アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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AVENGERS/INVADERSその1

第二次世界大戦時代、アメリカンヒーローコミックは産声と共にスーパーマンキャプテンアメリカなど様々なキャラクターを創造しました。MARVELだけでもわずか10年足らずで100人以上のヒーローが生まれ、当時の栄光を讃える人々がいつの間にかヒーローの黄金時代、ゴールデンエイジと呼ぶようになります。そんなゴールデンエイジの中でも代表的なヒーローチームがインベーダーズです。正確には1970年代に後付けで設定されたチームですが、現在MARVELのゴールデンエイジはインベーダーズを通して描かれることが多いでしょう。キャプテンアメリカとバッキーはもちろん、MARVEL史上初のヒーローにして人造人間の初代ヒューマントーチ、第1世代ミュータントのトロ、海底王国アトランティスの王子ネイモアが参加しています。前置きが長くなってしまいましたが、今回紹介するAVENGERS/INVADERSはそんなヒーロー達が現代にタイムスリップする話です。ゴールデンエイジを代表するチームと、現代が誇る最高のヒーローチームの化学反応を楽しみましょう。

なお今回は前半後半に分けて紹介させていただきます。

※後編はこちら
f:id:ELEKINGPIT:20210924195025j:imageAVENGERS/INVADERS#1

 

日本語版関連コミック

シビルウォー

デスオブキャプテンアメリカ:デスオブドリーム

デスオブキャプテンアメリカ:バーデンオブドリーム

 

〈あらすじ〉

レッドスカルの陰謀に巻き込まれてキャプテンアメリカが死亡してから1年、アベンジャーズは二つに分かれて未だシビルウォーを続けていた。そんなある日、不可思議な霧から現れたのはキャプテンアメリカ率いるインベーダーズだった。混乱するインベーダーズは現れるヒーロー達を全てナチスと誤解して攻撃を開始。アベンジャーズは栄光のインベーダーズと戦うしかないのか?

 

〈内戦が残したもの〉

シビルウォーはヒーロー社会に多くの負の遺産を置いていきました。分裂したアベンジャーズはもちろん、賛成派と反対派のリーダーの行方を見れば明らかでしょう。キャプテンアメリカは死に、アイアンマンはSHIELDの長官になりました。しかしトニーはキャップの死に重く責任を感じており、統合失調症を患うほど精神を病んでいます。インベーダーズが現代へタイムスリップしてきたのは、正にそんな時でした。
f:id:ELEKINGPIT:20210924214534j:image「キャップの死はあなたの責任じゃないって何度言ったら分かってくれる?」抱えきれないほど重い罪悪感を背負い続けるトニー。仮面の下に笑みが浮かぶこともなくなった。

 

1943年、インベーダーズはイタリアでナチスと戦いを繰り広げていました。しかし緑色の奇妙な霧に包まれ、目が覚めると見慣れないニューヨークの夜景が。混乱しながらこれはナチスの新兵器の仕業だと考えるキャップは、状況を把握するためひとまず身を隠します。しかし栄光の時代を代表するヒーローが、あの時死んだはずのキャプテンアメリカが現れたという情報は瞬く間に拡散されます。以来SHIELDが上空から監視を続けて翌朝を迎えました。超人登録法賛成派のメンバーで結成されたマイティ・アベンジャーズはできるだけ混乱を招かないよう、またインベーダーズを元の時代へ帰すために行動を開始。しかしインベーダーズはこれをナチスの攻撃と勘違いし、戦闘が始まってしまいます。
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f:id:ELEKINGPIT:20210924220153j:imageマイティ・アベンジャーズ(画像上)vsインベーダーズ(画像下)。世界最強のヒーロー同士で戦いが始まる。

キャプテンアメリカの復活に動揺しながら、アベンジャーズは何とか勝利します。そして過去へ帰す方法を探る間、余計な戦闘を無くすために逃れたネイモア以外のメンバーをヘリキャリアで拘束することに。一方超人登録法反対派で構成されたシークレット・アベンジャーズは、インベーダーズと共に戦えばマイティ・アベンジャーズを倒せるのではないかと画策、ヘリキャリアへ侵入します。
f:id:ELEKINGPIT:20210924234947j:imageインベーダーズを解放し、マイティ・アベンジャーズを倒そうと考えるシークレット・アベンジャーズ。内戦は終わらない。

 

〈遠い世界〉

捕まった中で唯一腕にプラスチック爆弾を隠していたバッキーは、1人独房から脱出に成功しました。そしてキャップ達を解放しヘリキャリアからの脱走を試みます。しかし甲板で待っていたのは、マイティ・アベンジャーズと大量のLMD(SHIELDの囮ロボ)。まるで使い捨てられるように扱われるLMDを見て、自身もアンドロイドである初代ヒューマントーチはショックを受けます。しかしすかさず戦闘が開始、シークレット・アベンジャーズやネイモアも加わり大混戦になってしまいます。結果バッキー、トロ、ヒューマントーチはシークレット・アベンジャーズが解放、残るネイモアとキャップはマイティ・アベンジャーズが拘束します。手足を縛ってでもキャップを説得したいトニーは個人的な面談を開きました。しかしキャップは未だナチスの手先と信じて疑いません。
f:id:ELEKINGPIT:20210925002018j:image「私が聞きたいのは、君がその地位を手に入れるために何人殺したのか? ということだ」拘束されながらトニーの核心をつく問いを投げるキャップ。

 

一方ドクターストレンジは今回の事件の原因を調査、結果シークレット・アベンジャーズを招集します。なんとそれはコズミックキューブの仕業だというのです。本来コズミックキューブは使用者のあらゆる願いを叶える万能アイテム。しかし今回はアメリカ中にある思念に影響されていたようです。それはキャプテンアメリカの復活でした。その死の瞬間は全国で放送されており、誰もがそれを願っていたためにコズミックキューブが作動したとストレンジは考えています。ならばどうすればインベーダーズを過去へ帰せるのか? 答えは単純。同じくコズミックキューブを使えばいいのです。早速動こうとした矢先、ヒューマントーチがいなくなっていることに気づきます。なんとヒューマントーチは再びヘリキャリアへ乗り込み、LMDの自由を要求したのです。
f:id:ELEKINGPIT:20210925003705j:imageヒューマントーチの呼びかけでヒーローに銃を向けるLMD。一瞬でヘリキャリアが制圧された。

 

そしてトロはある写真を見つけます。インベーダーズの集合写真です。現代ではキャップは死に、代わりにバッキーが新たなキャプテンアメリカになっている。ならば現代の自分は? 皆言葉を詰まらせます。トロは既に死亡していたのです。インベーダーズは現代でも現役で活躍しているメンバーもおり、それだけに尚更自分だけが現代から何年も前に死んでいるという事実は受け入れ難いものでした。こうしてインベーダーズの半分はマイティ・アベンジャーズへ、もう半分はシークレット・アベンジャーズが保護下に置きました。両チームともインベーダーズを過去へ帰すために動いていますが、それには両チームの結束が必須でしょう。
f:id:ELEKINGPIT:20210925011814j:image自身の墓の前で佇むトロ。誰もかける言葉が見つからない。

 

〈鉄仮面の下〉

前半はインベーダーズの面々が尽く現代とのギャップに驚かされるというテイストでした。ですが私が気になったのは、トニーがキャプテンアメリカと相対する時常にパワードスーツを着ているという点です。思えばトニーはキャップの死を中々受け入れられず、1度は自分の中で突き放してでも受容する努力をしていました。しかし今現れたのは過去のキャップ。トニーもアベンジャーズも知らない、ほとんど別人と言っても過言ではないでしょう。普段トニーはキャプテンアメリカのことを「スティーブ」と呼びますが、前半部分の中でトニーがスティーブと発したのはたったの2回。それも反射的に出てきたもので、それ以外はキャプテンアメリカかキャップと呼び続けています。トニーもまたこのキャップを別人として扱おうとしていますが、それ以上にマスクを脱がない理由はあるのではないかと思います。それは表情を悟られないためではないでしょうか?いくら別人として扱おうとしても、外見も性格も本人そのもの。嫌でも「死んだキャプテンアメリカ」を思い出してしまいます。恐らくトニーは未だキャップの死に決着をつけられていないのでしょう。そのマスクの下は涙に覆われているのか、私達には想像するしかありません。
f:id:ELEKINGPIT:20210925014538j:image現代にインベーダーズが転生したと聞き愕然とするトニー。堂々と立つ星条旗のコスチュームを見た心境とは?