出して元々の倫理感などと入れ替える魔法です。つまり反転したキャラクターの姿は、単に善悪が反対になったのではなく、そのキャラクターの一面なのです。ヒーローにもヴィランにも善悪の顔があるということを描いているのです。ヒーローは全身が善意の塊で出来ているわけではななく、ヴィランもまた悪意の塊ではありませんでした。何故レッドオンスロートや反転魔法を用いてでもそのような姿を描く必要があったのでしょうか?

前半部分では何故ヒーローはヒーローであり続けるのか? という問いの答えが用意されていました。授かった力を善意に使い続けなくてはならないから、というのが作中の(トニーの)答えです。しかし後半部分で、そんなヒーローたちの悪の姿が描かれてしまいました。これは私利私欲のために力を使おうとした姿とも言えるでしょう。人は誰しも善意だけで行動できません。それはヒーローも同じなのでしょう。一方ヴィランも同様に、善意で力を使おうとした姿が描かれました。どんな悪人にも善意の一面があるのです。何が言いたいのかというと、人は誰しもヒーローになれるし、道を誤ればヴィランになりうるということです。人間は善悪の顔どちらかのみを持っているわけではありません。だからこそヒーローはかっこよく見えるのでしょう。私達もそんなヒーローになれる可能性があるし、逆に私利私欲のみを追求するヴィランにもなりうる。そんな可能性を本作では描きたかったのではないでしょうか?