アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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NOVA(2013)vol2 ROOKIE SEASON

ティーンヒーローの醍醐味といえば、ヒーローの成長だと考える方は多いでしょう。日常に潜む様々なものから、時に尊敬する人のアドバイスを受けながら日々成長し続けるティーンヒーロー。それはサム・アレキサンダーも決して例外ではありません。激動のマーベルナウ!期に生まれた14歳のヒーローは、多くの危機を糧に1人前のヒーローへと飛び出して行きます。今作ではインフィニティのタイインを収録。ヒーローになったばかりのサムが対峙するのは、先代ノヴァ(リチャード・ライダー)因縁の敵サノスでした。
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〈あらすじ〉

父のヘルメットを受け継ぎ、新たなるノヴァへと変身したサム。その後も銀河の奥で様々な敵と戦い、果てはフェニックスフォースを巡る2大チームの決戦も見届けた。雷神にも認められた勇気が称されアベンジャーズの勧誘を受けるサム。しかしサムには、母という抗えない障壁が待っていた……!

 

〈一歩ずつの飛躍〉

チタウリとの戦いから始まり、ダークフェニックスをアベンジャーズX-Menとの共闘で倒したサム。駆け出しでありながら一流ヒーローと肩を並べる武勇に、誰もが賞賛を惜しみません。雷神ソーは特にサムを気に入ったのか、アベンジャーズへ勧誘するほどです。これにはサムも大喜び。早速母へ報告し、アベンジャーズに入ろうとしました。ところがこれに母は猛反対。確かにアベンジャーズに入るということはそれだけで名誉なことですし、多くのヒーローが望むこと。しかし一流のヒーローチームに入るということは、それだけ危険も増します。そもそもヒーローとは開くと戦う存在ではありません。犯罪者と戦う前にまず、前回の戦いで破壊されてしまった公園をどうにかすべきでは? 田舎町にはダメージコントロールへお金を払う余裕もないのです。決してヒーローになることは反対しない。でもヒーローは遊びではないし、優先順位を履き違えるな。母の教えにサムは飛びまします。母にヒーロー活動を認められたと大喜びで。
f:id:ELEKINGPIT:20221218003613j:imageヘルメットが見せた過去の戦い。14歳にして多くの死線を超えてきたが、まだまだ未熟な部分も多い。

 

早速ヒーローとして活動するため、まずは悪人の多そうなニューヨークへやって来たサム。ところが偶然出会ったスパイダーマン(当時はドクターオクトパスと人格が入れ替わっていたスーペリア・スパイダーマン)に、ニューヨークにはもうヒーローはいらないと言われてしまいます。確かに悪人は多いのですが、そもそも摩天楼の隙間を10秒に1度ヒーローが飛び回ってるとまで言われてしまう街。これにサムが加わったところで出来ることは少ないでしょう。またそうでなくとも、悪人がどこで暴れているかすら知らないサムでは話になりません。警察無線を傍受するなど、方法はいくらでもあるはず。まずは地元で活動すべきと諭されたサムは、やむなく来た道をもどります。地元の静かな街ではヴィランも滅多に現れません。サムは破壊された公園の修理を手伝うことにしました。
f:id:ELEKINGPIT:20221218012725j:image瓦礫の山を片付けるサム。健気な姿に地元の人々がエールを送った。

 

その頃、サノスは地球圏を目指して宇宙船の進路を向けていました。現在、アベンジャーズは宇宙原初の生物ビルダーズと戦闘中。X-Menは分裂中で地球の守りは手薄なはず。地球を狙うにはこれほどの機会はないのです。その前にサノスには懸念がありました。かつて自分を敗北寸前まで追い込んだノヴァの存在です。先代ノヴァのリチャード・ライダーは、サノスをキャンサーバースと呼ばれる異次元に封印する寸前まで追い込んだ過去があります。その戦いでノヴァは死亡しましたが、地球には新たなるノヴァが誕生しているではありませんか。ならば何度でも殺すまで。手早く地球征服を成すために戦力を割けないサノスは、奴隷の狂戦士カルデラを派遣します。一方サムは、ニューウォリアーズから加入の勧誘を受けていました。若手ヒーローで構成されるチームですが、現在ニューウォリアーズはジャスティスとスピードボールの2名のみ。ニューヨークから帰るサムを偶然見つけ、何としてもチームに入れようと考えていました。ところがサムは乗り気ではありません。1度はアベンジャーズに入るまでどこのチームにも入るつもりはないようです。何とかニューウォリアーズを撒けないかと考えていたサム。しかしその時、妙な匂いに気が付きます。まるで何かが燃えているような、しかも家がある方角から。サムは急いで飛び出します。嫌な予感は想像以上に悪い状態で当たってしまいました。家族がカルデラに捕まっていたのです。
f:id:ELEKINGPIT:20221218014932j:imageサムの家族を人質に取るカルデラ。人間狩りの戦士は任務を果たすために手段を選ばない。

 

激怒するサムへ、カルデラは決闘を申し込みます。お互いスーパーパワーを使わずに戦い、サムが勝てば人質は解放すると。スーパーパワーは禁止ですので、当然サムはヘルメットを付けることすら許されません。断れば人質の命はない……ならば答えは1つしかありません。カルデラとしてはサムを殺す最も確実な方法でしょう。それはその場にいる誰もが理解していました。しかしそれは怒れるサムを止める理由にはなりません。母の悲鳴が聞こえる中、決闘が始まりました。当然のこのルールはカルデラが圧倒的に有利。ノヴァの力がなければ普通の14歳何ら変わらないサム。それでもボロボロになりながら何度も立ち上がりました。勝つ方法はわからないが決して降参はしない。決意の眼差しにカルデラすらも驚きを隠せません。そんな一瞬の隙をついて、サムはヘルメットを着用します。決闘のルールには反しますが、そもそも手段を選ばなかったのは敵だって同じはず。カルデラが人質に手をかけるよりも早くサムは攻撃を仕掛けます。
f:id:ELEKINGPIT:20221218022054j:imageノヴァの力でカルデラを圧倒するサム。家族のために出来ることは全てやる。

〈ステップアップ〉

若輩ながらノヴァという人智を超えた力を手に入れたサム。元ノヴァであるタイタンを倒し、またフェニックスフォースとも戦ったサムは確かに優秀なヒーローのように思えます。しかし今作で目立ったのは圧倒的な経験不足。ヘルメットの力を使いこなせていないどころか、まるで遊びのようにヒーロー活動しようとする姿は私たち読者すら眉をひそめてしまいそうです。またサムがニューヨークへ行かなければ家族がカルデラに捕まらなかったかもしれません。アベンジャーズになりたいと願うサムが、 母に認めてもらうため焦っているようにも思えるほど。ではどうすべきだったのか? 答えは作中で何度も示され、強調されてきました。積み重ねです。いきなり過酷な戦いへ身を投じる必要は無い。ヒーローだからと妙にカッコつける必要も無い。大事なのは、人々を助け守ること。公園の修復は決して悪人と戦うような華々しさはありませんが、人々はその姿を見てサムをヒーローと呼びました。またカルデラとの戦いを経て大切な人を守ることも学んだはず。サムはようやく今作でヒーローとしての第1歩を刻んだのです。これから大きなステップアップをするための、最重要な1歩を。