アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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IRON MAN DIRECTOR OF SHIELD

ヒーロー同士の内戦を経て勝者となったトニーは、SHIELDの長官という地位を得ました。今作はそんなSHIELD長官として活躍するトニーを描いたシリーズの第1作目です。強大な権力を手に入れたからこそ見えてくるトニー・スタークという人物像と、その覚悟がありました。
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日本語版関連作

 

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〈あらすじ〉

SHIELDの長官となったトニーは、組織の内部改革に取り組んだ。そんな中見え隠れするテロ組織の存在と宿敵の影。迫りくる脅威を前に、失ったものばかりを見ないために、トニーは再び覚悟を決める。アイアンマンとしての覚悟を。

 

〈責任と覚悟〉

SHIELDの副官、ダムダム・デュガンは辞任すべきかと決心していました。トニー・スタークが長官となってから、あまりにSHIELDは変わりすぎたのです。トニーが長官となってまず行われたことは、目安箱の設置でした。そしてカジュアルフライデーを実施、またヘリキャリア内にカフェテリアを設置し安らげる空間を作り出します。そしてデイケア(保育園のようなもの)まで。まるで会社のような組織運営にデュガンはうんざりしてしまっていました。更に問題は、数日前に遡ります。オペラハウスを襲撃したテロリストとの戦いです。最新武器を揃えているテロ組織に対し、トニーは特殊部隊を編成。アイアンマン技術を応用したパワードスーツを着用させます。その上で、作戦はトニーの主導で行われます。作戦の重要な要素は全てトニーが1人で遂行したのです。被害は最小限に抑えられ、怪我人もわずか。作戦は大成功です。ところがデュガンはそれも不満に感じていました。本来SHIELDはチームで動きます。特殊部隊を編成したのならなおのことチームで動くべきでしょう。しかし作戦の重要な部分をトニー1人で遂行してしまうと、SHIELDの存在意義が問われてしまいます。実際オペラハウス襲撃事件も、アイアンマン1人で何とかなったであろう事案です。しかしトニーはSHIELDの長官。本来は後方から指揮をする立場にあるはず。SHIELDとして対処するならば、せめてチームで作戦行動を行わねばならないとデュガンは指摘します。こうして大きく変わった新体制のSHIELDに適応できないデュガンは辞任を考えていたのです。ところがそんなデュガンを踏みとどまらせた事実が浮き彫りになります。頻発するテロに用いられる武器のほとんどが最新鋭のものなのです。どこからそんな武器が流れたのか? 資金源は? 調査をしているうちに、カリム・ナジーブという名前にたどり着きました。中国のテロリストです。恐らくカリム・ナジーブにも真の黒幕が存在しているでしょう。デュガンはSHIELDに留まる代わりに、トニーへ1つだけ忠告します。SHIELDの長官という立場は、命令1つで部下が死ぬ可能性もある責任の重いものです。だからこそ部下には一定の緊張感を保たせておくべきだと。カフェテリアやデイケアの設置は結構なことですが、ヘリキャリアは何かあればすぐさま戦場へ直行する乗り物です。場合によってはヘリキャリアが戦場になることも。ならば行うべきはホワイト企業化することではないでしょう。トニーはデュガンの言葉に深くうなずきました。
f:id:ELEKINGPIT:20240213204132j:imageSHIELD長官としての覚悟を説くデュガン。企業運営とは違う組織のあり方が求められるのだ。

 

解剖のため運ばれた死体を見て、マヤ・ハンセンは驚愕していました。トニーの特別顧問のような立場としてヘリキャリアに乗船していたマヤは、あるテロリストの奇妙な遺体を解剖していました。頭には大量のケーブルのようなものが繋げられており、体内は大幅な改造が施されていたのです。そこにはバイオハードドライブとでも言うべき記憶装置があり、目を通して得られた情報が映像として保存されていました。更に遺体はバイオコンピュータウイルスに罹患しています。これがあれば、死体であろうと関係なく遠隔で操作できるでしょう。解剖には危険が伴うようでした。トニーはこれらの発信源が、やはりカリム・ナジーブにあることを特定します。裏に潜む黒幕が、何かを企んでいることは間違いありません。拠点の1つを攻撃してでも陰謀が動き出す前に止めねばならないでしょう。トニーは即時決断します。編成した特殊部隊と共に拠点を攻めるアイアンマン。しかしそこには人の気配さえありません。その時です。バイオコンピュータウイルスに侵された人々が襲撃してきたではありませんか。すぐさま対応しますが、危機的な状況は別の場所でも起きていました。日本の米軍基地付近で待機していたヘリキャリアですが、マヤの解剖していた遺体が突如暴走。臓器を増殖させながらヘリキャリア全体が戦場へと変わったのです。銃火器で対応は可能なものの、猛スピードで増殖するバイオコンピュータウイルス相手ではジリ貧でしかありません。トニーは唯一の解決法を思いつきました。バイオコンピュータウイルスを、エクストリミスを通じて自身に感染させるのです。その上でウイルスを倒すのだと。拠点を制圧するとマッハでヘリキャリアへ戻ったトニー。しかしここで悲劇を知ります。父と慕う恩師が、ウイルスの攻撃で死亡していたのです。そしてウイルスを自ら感染させます。
f:id:ELEKINGPIT:20240214090611j:image父も友も兄弟も失った。それでもトニーには立ち上がる責任がある。

〈責務〉

本作で強調されたのは、責任でした。SHIELDの長官となったトニーは、その責任の重さに気付かされます。ホワイト企業化させたSHIELDから、その責任と実感の追いつけてなさが現れているようです。そんなトニーがSHIELDの長官としての責務を実感したのが本作でしょう。SHIELDの長官というのは、強大な権限があります。世界中を守るのですから国境を超えるのにビザやパスポートも必要ありません。しかしだからこそ、重すぎる責任があります。テロが起きるとそれがどこであれ対処せねばなりません。民間人の被害は最小限に抑える方法を臨機応変に的確に、そして最速で考え出さねばなりません。またニック・フューリーとマリア・ヒルのように、長官が変わるとそれだけでヒーローコミュニティに溝が生まれてしまうことも。トニー自身、フューリーから会社を買収されそうになった経験があり、如何にその力が強大かは思い知っていることでしょう。また部下が命令1つで死ぬ可能性もあります。大人数の部下を自由に動かせる反面、怪我人や死者が出た場合は全て自分の責任です。しかしそれらも全て長官職の側面でしかないでしょう。何よりも重いのは、絶対に折れてはならないことです。トニーは何度も何度も様々な状況に挫折し、立ち直るたびに強くなるキャラクターとして描かれていました。しかしSHIELDの長官がそれではいけません。大勢の人命が両肩に乗ってるのですから当然です。SHIELD長官は絶対に折れてはならないのです。