アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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SUB-MARINER REVOLUTION

海中にある王国、アトランティス。その王であるネイモアはなんとキャプテン・アメリカよりも歴史の古いキャラクターであり、様々な場面で活躍してきました。時にはヒーローの敵としても登場するネイモア。そんなネイモアの魅力がたっぷりと詰まった作品が本作です。何故ネイモアはヒーローと敵対することがあるのか? 何故ヒーローはそんなネイモアをヒーローとして受け止めるのか? そんな疑問も一気に解消されるでしょう。
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日本語版関連作

シビル・ウォー (MARVEL)

シビル・ウォー (MARVEL)

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※今回は紙の本から画像を引用しております。見えにくいなどありましたらコメントいただけると嬉しいです。

 

〈あらすじ〉

カンザスで爆破テロ発生! SHIELDは現場から犯人がアトランティス人であることを突き止める。疑惑の目を向けられるネイモアは、アトランティスを守るため孤独な戦いを迫られた。やがてこの戦いはアトランティスの運命を大きく変えることとなる……。

 

〈変わる世界〉

カンザスでの爆破テロは、あまりにも大きな被害を出してしまいました。SHIELDは現場の状況からさっさと生存者の捜索を諦めてしまうほどで、賑やかだった町並みは砂塵と僅かばかりの瓦礫が残る程度です。ここでSHIELDは驚くべきものを発見します。現場から少し離れたところに残った死体から、アトランティス人を発見したのです。恐らくアトランティススリーパーセル、一般人を装った工作員です。この事実からアメリカの政府高官は激怒。アトランティスとの戦争をも辞さない構えを見せます。死者900人以上とも言われる被害規模は、シビルウォーのきっかけとなったスタンフォードの悲劇をも凌駕します。これをアトランティスが行ったのであれば、明確な「アメリカへの攻撃」です。SHIELD長官であるトニーはすぐにネイモアへ問い合わせます。驚いたのはネイモアの方でした。そんなことを指示するはずがないし、そもそもカンザスの爆破テロ事件事態トニーから聞かされて初めて知ったのです。犯人の特定はこちらでも行うことを約束するネイモア。ところがこの答えにアメリカ政府高官は満足しません。アトランティスの関わりがあることは明らかで、むしろ態度を硬化させるばかり。即時開戦も辞さない程です。トニーはアトランティスをSHIELDの大艦隊で包囲せざるを得ませんでした。こうでもしなくてはアメリカ軍が直接アトランティスを攻める可能性もあったでしょう。トニーはネイモアへ乞う様に大人しくするよう言います。しかしネイモアはこの要求に応じません。疑惑を晴らすためにも、地上で犯人の特定を自ら行うことを誓います。部下には必ず戦争をしないように、しかし万が一SHIELDが攻めてきた場合は全滅させるよう言いつけて単身地上へ向かいました。
f:id:ELEKINGPIT:20240226205901j:imageSHIELDの包囲網を突破するネイモア。海洋の王にSHIELDは手も足も出ない。

 

地上へ現れたネイモアがまず向かったのは、テロ事件のおきた現場でした。クレーターのように凹んだ爆心地には黒焦げになったぬいぐるみが残されており、鼻の奥にまで虐殺の跡が突いて来るほどでした。いったい誰がこんな蛮行を? 地上へ出る前、アトランティスの高官を招集して話を聞いていたネイモア。アメリカへ潜伏させた12人のスリーパーセルとは全員連絡が取れるため少なくともネイモアが送り込んだ人物ではありません。しかしアトランティスにはとある噂がありました。派遣されていないはずの13番目のスリーパーセルがいると。犯人は恐らくその13番目でしょう。次にネイモアが向かったのは、エグゼビアのいる学園です。エグゼビアの能力とそれを拡張するセレブロがあれば、地上にいるアトランティス人を追跡することは可能でしょう。噂の通り、反応は13の地点にありました。13番目のスリーパーセルは存在していたのです。シアトルにある反応が恐らくそれでしょう。ネイモアは急ぎシアトルへ向かいます。しかし道中、突然襲撃を受けます。相手はヴェノム。ネイモア脱出の報せを受けたアメリカ政府は、サンダーボルツからヴェノムを派遣したのです。足に生えている羽をもがれ大ピンチに陥るネイモア。それでも意地と執念でチャンスを掴み取ります。ダメージを負ったネイモアはFFのスーザンの力を借りて、シアトルへと辿り着きました。敵の居場所はシアトルについた途端わかりました。アトランティスの兵器を使おうとしているのです。早速その場所へ向かうネイモア。犯人を見てネイモアは驚きます。これがカンザスの爆破テロ事件を起こした真犯人にして、13番目のスリーパーセル。その正体は、ネイモアの子どもであるケイメアでした。
f:id:ELEKINGPIT:20240227002555j:imageネイモアの子どもであるケイメア。真犯人の正体は何よりもネイモアを驚かせた。

 

ケイメアを説得し拘束したネイモアは、ヒミツの地下トンネルからアトランティスへ戻ります。更に国内の革命派を打倒し、王不在の間に起きた内乱をあっという間に制圧。こうした事件は解決したかに思われました。しかしSHIELDの大艦隊による包囲は終わりません。ネイモアはトニーと交渉を開始。どうやらトニーによると、これだけではアメリカ政府高官の腹の虫を収めるには至らなかったようです。確かにネイモアは犯人を突き止めた。しかしもしまだアメリカにスリーパーセルが潜んでいたら? それだけでもアメリカに対する挑発であり、驚異となり得ます。潜伏しているスリーパーセル全員を引き渡すならば包囲網を解くというのです。これはトニーさえ望むことではありませんが、態度を硬化させた政府高官の意見はちっとも変わらないのです。このままでは全面戦争は避けられない。開戦した場合、目の前の大艦隊を全滅させるのは容易でしょう。しかしその後も無尽蔵に大艦隊が送り続けられたなら。何人も臣民が殺される未来が頭に浮かびます。では降伏した場合は? アメリカによりアトランティスが支配され、同様に臣民が傷ついてしまうことは間違いありません。開戦も降伏もどちらもアトランティスを思えばありえないのです。ならばアトランティス臣民のためにできることは? 悩み抜いたネイモアはある決断をします。いくらアメリカでも敵がいなくては戦争できないはず。ネイモアはアトランティスを消滅させることを決断したのです。
f:id:ELEKINGPIT:20240227004258j:imageトニーと交渉をするネイモア。犯人を捕まえたも事態の解決には至らなかった。

 

アトランティスのヒーロー〉

ネイモアは時にアメリカのヒーローと対決することがあり、また、時にはヴィランと手を組むことがあります。それでもヒーローは最終的にネイモアを味方として受け入れるのです。それは何故か? 本作にはネイモアの行動原理が描かれていました。ネイモアは常にアトランティスの未来を考えて行動していました。つまり、アトランティスのために動き続けているのです。発言の端々から傲慢だと思われるネイモアですが、それ以上に国民を大切に思っています。本作ではそんな国民思いなセリフが何度も登場しています。怒りに任せ戦争を始めてしまうことなどなく、国民の犠牲を最小限にしようと努力する本作がまさにその象徴と言えるでしょう。ネイモアの行動原理はアトランティスでありとアトランティスの国民のためにあることが分かります。そんなネイモアをヒーロー等が味方として受け入れるのは、ネイモアがアトランティスにとって王であり英雄、ヒーローだからなのでしょう。本作では多くのヒーローがネイモアへ疑惑の目を向け敵対してしまいました。しかし後の戦いを見ると背中を預ける様子も見られることから、どれだけネイモアが信頼されているかわかります。アトランティスの王であるネイモア。その行動原理は常に国民のためであり、アトランティスにとっては最高のヒーローなのです。