アベンジャーズとの地球規模の戦いの後、X-Menは2つのチームに分裂しました。伝統あるタイトルを引き継いだ本作は、そんな分裂した一派、サイクロプス率いるチームです。その目的はこれまで通り人類とミュータントの平和的共存。しかしこれまでと違う点に、「革命」という言葉が使われていることでしょう。元は人種差別反対運動がベースになったX-Men。それまで蓄積されてきた痛みの反動が現れたようにさえ見えてしまいます。
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〈あらすじ〉
その身に宿したフェニックス・フォースの暴走で、プロフェッサーXを殺害したサイクロプス。テロリストの汚名を着せられながらも教授の理想を受け継ぐため、新たなるX-Menの結成を決意する。苦節の末繋いだ希望を絶やさないために。
〈ミュータント革命〉
フェニックス・フォースの暴走はX-Menを分裂させ、サイクロプスらに至ってはテロリストという扱いになってしまいました。一方でその恩恵は計り知れず、絶滅危惧種となっていたミュータントの新世代が世界各地に生まれ、その危機を脱しました。自身の暴走に罪悪感を覚えるサイクロプス。だからこそ、新世代ミュータントを保護し新たな学園を開く覚悟を決めます。新生X-Menは、サイクロプス、エマ・フロスト、マジック、マグニートーの4人を正式メンバーにスタート。メンバーの大半はフェニックス・フォースの影響で能力の大部分を失ってしまいましたが、新世代のために戦うことを誓います。新X-Menの覚悟は勇気と賞賛、差別と非難が迎え入れました。ミュータントを保護しようとした途端センチネルが襲撃する程です。それでもX-Menは4人の新世代ミュータントを学園へ迎えることに成功します。
サイクロプス率いる新X-Men。たとえ世界中から憎まれようとも、その信念は揺るがない。
一方、革命を標榜する新X-MenをSHIELDは危険視していました。革命とは見方を変えれば今ある世界を壊しかねない行為。サイクロプスをヴィランと捉えることさえ出来るでしょう。SHIELDはこの「革命的行為」を重く受け止め、アベンジャーズの派遣を決めます。X-Menの出動と同時に空から現れるアベンジャーズ。フェニックス・フォースを巡る戦いがあった直後ということもあり、一触即発の空気が漂います。アベンジャーズはフェニックス・フォースの力を用いた「責任」を問いただしました。一方X-Menはフェニックス・フォースに寄生されただけ、故意ではないと主張します。サイクロプスはミュータントへの悪意、憎悪から新世代を守るためにX-Menをたちあげました。確かに、未知なるものに人々は恐怖の感情を抱きます。少しでも違う部分を見つけては排斥しようとする場面は日本でも世界でも日常茶飯事です。しかしそんな感情のために、ミュータントはセンチネルに踏み潰され、銃口を向けられなければならないのでしょうか？ サイクロプスとキャップの1歩も引かない口論の末、遂に両者は戦うこととなります。再びアベンジャーズとX-Menの、誰も望まない戦争が始まってしまうのでしょうか？ その時でした。新世代ミュータントの1人、テンパスがアベンジャーズをタイムバブルへ閉じ込めます。タイムバブルの中は時の牢獄、能力者が離れるか解除しない限り、空間内の時間の流れを変えてしまうのです。地球最強のヒーロー達が一瞬のうちに倒されたのでした。
X-Menを逮捕しようと現れたアベンジャーズ。しかしその結末はあまりに呆気ないものだった。
〈今日憎まれても明日のため〉
今作からスタートしたサイクロプスのミュータント革命。今作はその導入のような役割をしていました。そもそも何故サイクロプスは革命にこだわるのでしょうか？ 従来通りのやり方ではいけなかったのでしょうか？ サイクロプスは長い戦いの中で、人間の抱くミュータントへの憎悪を何度も目撃してきました。特にフェニックス・フォースの事件の後、一時は絶滅さえ噂されていたはずが爆発的に数を増やし、向けられる差別心は天井知らずです。今までの積み重ねをまるで否定するかのように進まない世界。従来通りのやり方だけでは通用しなくなっていることは明白でしょう。サイクロプスの出した結論は、より過激に動くことだったのです。一方、今までのやり方をサイクロプスは一切否定していません。自分が過激になるのは、分裂したもう一方のX-Men、ウルヴァリンらが善人でいることを信じて疑わなかったからです。フランス革命や独立戦争など史実に登場する革命はそのほとんどが代償を伴ってきました。ではミュータントによる革命は？ 過激派と温厚派に分裂したX-Men。過激派のサイクロプスはその代償さえ背負おうとしているようにさえ思えました。
