アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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IRON MAN #200

長きに渡るトニーとオバディアの対決も今回でついに決着。同時にアイアンマン誌は第200話を向かえ、特別記念号としてページが増えるなど、物語内外で最高潮の盛り上がりを見せています。1度は会社も地位も名声も、生きる気力すら奪われたトニー。しかし逆境こそがヒーロー物の花なのです。堂々と君臨するオバディア帝国を打ち砕くのは、鉄の意志にほかなりません。
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前回はこちらelekingpit.hatenablog.com

初回はこちらelekingpit.hatenablog.com

 

〈あらすじ〉

オバディアの策略により、トニーらが築いたマキシマム・サーキットは爆破された。ローディとクライ博士は幸いにして軽傷で済んだものの、アーウィン博士は無残な姿で帰らぬ人となる。大雨にも構わず立ち尽くすトニー。アーウィン博士の敵を討つため、拐われた仲間達を助けるため、全てに決着をつけるため。たった1人のアベンジが始まる。

 

〈鉄人の正義〉

物語は前回の約6時間後からスタートします。アーウィン博士の惨たらしい姿を見たトニーは、悔しさを滲ませながら拳を強く握りしめていました。この数ヶ月、アイアンマンであることを拒み続けてきた。私は臆病で馬鹿だった。トニーはそう振り返ります。いつかオバディアが攻撃してくることを分かっていながら、その事実から目を背け続けていたのです。しかし今のトニーに迷いはありません。逃げる気も隠れる気もありません。確かに気づくタイミングは遅かったと言わざるを得ないでしょう。しかしトニーの心には、再び鋼鉄の精神が宿ったのです。オバディアに会社を乗っ取られる以前から開発を進めていた最新アーマーを纏い、トニーはステイン社へと向かいます。
f:id:ELEKINGPIT:20220429222744j:image全く新しいアーマー、シルバーセンチュリオン。これまでのアーマーとは桁違いの性能を誇る。

 

一方オバディアは、「アイアンモンガー計画」の最終確認を行っていました。何故トニーがいる時に爆弾を爆発させなかったのか? 答えは簡単でした。オバディアの「ゲーム」は、トニーを殺すことが勝利条件ではなかったのです。トニーを生きたまま最も惨めな状態まで追い詰め、自らの無力感に涙しながら自殺させることこそがオバディアの完全勝利条件だったのです。仲間を見殺しにしたとして、世間は再びトニーを非難することでしょう。そうなれば再び酒瓶を手に取り、再び生きる気力を失ってどこかを放浪することでしょう。そのまま野垂れ死ねば、これほど心地よいことは無い。アイアンモンガー計画は、そんなトニーを打ち砕いた後に、アイアンマン打ち砕くための計画でした。オバディアはトニーのアーマーのメモを発見し、それを元に世界中の科学者へ最強のバトルスーツを作らせていました。誤算があるとすれば、トニーの再起でしょう。誤算があるとすれば、アイアンマンの再誕でしょう。自らの警備システムをあっという間に破ってみせたアイアンマン。ならば自らがアイアンマンを打ち砕くまでです。オバディアはテストが済んだばかりのアイアンモンガースーツを着用し、トニーと対峙します。
f:id:ELEKINGPIT:20220429224026j:imageオバディアが開発させた世界最強のバトルスーツ、アイアンモンガー。そのパワーはシルバーセンチュリオンをも上回る。

 

激しい戦いが始まりました。地球史上最高峰の技術全てが詰まっていると豪語するアイアンモンガーは、単純なパワーだけならアイアンマンすら上回るほど。一方汎用性に優れるアイアンマンは、様々な機能で翻弄します。戦いの余波はやがて会社全体を巻き込み、辺り一面に火の手が燃え広がっていました。オバディアが拐った仲間たちを助けつつ、オバディアの卑劣な策に立ち向かうトニー。戦う前から勝ちを確信していたオバディアは、予想外の抵抗にジワジワと追い詰められていきます。戦いは誰が見てもアイアンマンが優勢でした。オバディアも自らの敗北を認めざるを得ないほどに。オバディアは静かに人生の転換点を思い浮かべていました。8歳の時、目の前で自殺した父親ことを。あの日以来全てが変わってしまった。ならば今自分を打ち負かそうとしている最大最強の宿敵にできることは? オバディアはそっとリパルサーブラストの銃口をこめかみに向けます。父がかつてやったように、トニーを絶対に勝たせないために。
f:id:ELEKINGPIT:20220429231422j:imageトニーの目の前で頭を吹き飛ばしたオバディア。敗北しても勝利はさせない、執念の一手だった。

 

〈アイアンモンガー〉

トニーを打ち負かすために様々な策を行使したオバディア。死の瞬間までトニーを陥れようとしましたが、中でも最大の作戦はやはりアイアンモンガー計画でしょう。ステイン社の地下へ秘密の研究所を建設し、その中で世界中の天才科学者にアイアンモンガーを建造させていたのです。アイアンマンをも打ち砕くために建造されたこのバトルスーツ。何故「アイアンモンガー」という名前なのでしょうか?

アイアンモンガーは英語にするとIron monger、あえて日本語に訳すとしたら「(軽蔑の意を込めて)鉄屋」となるでしょう。要はアイアンマンを小馬鹿にした名前なのです。オバディアはトニーを身辺調査するにあたって、アイアンマンの正体に気づいていました。トニーを倒せばアイアンマンも倒したことになる。ではアイアンマンを打ち砕くとは? オバディアはアイアンモンガーを、アイアンマンの技術すら凌駕したバトルスーツにしようとしていました。技術力の差で上回ろうと考えていたのです。オバディアはありとあらゆる面でトニーに勝とうとしていたのです。しかし結果は自殺。トニーの心に癒えない傷を負わせ、人生を狂わせようとするものでした。トニーを絶対に勝利させまいとする最終最後の手段ですが、それでもトニーはオバディアに勝ったと私は断言できます。トニーの逆張りをすることでアイアンマンにもトニーにも勝とうとしたオバディア。しかしオバディアを、トニーの対極にも、ましてや同列の存在として語ろうとする人はいないでしょう。尊大な態度ながら逆張りすることでしか勝ち目を見いだせない小物なのですから。そして最後の自殺、オバディアはトニーが永遠に勝利できないと確信したものですが、トニーは現在に至るまでアイアンマンとして活動し続けています。トニーがヒーローである限り、オバディアはトニーの勝利すら奪えないのです。