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MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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IRON MAN ARMOR WARS Ⅱ前編(#258〜#262)

様々な試練を乗り越え、なおもアイアンマンとして立ち続けるトニー。アーマーウォーズや半身不随をも打ち破ってみせますが、立ちはだかる試練は枚挙にいとまがありません。第2次アーマーウォーズと銘打たれた本作は、大胆なアートで展開され今なお名作として名高い作品です。名作であればあるほど大きな試練だと言い換えることもできるでしょう。次にトニーがぶち当たる試練とは何なのでしょうか?
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〈あらすじ〉

トニー・スタークに忍び寄る新たな試練。それは、死んだはずの強敵だった。更にトニーを恨むある人物の野望も始動し、気づかぬうちに絶体絶命のピンチへ陥る。一方宿敵マンダリンは、中国奥地で最強の古龍と契約を結ぼうとしていた……!

 

〈宿敵〉

アーマーの調整を兼ねた訓練に明け暮れるトニー。脳波で無人パワードスーツの操縦も可能になり、アイアンマンとして活躍の幅が大きく広がります。一方で、トニーは近頃鈍い方の痛みを感じていました。なぜ本調子ではないのか? 心当たりはありました。しかし今はそれを気にしている時間なんてありません。スターク社のCEOとして新規事業にかかりきりなのです。ある日、秘書のアーボガスト氏から緊急の連絡がありました。新設した核リアクター、ニュークUに異常が発生したのです。アーマーを着用し、現場へ急行するトニー。アーマーのモニターによると、冷却材が何らかの妨害を受けているようです。目視で確認すると、なんと冷却管が斬られているではありませんか。何者かが斬ったことは確実。この騒動には犯人がいるのです。核リアクターの内部ヘ入り、犯人を探し始めます。敵はすぐに見つかりました。しかしそれは、トニーにとって驚くべき人物。それはアーマーウォーズで死亡したはずのチタニウムマンなのです。何故死んだはずのチタニウムマンがここに? 数々の疑問を無視してチタニウムマンが攻撃を始めます。しかしここで戦っては核リアクターにダメージを与えてしまうでしょう。すでにアーマーは核リアクターが臨界寸前だと計画を発しています。チタニウムマンに構っている暇はありません。トニーはチタニウムの横をすり抜け、緊急停止手順を確認します。ところが緊急停止手順を用いても手遅れのようです。内部に誰もいないことを確認し、トニーは核リアクターを運び出します。太平洋へ運び出すのです。周囲の安全を確認し、海溝の奥深く深くへ核リアクターを沈めます。
f:id:ELEKINGPIT:20240229201927j:image大爆発を起こす核リアクター。チタニウムマンの目的は何だったのか?

 

トニーが気がついたときにはサンフランシスコのホテルにいました。何がどうなっているのか? 急いで会社へ電話をするトニー。なんとあの事件から3日も経っているというではありませんか。原子力規制委員会も会社も必死にトニーの足取りを追っていたといいますが、当のトニー本人も何故ここにいるのか記憶がありません。そう、確かあれから会社へ戻り仮眠を取ったはず。そこからの記憶がすっぽりと抜け落ちているのです。ひとまず本社へ飛行機で戻ることにしたトニー。あれからチタニウムマンはどうしたのか? 会社の被害は数100億ドルにも及ぶ程です。パワードスーツで被害にあった場所を調べ始めます。すると突然、地面が溶けて陥没します。ブーツジェットには溶けた土が詰まり飛ぶことができません。突然の出来事にも的確に情報を把握するトニーですが、地面の下にあったものには驚かざるを得ませんでした。なんと周囲が激しく光り、その中にチタニウムマンがいたのです。しかしその姿は瞬く間に変わっていきました。その正体はリビングレーザー。文字通りレーザー光線を操るヴィランです。リビングレーザーは光を利用してチタニウムマンをホログラムのように出現、トニーを挑発するためにその生存を偽装していたのでした。そして今回の襲撃も同様。全ては宿敵アイアンマンを倒すためです。太陽の届かない地下で閃光と装甲が激しくぶつかる戦闘が始まりました。光の集まるところがリビングレーザーのいるところだと推測したトニーは苦戦しながら渾身の一撃を繰り出します。ところがリビングレーザーもレーザー光線を凝縮させた一撃でトニーの肩を貫きます。互角以上の戦闘です。ところが、トニーが次の攻撃を繰り出そうとしたその時、力無く倒れたではありませんか。ピクリとも動かないアイアンマン。この姿にリビングレーザーは激怒します。こんな決着では満足できない。アイアンマンはこんなにも呆気なく倒れていいはずがない。リビングレーザーの叫びにもアイアンマンは反応しません。激怒したリビングレーザーは全力の一撃を手向けとばかりにお見舞いし、立ち去ってしまいました。
f:id:ELEKINGPIT:20240229225842j:image力無く倒れるアイアンマン。その身に何が起きたのか?

 

緊急搬送されるアイアンマン。群衆が心配そうな目でその姿を見つめています。トニーは滝のような汗をかいていました。意識はハッキリとしているのに、体が全く動かせない。まるで死んだように動けない。トニーは脳波で無人パワードスーツを操り、自らをオフィスのラボへ運び出します。ところがしばらくすると、何事もなかったかのように体が動きました。一体何が起きたのか? 1週間ほど前から起きていた肩の痛みもですが、トニーには心当たりがありました。アイアンマンです。アイアンマンとして闘い体を長く酷使していたからこそ、なにか異常が起きたのではないか? トニーは自身が選んだ信頼できる医者へ検査を頼みます。結果は健康そのもの。体に何らかの異常はなかったのです。では体が突然動かせなくなった原因は何なのか? ローディと話していると、会話の途中で急にトニーの目つきが変わります。まるで最初から話していなかったかのように喋らなくなったのです。無表情でどこかへ歩きだすトニー。ローディはそれを必死で追いかけます。そして外へ出ようとするトニーをどうにか食い止めました。何かが起きたに違いない。トニーを拘束したローディは、話せなくなったもののトニーの意識がハッキリとしていることを確認します。ここでローディはトニーへアーマーを着せました。意識がハッキリとしているなら、体が動かせなくとも脳波でアーマーを操ることで擬似的に体を動かそうと考えたのです。目論見は当たりました。アイアンマンとして体を動かせるようになったのです。一方でトニーは確信しました。体が何者かに操られている。何者かがこの事件の裏にいることを。
f:id:ELEKINGPIT:20240229231808j:image黒幕の存在を確信するトニー。体調不良ではなく、何者かに操られていたのだ。

 

〈アイアンマンとして〉

本作はトニーの精神がアイアンマンとして大きく成長していた姿が随所に軽く描かれていました。demon in a bottle編以来何度も壁にぶつかってきた姿を見てきた1読者として、私は感動さえ覚えていました。今回はそんなシーンを見ていきましょう。

まずはサンフランシスコから本社へトニーが戻ってきたときのシーンです。ローディが快く出迎えるのですが、ここでローディは3日間トニーが不在だったのがどれほど大変だったかを軽口として語ります。その時、ローディは冗談交じりに自分がアーマーを着用しようかと思ったといいます。それに対し、トニーはそうならなくてよかったと返しているのです。アイアンマンになることを拒否し、ローディへパワードスーツを託していた時期があったことを思うと、今のトニーがどれほど安定し、またアイアンマンとしての覚悟を決めたのかを垣間見ることができるでしょう。2つ目はその少し前のシーンです。サンフランシスコで目覚めたトニーは、以前から酒を飲んだ時はこんな感覚だったと語ります。つまり現在は全く酒を飲んでいないということが逆説的にわかるでしょう。今のトニーに酒を飲むという選択肢は存在していないのです。体に異常をきたした時も、酒という単語は一切出ていませんでした。それはトニーの精神が強くなった証なのでしょう。アイアンマンとして、着実に成長するトニー。これならどんな試練が起きてもきっと乗り越えられるだろうと、私は安心して本作を見ることができました。