キャロルとともにシビルウォーを戦い抜いたアラーナ。その後もドゥームズデイマンどの戦いに参戦するなど活躍が目立ちますが、そもそもアラーナとはどのようなヒーローなのでしょうか？ 今作はそんなアリーナのオリジンが描かれています。ティーンエイジャーにして超人登録法に巻き込まれたヒーロー、アラーナ。その戦いの始まりを見ていきましょう。
〈あらすじ〉
喧嘩っ早いが勇敢なアーニャ・コラソンは、ギャングに襲われた1人の人物を助けたことで運命の歯車が狂い始める。手に入れた力の正体とは？ 小さな勇気が新たなヒーローを生み出した！
〈新たなヒーロー！〉
15歳で新たな学校へ入学したアーニャは、中学時代の友人とともにゆっくりと学校生活をスタートさせようとしていました。ところが友人のリンが上級生に絡まれているのを目撃すると、自分が身代わりになり喧嘩をふっかけます。アーニャは自他ともに認めるほど熱くなりやすい性格でした。正義感の強さもあってか、こういう場面を見かけるとつい喧嘩っ早くなってしまうのです。相手は大柄の人物であっても1歩も引こうとしない姿勢は、危なっかしささえ覚えてしまいます。そんなアーニャですが、それはすべて亡くなった母の言葉を大事にしているが故でした。勇気を持って生きていく。それはアーニャの座右の銘のようになっていたのです。ある日夜風に当たろうと公園を散歩していると、ギャングに襲われている人物を発見。戸惑っている間に巻き込まれてしまいます。ギャング数人が1人へ襲撃している上に巻き込みさえ厭わない。アーニャは襲われている人物を助けることにします。ところが恵体の暴漢数人に子どもの力では勝てるはずがありません。アーニャは戦いの最中、腹を思い切りナイフで貫かれてしまいます。大量に血が流れ、意識が段々と薄れゆくアーニャ。ギャングはそれを見て退散してしまいます。おそわれていた人物は、アーニャを膝の上に乗せるとブツブツとなにかをつぶやき始めていました。私達に協力するなら命を助ける。その問いに、アーニャは混濁する意識の中で確かに了承していました。そして目が覚めると……自室で横たわっていました。腹の痛みはなく、服にナイフの傷跡が無ければ昨晩のことが夢だったと思ったでしょう。部屋は何故か蜘蛛の糸にまみれており、あれからの記憶はすっぽりと抜け落ちています。何があったのか？ 頭に疑問符を浮かべながら今日も学校へ行く準備をします。
ウェブまみれの部屋。何が起きたのかアーニャには身に覚えがなかった。
放課後。ギャングに襲われていた人物は再びアーニャの前に姿を表します。明日、指定する場所へ来てほしい。そう言いながら渡したのは、名刺でした。ウェブ・コープのミゲル。そして名刺にはウェブ・コープの住所が。ミゲルは名刺を渡すとさっさとと立ち去ってしまいました。翌日、言われたとおりにウェブ・コープへ向かうアーニャ。そこにはミゲルの他にも多くのメンバーが待っていました。その全員が期待していたのは、「能力の覚醒」です。ところがアーニャには身に覚えもありません。それを聞くと、やはりというような空気が流れてしまいます。アーニャはすぐに家へと帰されました。しかしその日の夜、ウェブ・コープのメンバーから電話がかかってきます。ミゲルを助けた欲しいと。電話を切ると、既にヘリコプターが迎えにやってきていました。どうやらミゲルは大勢のギャングに追いかけ回されている様子。このギャングは、アーニャを刺したギャングと同じ組織のようです。助けようとするアーニャですが、ここで右肩に激痛が走ります。動けないほどの痛みが始まったかと思うと、今度は傷んだ箇所に蜘蛛のような模様が。これは一体何なのか？ 何が起きたのか？ ウェブ・コープは、これを能力覚醒の兆しだと考えていました。ミゲルを助け出した数日後、ウェブ・コープはアーニャを呼び出します。能力の覚醒と訓練を行うのです。アーニャはそう言われると、なんと砂漠へ1人へ置き去りにされてしまいました。周りには猛獣たちが。絶体絶命のアーニャ。死を覚悟するアーニャは、いつの間にか亡くなった母の幻影を見ていました。そして母に導かれるままに能力が覚醒します。覚醒したアーニャは猛獣さえ簡単になぎ倒す力を得ていました。獰猛な獣の群れを一瞬で圧倒したのでした。能力を覚醒させたアーニャは、ヒーローとして活動することを決意。自らのヒーロー名を、母の婚前の名前であるアラーナとします。そんなアーニャを見届けたウェブ・コープはアーニャを正式にメンバーへと迎え入れようとしました。ウェブ・コープを執拗に追うギャング、シスターフッドとの戦いに加わるように言うのです。
能力を覚醒させるアーニャ。誰にも負けない勇気で戦う。
〈勇気〉
今作の主人公、アーニャは勇気という言葉を胸に生きているキャラクターでした。勇気があったからこそ新たなヒーローとなったのです。ティーンエイジャーのヒーローとして、蜘蛛の能力を持つヒーローとして、アーニャにしかない勇気とは何なのか考えてみましょう。
勇気と無謀は違います。今作序盤のアーニャは、確かに正義感あふれるキャラクターとして登場しています。しかしギャングに立ち向かったりガタイの優れた上級生に喧嘩を吹っかけたり、どちらかというと無謀と言えるシーンが描かれていました。力がないから抵抗するな、という意味ではありません。無策で勝てない相手に挑むことは自分を傷つける行為でしかなく、それは短絡的で無謀としか言いようがありません。警察に通報するなどただ立ち向かうだけではない抵抗手段もあったのですから。しかし今作の後半では、力を手に入れ真に勇気を発揮します。それはミゲルを追っていたギャング、シスターフッドと戦うのです。単に力を手に入れただけではありません。ミゲルと協力し、力を合わせ、連携したのです。他者の力が借りれる状況でも1人で立ち向かうのは、私は勇気と考えていません。それは同様に無謀です。誰かの協力してこそ勇気なのです。アーニャにはそんな勇気が備わったように思えました。この新たなティーンエイジャーはどのように成長してくれるのでしょうか？ その伸びしろに期待したいです。
