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MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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IRON MAN AND POWER PACK ARMORED AND DANGEROUS

今回はアイアンマンとMARVELの最年少ヒーローチーム、パワーパックがクロスオーバーしたIRON MAN AND POWER PACK ARMORED AND DANGEROUSを紹介したいと思います。パワー家の4兄妹で構成されるパワーパックは、幼いながらも数々のヴィランを倒した実績を持つ強力なヒーローチームです。実は子ども好きでは? とファンの間で話題になることもあるトニーとの化学反応を楽しみましょう。
f:id:ELEKINGPIT:20211119134905j:imageIRON MAN AND POWER PACK ARMORED AND DANGEROUS

 

日本語版関連コミック

 

〈あらすじ〉

久しぶりの休日、パワー家の4兄妹はセントラルパークで仲良く遊んでいた。ところが周囲に地鳴りが轟き、巨大なロボットのウルティモが現れた! こうなったらヒーローチームの出番だ。パワーパック、攻撃せよ!

 

〈危険な遊び〉

まずはパワーパックの4人を軽く紹介しましょう。チームのまとめ役で重力を操るアレックス(ゼロ-G)、虹を発しながら超スピードで飛行するしっかり者のジュリー(ライトスピード)、カッコつけ屋で体を雲にする能力のジャック(マス・マスター)、エネルギー吸収と放出能力でチーム最強のケイティ(エナライザー)。ジャックはよくジュリーと喧嘩し、アレックスや末っ子のケイティが場を収める……そんな光景がよく描かれる、よく見かけるような家族です。
f:id:ELEKINGPIT:20211119195353j:imageパワーパックの4人。左からアレックス、ジュリー、ジャック、ケイティ。

 

そんな4人がセントラルパークで遊んでいると、巨大なロボットのウルティモが現れます。ウルティモは敵の攻撃を吸収してさらに巨大化する厄介な能力の持ち主です。それを知らないケイティがウルティモを攻撃、ウルティモの足止めすら難しい状況まで追い詰めれました。助けに来たトニーは一瞬で状況を察します。なんとこのウルティモ、スターク社のラボから脱走したというのです。とはいえ動けないように非アクティブにしていたはず。恐らくこの騒動には黒幕が存在しているのでしょう。ハルクバスターアーマーで牽制しますが、どうやら今のウルティモはそのパワーをも上回っているようです。トニーはパワーパックに協力を頼みます。どれだけ硬いウルティモの装甲も、どこかには必ず弱点があるはず。ケイティにパワーを貯めてもらいながらその弱点を探し、そこへケイティがエネルギー波で攻撃、拡大した弱点から内部を破壊するという作戦です。トニーの目論見通りこの作戦は成功、見事ウルティモを倒しました。その頃、ある人物がトニーのラボからサイバーニューラル・インターフェイスを持ち出す謎の影が。どうやら黒幕はウルティモを囮に自らの目的を叶えたようです。f:id:ELEKINGPIT:20211120013723j:image協力してウルティモを倒すパワーパック。しかしヴィランの企みは静かに進行していた。

 

それから数日後、トニーはヒーロー博物館の準備に勤しんでいました。ヒーローの立像や使用されたアイテムなどを多数展示している博物館最大の目玉は、なんと言っても本物の歴代アイアンアーマーが展示されていることでしょう。モデル1からトニーが国防長官時代に着用したモダンアーマーまでがズラリと並んでいます。ローディは危険じゃないかとトニーに問いますが、もちろんセキュリティは万全。各地に張り巡らされたセンサーがアーマーに近づく者を感知した途端、100万Vの電撃が流れる仕組みです。パワー家の4兄妹もこの展示には大興奮。パワーパックのコーナーがないことにはガッカリしていましたが、それでも歴代アーマーの迫力に圧倒されていました。たまたまその様子を見ていたローディはどこか得意気です。しかしその時、なんとアーマーが勝手に動き始めたではありませんか。アーマーは安全のために非アクティブ化した上、トニーの生体認証がなければ動かないはず。しかしそんな理屈を蹴飛ばすように歴代アーマーは瞬く間にパワーパックへ襲い掛かります。
f:id:ELEKINGPIT:20211120021614j:imageパワーパックらに襲いかかる歴代アーマー。無敵の装甲を打ち破ることが出来るのか?

 

ウォーマシンアーマーも展示に出していたローディはトニーを呼ぶしかありませんでした。そのトニーはアーマーが何者から遠隔操作されていること、アーマーにアクセス出来ないことを告げます。こうなったら止める方法はただ1つ、アーマーを倒して動けないようにすることのみです。パワーパックは苦戦を強いられますが、アレックスがアーマーの一部を剥ぎ取って武器として使ったことで形成は逆転。ケイティの機転もあって何とかアーマー達を倒すことに成功します。そしてトニーはアーマーを遠隔操作していた怪電波の発信源を捉えました。共に戦ったパワーパックの勇気と覚悟を見たトニーは、急造とはいえ4人専用のアーマーを用意して共に黒幕の元へ向かいます。そこに居たのはパペットマスター。特別製の粘土でヒーローやヴィランの彫像を作り、それを使って任意の人物を自在に操れる凶悪なヴィランです。とはいえここまで追い詰めれば何も出来ないなず。どうやらサイバーニューラル・インターフェイスで無機物も操れるようになったとパペットマスターは言います。そして最後の切り札として隠し持っていたパワーパックの彫像でトニーを襲撃しました。
f:id:ELEKINGPIT:20211120023705j:image虚ろな目でトニーを攻撃するパワーパック。トニーに逆転の一手はあるのか?

 

〈ヒーロー博物館の意味〉

さて、本作は正確には平行世界の物語と考えられますが、ワールドウォーハルクのハルクバスターアーマーが登場するなど基本的には正史世界と変わらないのではないかと思われます。そこで今回はこの平行世界が正史世界とほぼ同一という前提の元、何故トニーがヒーロー博物館を建てたのかを考えたいと思います。

本作は時系列で考えればワールドウォーハルクとシークレットインベーションの中間辺りの出来事と考えられます。つまり、当時はアベンジャーズ分裂期。超人登録法をめぐって反対派のシークレットアベンジャーズと賛成派のマイティアベンジャーズが争いあった時期です。では何故そんな時期にヒーロー博物館を作ったのでしょうか? ローディに尋ねられたトニーは「歴史あるヒーローの名を刻むため」と言いました。アベンジャーズ分裂期だからこそ、その言葉にはもうひとつの意味と重みがあります。この博物館は超人登録法の賛成派や反対派など全く関係なく展示されていることがわかります。キャップの立像はもちろん、当時シークレットアベンジャーズのリーダーだったパワーマンのコーナーまで存在しているよう。

トニーはアベンジャーズが分裂する前の時代を懐かしみ、また今や犯罪者となった友人達を思ってこの博物館を建てたのではないかと考えています。シビルウォーから始まったヒーローコミュニティの実質的な崩壊は、以来トニーの人生に暗い影を落とすこととなります。キャップの死という重すぎる十字架を背負い、SHIELD長官として世界中のテロリストと戦いながら、何度も自分はキャップになれないと実感したことでしょう。今や犯罪者となった友人達も、何度も世界を救ってきました。いつかそれを覚えている人がいなくなるかもしれない。ヒーロー博物館とは、トニーなりの反対派へ向けた最大の賛辞と誠意だったのかもしれません。