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MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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STAR WARS AGE OF REPUBLIC ANAKIN SKYWALKER

フォースにバランスをもたらす選ばれし者として、EP1ファントム・メナス〜EP6ジェダイの帰還まで常に中心人物として登場していたアナキン。ダース・ベイダーの名を持つ恐るべきシスの暗黒卿となってしまいましたが、ジェダイ時代はクローン戦争の英雄として名を馳せていたことは有名です。さて、今回紹介するSTAR WARS AGE OF REPUBLIC ANAKIN SKYWALKERは、そんなアナキンが英雄と呼ばれる一端を描いたワンショット(1話完結)です。今作は短いながらアナキンの英雄たる所以がぎゅっと詰まった1作。映画やアニメとともに楽しみたい作品です。
f:id:ELEKINGPIT:20220411160036j:imageSTAR WARS AGE OF REPUBLIC ANAKIN SKYWALKER

 

〈あらすじ〉

遠い昔、はるかかなたの銀河系で……

時は戦争の最中。共和国と独立星系連合との戦いは激しさを増すばかりだった。

ジェダイ・ナイトとなったアナキン・スカイウォーカーは、ユラーレン提督共にドロイド工場を目指していた。しかし突然の奇襲に苦戦を強いられてしまう。

共和国軍の進軍がバレた以上、2日以内にドロイド工場を破壊せねばならない。そこで働く奴隷達の犠牲を強いてでも……

 

〈奴隷の英雄〉

ユラーレン提督の任務。それは分離主義勢力によって建設されたドロイド工場の破壊でした。しかし突如ドロイド軍の奇襲にあい、敵に共和国軍の進軍が発覚してしまいます。アナキンの活躍で何とか奇襲は乗りきったものの、このままでは2日以内にドロイド軍の増援が到着することでしょう。そうなればひとたまりもなく壊滅することは必至。敵の増援が到着する前にドロイド工場を破壊しなくてはならなくなりました。ユラーレン提督は、すぐにでも大攻勢をしかけ、工場を制圧する作戦を立案。アナキンもこれに納得しますが、なんと工場は現地住民を奴隷として働かせているというではありませんか。現地住民を巻き込むような作戦にアナキンは真っ向から反対します。
f:id:ELEKINGPIT:20220411170652j:imageドロイド工場破壊作戦について話し合うアナキンとユラーレン提督。お互い譲れない主張がぶつかり合う。

 

奴隷を皆殺しにするような作戦は絶対に賛成できない。とはいえ、ユラーレン提督の主張が納得出来ないアナキンではありません。住民らが逃げまで待っている隙にドロイド軍の大軍がやって来てもおかしくはないのです。戦争は勧善懲悪の物語ではありません。勝つためには道理に反することをする必要もあるでしょう。実際最も合理的に自軍の勝利を考えるなら、ユラーレン提督の作戦案が採用されてもおかしくはないはず。それでもアナキンの心は晴れません。どれほど立派な理由があろうとも、これからやろうとしていることは間違いなく理不尽な大量殺人なのです。ユラーレン提督は間違いなく良い軍人だと前置きしながら、アナキンは煮え切らない思いをオビワンに零します。オビワンもユラーレン提督の作戦案に納得しながらも、しかし一言だけアナキンにアドバイスを送ります。
f:id:ELEKINGPIT:20220412013723j:image「自分の感覚を信じるんだ。そしてフォースを」オビワンの言葉で独自に行動することを決意したアナキン。軍人ではなくあくまでジェダイの騎士として戦うことを学んだ。

 

オビワンの言葉を胸に、奴隷を解放するため単独でドロイド工場へ乗り込んだアナキン。そこで見つけたのは、手錠をしたまま強制的な働かされている住民達の姿でした。アナキンはこの光景に激怒。思わず衝動で敵の真正面に立ってしまいます。ドロイド軍の砲火に光刃のみで立ち向かうアナキン。当初は共和国軍が自分達を殺しに来たのだと恐怖していた住民ですが、ジェダイが助けに来てくれたのだと安堵の声を漏らします。そもそも現地住民は共和国派にも独立星系連合派にも付かなかった中立の星の住民。独立星系連合にそれを利用されて強制労働させられていたのです。アナキンにより開放された住民は、「我々が戦わなかったのは、戦えなかったからではない!」と銃を持ち出します。アナキンの奴隷解放が結果的に勇気に火を付けたのです。
f:id:ELEKINGPIT:20220412015747j:image怒りのあまりライトセイバーを起動するアナキン。この行動が奴隷解放の鍵となった。

 

〈銀河の英雄〉

短いながらもアナキンの激怒している様子が印象に残る本作。特にドロイド軍と戦う姿はまるであのダース・ベイダーのよう。どちらも激怒したアナキンという大きな共通点があります。しかしダース・ベイダーはアナキンが最も毛嫌いする理不尽な大量殺人鬼。では当時のアナキンとダース・ベイダーにはどのような違いがあるのでしょうか?

結論から言うと、「視野の違い」の1点ではないかと考えます。当時のアナキンには、自らの実力を認めようとしない評議会など頭を悩ませる存在こそありましたが、切羽詰まって心の余裕が無くなるほどではなかったはずです。フォースもパイロット脳でも超一流でありながら、悩める1人の青年として描かれたアナキン。物事が見えすぎるからこそ全てを1人で何とかしようとしてしまっているのかもしれません。そんなアナキンが悩みに悩んだ末路がダース・ベイダーです。パドメの死を予感したアナキンが、何としてでもパドメを救おうともがいた結果、ダース・シディアスの誘惑に勝てず、暗黒面に落ちてしまった姿です。パドメを救う手立てはこれしかないと確信したアナキンは、最早それ以外何も見えないような状態でした。オビワンに刃を向け、あろうことかパドメにすら危害を加えてしまったアナキン。心の中では自分の行動に大きく動揺しながらも、決して改めようとはしませんでした。そしてあの有名なマスクを被りパドメの死を知って以来、目的のためなら手段を厭わない恐るべき暗黒卿となってしまいます。それは逆に言えば、目的以外何も見えなくなってしまっているのです。そしてそれを阻むものは全員生物非生物に関わらず「障害物」でしかないのです。ダース・ベイダーが無慈悲に人を殺せるのは、そもそも人としてすら認識できないほど視野が狭くなってしまっているからかもしれません。