アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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WHAT IF IRON MAN HAD BEEN TRAPPED IN KING ARTHUR'S TIME?

現在でも傑作エピソードとして名高いドゥームクエスト。アイアンマンとDr.ドゥームが戦いの末アーサー王伝説の時代にタイムスリップしてしまうという衝撃の物語は、今なお多くの方を惹き込む引力のようなものを感じます。さて、今回紹介するのはそんなドゥームクエストのWHAT IF?です。題して、もしもアイアンマンがアーサー王の時代に囚われたなら? タイトルだけでワクワクしてしまいますが、本編と併せて2度美味しく楽しみましょう。
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〈あらすじ〉

ドゥームのタイムマシンが暴走し、アーサー王の時代にタイムスリップしたトニーとドゥーム。戦いの末2人はアーマーのパーツを持ち寄り即席のタイムマシンを開発、現代に帰ってくる……はずだった。ところが直前で裏切ったドゥームの策略で、なんとトニーはこの時代に取り残されてしまう。友もパートナーもいない時代、故郷を失った鉄人の新たなる戦いが始まった。

 

〈鋼鉄の騎士〉

ドゥームと共に即席のタイムマシンを開発したトニー。しかしドゥームの策略で現代に帰ることは叶わず、トニーだけ過去に囚われた状態で本作はスタートします。失意と絶望を味わうよりも早く、今いる場所が黒魔術師モーガン・ルフェイの根城だと思い出したトニーは、なけなしのパワーで脱出しました。アーマーの大部分をタイムマシンに使ってしまいましたが、ソーラー蓄電システムでどうにか最低限のパワーは得られてたのです。この時代で頼れる人物といえばやはりアーサー王でしょう。モーガン・ルフェイ討伐に協力した功績から快く城へ迎え入れられます。ようやく心が落ちつける環境。ここでトニーは、初めて大いなる絶望と失意に包まれました。愛する者も固い絆を結んだ親友も2度と会えないかもしれない。これほどの悲劇があるでしょうか。計り知れない喪失感は、グラスに手が伸びそうになるほどでした。しかし微かすぎるとはいえ希望は残されています。再びタイムマシンを発明するのです。それまでの間だけでも、自分に出来る最善を尽くそう。グラスを力強く叩き割って、トニーは鉄の鎧に誓いました。
f:id:ELEKINGPIT:20220903010631j:imageドゥームに騙され、過去に取り残されるアイアンマン。それでも強く生きていく決意を固めた。

 

事態が大きく動いたのは、トニーの部屋にモーガン・ルフェイの幻影か現れた時でした。ルフェイは近々キャメロット(アーサー王の領土)を狙う侵略者が現れると予言。このままではキャメロット陥落も有り得ると言い放ちます。ルフェイとしてもキャメロットが落とされるのは都合が悪い様で、アーサー王に助力するよう忠告し姿を消しました。疑念は晴れないものの、トニーは最低限アーマーを修理して準備を進めます。数日後、予言は現実のものとなりました。大軍を率いてやってきた侵略者に、キャメロット側の戦力では少々心許ないのも事実。ならばアイアンマン単騎で迎え撃つのみです。空を飛び光線を放つ。21世紀を生きる我々ですらお目にかかれない科学技術で侵略者を翻弄したアイアンマンは、なんと両軍無血で和解させることに成功。この功績はアーサー王も大いに関心を抱き、なんと円卓の騎士に参加することを認められました。民衆からも信頼を得た今、正にトニーはキャメロットの中心人物といっても過言ではないほど高い人気を誇ります。これを知ったモーガン・ルフェイは密かにほくそ笑んでいました。これこそがルフェイの計画だったのです。キャメロットの人気者となったトニーを討伐すれば、軍の士気も戦力も大幅ダウン。我が手を下さずともキャメロット陥落など容易となるでしょう。魔剣エクスカリバーの一部を取り付けた短剣ならばアイアンマンの鎧をも貫く事が可能。ルフェイは自軍の指揮官でもある自身の子どもに短剣を託し、円卓の騎士へ宣戦布告します。
f:id:ELEKINGPIT:20220903014922j:image円卓の騎士へ宣戦布告するモーガン・ルフェイ。キャメロット存亡を巡る戦争が始まろうとしていた。

 

連戦に続く連戦で、キャメロットの騎士達はすっかり疲弊している様子。これでは例え数や技量で勝っていてもルフェイの軍には倒されてしまうでしょう。やはり自分がやるしかない。トニーは開戦と同時にルフェイの軍へ単騎で突撃します。しかしこれもルフェイの予想通り。エクスカリバーを仕込んだ短剣がトニーの胸に突き刺さります。最低限のパワーで動いていたアイアンマンは、この一撃で気を失ってしまいました。開戦からどれほど経ったでしょうか。キャメロットの城内で看病されていたトニーは、窓の外で繰り広げられる戦闘からすぐに状況を察します。ルフェイの軍はこの城を包囲している。陥落まで時間の問題であろうと。やはりこの状況を打開できるのは自分だけ。トニーは最短でアーマーを万全の状態まで修理できるよう、全力で作業を開始。たった2週間で現代の技術を再現できるようにしてみせます。
f:id:ELEKINGPIT:20220903020115j:image残された僅かな希望、アイアンマンの完全復活。天才だからこそ成し得た技術発展である。

 

〈故郷を失った者〉

過去に取り残されて一生をそこで過ごすこととなったトニー。愛する者も親友も2度と会えない絶望に涙すら流しましたが、この時代で生きるための覚悟は意外にも早く固まりました。尺の都合でそうなったと言われればそれまででしょう。しかしそれでも、何故こんなにも早く覚悟を決めれたのかは少し気になります。そこで今回は、何故トニーがあれほど早く決意を胸に抱けたのか考えたいと思います。

結論から言ってしまうと、キャップの存在が大きかったのではないか、という事です。形は違えど遠い時の先へ故郷を置いてきてしまったという点でキャップと今作のトニーは共通しています。何よりもキャップを尊敬するトニーは、故郷を失った人物の悲哀を間近で見続けていたのです。そんなキャップはアベンジャーとして戦い、やがてリーダーを務め多くのヒーローの精神的支柱となった程でした。どんな時でも最善を尽くす。この姿勢はトニーも見てきたことでしょう。細かな違いはあるものの、今作のトニーとキャップは類似していると言ってもこじつけではないでしょう。ヒーローとして、何よりトニー・スタークとして、酒に逃げるのでなく最善を尽くし続ける。その決意にはキャプテン・アメリカの存在が背後にあったのかもしれません。