アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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IRON MAN WAR OF THE IRON MEN

世界最強のパワードアーマーを纏い、ゴールデンアベンジャーとして第一線で戦い続けるアイアンマン。しかし1度は「アイアンマンってアーマーを着れば誰でもなれるのでは?」なんて考えが頭をよぎった人も多いのではないでしょうか? 実際トニー自身もその事で悩んでいた時期がありました。ところが現在、そんな姿を見ることはほとんどないでしょう。何故トニーはアイアンマンなのか? 何故トニーでなければアイアンマンではないのか? 様々な作品でその答えが示されています。今作もその例に漏れません。時系列はトニーがエクストリミスを摂取する前辺りだと考えられます。何故アイアンマンはトニーなのか、是非皆さんの目で確かめてください。
f:id:ELEKINGPIT:20211105231842j:imageIRON MAN WAR OF THE IRON MEN

 

※なお今回は紙の書籍から画像を引用させていただきます。見えにくい等ございましたらコメントで教えていただけると嬉しいです。

 

〈あらすじ〉

ライバル会社の裏工作を切り抜け、新技術アークリアクターの発表を迎えたトニー。ところが記者のある質問で会見は予想外の方向へ。ヨーロッパのとある国家、トランジアで起きたテロに対してコメントは? 画面に映し出されたのは多数のアイアンマンがトランジアの村を襲撃する映像だった。

 

〈トニー・スタークvsアイアンメン〉

トランジアのテロとはトニーも初めて聞いた事件でした。記者によるとこの攻撃で死者は44人、負傷者は120人とのこと。アイアンマンの名を騙って行われたこのテロ、当然トニーに身に覚えはなくとも見過ごせるはずもありません。とはいえ本物のアイアンマンがアメリカから介入すれば戦争の扇情という罪で国際法違反に。アメリカとトランジアの国際問題にも発展する可能性も。トニー自身トランジアへ行くことが本当に正しい行いなのか迷っている様子でした。しかしテレビのニュース映像を見て決意します。今こうして迷っている間にも人々がアイアンマン軍団に襲われ、殺されているならば、ヒーローのやることは1つでしょう。トニーは新型アーマーでトランジアへ向かいます。アイアンマンのトランジア侵入という報せはたちまち世界を駆け巡ります。中にはそれを嬉しそうに受け取る者も……
f:id:ELEKINGPIT:20211105235059j:imageアイアンマンがトランジアに侵入した報せを受け取るドゥーム。ラトヴェリア王は何を企んでいるのか?

トランジアに到着したトニーは早速アイアンメンに遭遇します。パワードスーツならば中に人間がいるはず。トニーの新型スーツは全て非致死性の武器がズラリと搭載されています。一方アイアンメンの性能はトニーすら驚くほど高性能でした。いくつものスターク社特許技術を有し、オリジナルと肩を並べる程です。しかもどうやら遠隔操作のロボットのようです。無人なら手加減の必要は無い、と2体を瞬く間に撃破しますが、敵の卑劣な作戦にはまりトニーは敗れてしまいました。
f:id:ELEKINGPIT:20211106000558j:image敵の攻撃でアーマーが吹き飛ばされたトニー。自身の予想に反して呆気なく敵に捕らわれてしまう。

 

こうして捕らわれたトニーは、アイアンメンを率いていたテロリストのリーダーであるズマジと対峙します。ズマジはトニーがアイアンマンとなったきっかけに大きな感銘を受けたと興奮混じりに言います。死の寸前まで追い詰められた科学者は何十年先もの科学を構想し、実現するのかと。ならば我々はそれを利用してやるまで。ズマジは拠点のすぐ近くに建てられた墓地を見せます。これらは全て捕らえて拷問した科学者のものだと。人の命をゲーム感覚で弄ぶズマジを野放しにする訳にはいかない。そう固く誓うトニーはあるテントへ放り込まれました。ここで新兵器を作れというのです。そこにはもう1人の科学者がいました。地雷で足を失った天才科学者、ドラガナです。ズマジに目の前で家族全員を殺され、明日を生きるために仕方なく従っていました。とはいえその才能は地球でもトップレベルといっても過言ではないでしょう。なんとアイアンメンに使われているスターク社特許技術は盗まれたものではなく、アイアンマンを見てコピーしたものだと言うのです。
f:id:ELEKINGPIT:20211106004532j:image明日のためにひたすらアイアンメンを作り続けていたドラガナ。トニーの登場で僅かばかりの希望を見出す。

 

ドラガナの協力で最低限装備を整えたトニーはズマジの拠点を脱出します。ところがそこへ現れたのはドゥームの技術を用いた鎧兵。何とか地雷を踏ませて辛勝しますが、この事件の背後にドゥームの存在を感じずにはいられません。ならばトランジアとテロリストの戦争を止めることは出来ないでしょう。トニーはトランジアに敷かれた中国のパイプラインを破壊、中国を介入させることで戦争を激化させようとしました。中国を恐れたテロリストが手を引けば、あとは自分が全て責を負えばいいと考えているようです。何とか人工衛星に通信できたトニーは、衛星からモデル23を呼び寄せます。当時の最新型と比べれば2〜3世代ほど古い型ですが、これでも性能は十分。まずはズマジの拠点から離れた場所にいるというアイアンメンの操縦者の元へ急ぎます。一方中国は生きる放射線、ラジオアクティブマンをトランジアへ派遣。テロリストとアイアンマン両方の殺害命令を下します。
f:id:ELEKINGPIT:20211106005905j:image瞑想中のラジオアクティブマン。手をかざすだけで人を殺せるこの危険人物がトニーへ牙をむく。

 

アイアンメンの操縦者を一瞬で殺したラジオアクティブマンは、直後にアイアンマンと遭遇。更にロシアからテロ鎮圧のプロパガンダのために投入されたクリムゾン・ダイナモチタニウムマンも参戦し三つ巴の戦いに発展します。一方ドゥームは参加の許されていない国連会議へ強引に割り込んでいました。今やラトヴェリアは隣国トランジアの難民で溢れている。トランジアの民は皆自国にいても安全な場所はないと覚っており、ドゥームによる支配を望んでいる。そう、全てはドゥームの陰謀だったのです。現地のテロリストを利用してトランジアをラトヴェリアと併合しようと企んでいたのです。この計画を完遂するため、ドゥームはスターク社から盗んだ技術を用いてアイアンマンそっくりのドゥームボットを量産、トニー達の元へ大軍を派遣します。いくらトニー達4人でも、景色を埋め尽くすほどのドゥームボット達相手には大苦戦。最早これまでか……そう思われた瞬間、空から一筋の閃光が。ドラガナが自作アーマーを着用して助けに来たのです。
f:id:ELEKINGPIT:20211106011858j:image救援に来たドラガナ。テロで混乱したこの国を救うため、自らがトランジアの「アイアンマン」になることを誓っていた。

 

〈鋼鉄の魂〉

冒頭でもお話した通り、今作は「アイアンマンとは何か」を突き詰めた作品です。今作では様々な「アーマー」が登場しました。アイアンメン、Dr.Doom、クリムゾン・ダイナモチタニウムマン。では何故その中でトニーだけがアイアンマンなのでしょうか? それを考えるキーパーソンこそがドラガナです。

これまでの話で勘のいい皆様は気づいたでしょう。ドラガナはトニーがなっていたかもしれない姿でした。そもそもトニーがアイアンマンになったきっかけも、地雷で負傷しテロリストに捕まったことでした。トニーは心臓に大きなダメージを負いましたが、ドラガナは足を失っています。足のない自分には脱出不可能だと諦め、明日死なないためだけにアイアンメンを作り続けていました。そこに希望はありません。一見朝のことを考えている=未来のことを考えているように思えますが、ドラガナの考える「明日」とは今日と同じ1日を送ること。先のことを考えているとは言えません。トニーはそんなドラガナへ「ただ明日を生きるよりも、今日良い行いをしよう」と諭しました。人によってはこの考えは場当たり的で無計画と捉えるかもしれません。しかしただ1つの善行で今日という日が昨日と違う色に見え、また明日をより良い方向へとむけるでしょう。ここで示されたのは、アイアンマンとは人々をより良い未来の方向へ向けることでした。

ではその日トニーがやった「良い行い」とは? それはトニーがドラガナにとっての「インセン教授」となることでした。インセン教授はテロリストに捕まったトニーを命懸けで助けた人物です。トニーは未だにその死を悔いており、また深い感謝を捧げています。ドラガナの視点で見るとトニーの行いはインセン教授と同じものです。脱出の希望を与え、そのきっかけを作ったのは紛れもないトニーなのですから。そしてトニーもドラガナも生きてその場を脱出することが出来ました。この時、ドラガナはトランジアの未来のためにヒーローであり続けると決心します。私はこの時のドラガナもまたアイアンマンであると思いました。アイアンマンとは、より良い未来のために戦い続けるヒーローなのです。