アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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WORLD WAR HULK

ハルク世界大戦というタイトルがつけられた本作は、やはりバトルが醍醐味と考える方も多いでしょう。実際ダイナミックな絵柄から繰り出される大迫力のバトルは手に汗を握るものがあります。ところがその物語は悲劇的なものでした。悲劇故に争うしかないシーンが多く、シビルウォーに通ずるところもあるでしょう。だからこそヒーローのかっこいい部分が見れるかも?
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日本語版関連作

 

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〈あらすじ〉

ハルクが帰ってきた! 宇宙へ追放されたハルクは様々な悲劇を味わい、復讐のために地球へ帰ってきた。全ては自身を宇宙へ追いやった、あの4人が原因にある。怒りの化身が世界を壊す時が来たのだ。

 

〈怒りの化身〉

かつて、ハルクは宇宙へ追放されていました。暴走しラスベガスを襲撃するなど危険な存在だと判断されたのです。誰によって? ミスター・ファンタスティック、アイアンマン、ドクター・ストレンジ、ブラックボルトの4人です。ハルクは追放された先にある惑星サカァーで様々な試練を乗り越え、遂にサカァーの王となります。しかしそこで謎の大爆発が。サカァーで結婚したパートナーとも死に別れ、ハルクの怒りは頂点に達します。あの4人が殺したのだ。そうに違いない。ハルクはワールドブレイカーとして、サカァーでできた部下のウォーバウンドを引き連れ地球を目指します。全ては4人へ報いを受けさせるために。ブラックボルトはインヒューマンの王として月面にいました。当時は月面にインヒューマンの都、アティランがあったのです。ささやき声だけで山をも砕くブラックボルトも、ハルクの怒りには勝てません。ハルクは気絶したブラックボルトを引きずりニューヨークへやってきました。ハルクは宣言します。24時間以内に無関係な人間はニューヨークから退去することを。ここは間もなく戦場となり、そして処刑場となるのだから。アイアンマンは超法規的な措置として一時的に超人登録法違反者も逮捕しない代わりに、ニューヨークにいる市民の避難に協力するよう要請します。そして自身は、最強のハルクバスターアーマーを用意していました。確かに全ては自分が行ったことだ。きっとまた同じ状況になったら同じことをするだろう。全ては世界を守るために。自分1人で戦うと決意したアイアンマンの覚悟は相当なものだったでしょう。ニューヨーク上空で繰り広げられる戦いは、あまりにも激しいものでした。アイアンマンの覚悟とハルクの怒りが、火花を散らしぶつかりあったのです。勝者はハルクでした。アイアンマンの覚悟さえハルクの怒りが上回ったのです。
f:id:ELEKINGPIT:20240307193554j:imageぐったりと倒れるアイアンマンを背に、唸り声を上げるハルク。最早その怒りはヒーローの覚悟でも止められない。

 

ハルクの次なるターゲットは、ミスター・ファンタスティックでした。道中、シークレット/マイティアベンジャーズ連合をも倒したハルクは、ファンタスティック・フォーブラックパンサー、ストームのチームを壊滅させます。ロス将軍率いるアメリカ軍も怒りのままに吹き飛ばし、最後のターゲットであるドクター・ストレンジとバトルを開始。ドクター・ストレンジは魔術に説得さえ無理だと悟ると、禁断の闇魔法を解禁。超パワーをもってハルクに挑みます。ドクター・ストレンジさえ飲み込み兼ねない禁断の闇魔法ですが、ハルクの怒りを飲み込むことはできませんでした。ドクター・ストレンジさえハルクには勝てなかったのです。敗者となったヒーローは、ハルクが作った即席のスタジアムに引き連れられます。4人はサカァーから連れてこられた巨大生物と戦わされ始めました。さながらコロッセオを見下ろす皇帝のようにハルクはその眺めをじっと見つめます。なんとか4人は巨大生物を倒しますが、今度は4人同士で殺し合うよう命じられます。もしも逆らえば体に埋め込まれたディスクが激しい電撃を流し、殺さない程度に苦しませるのです。望まぬ戦いが始まりました。各々が能力を使って脱出の機会をうかがっていましたが、怒りの化身ハルクがそれを許すはずもありません。無慈悲にもハルクは4人へ死刑を宣告します。その時です。千の太陽を思わせる輝きがニューヨークを包みます。最強のアベンジャー、セントリーが現れたのです。かつてハルクと友だったセントリーは、最後までハルクと戦うことを迷っていました。しかし遂に戦う覚悟を決めたのです。
f:id:ELEKINGPIT:20240307201020j:imageハルクの死刑宣告と共に飛び出すセントリー。最強同士の戦いのゴングが鳴った。

 

〈ヒーローと責任〉

様々なヒーローのバトルが繰り広げられた本作。どれも手に汗握るもので、興奮を覚えた方も多いのではないでしょうか? 私自身、アイアンマンファンとして応援しながら読んだものです。さて、そんな本作ですが戦うまでのヒーローの覚悟と責任にも注目したいです。イルミナティ4人には戦うまでの過程が違いました。

まずはブラックボルトから。ブラックボルトはパートナーのメデューサと共にアティランを守るために戦おうとしていました。それはヒーロー同士の戦いというよりも、守るべきものを守るため。既に覚悟は決まっていたと言っていいでしょう。次にアイアンマンはどうでしょうか? アイアンマンはハルクが地球から追放されたことを非難される行為だとして、全て「自分がやった」と宣言しハルクへ挑みました。アイアンマンは全ての責任を自身で負うことで、覚悟を決めたのです。次なる相手はミスター・ファンタスティック。アイアンマン同様これは自分たちの戦いだとしていましたが、事実と違う部分は訂正もハッキリと行いました。覚悟と事実関係は区別する、ミスター・ファンタスティックらしい箇所だと言えるでしょう。最後にドクター・ストレンジ。ミスター・ファンタスティックやアイアンマン同様にその行いに責任を感じていましたが、その責任はイルミナティ4人全員にあるとしていました。4人は全員が違う覚悟をもって戦っていたのです。大いなる力には大いなる責任が伴う、とは説明するまでもなく有名な言葉となっているでしょう。その責任はヒーローそれぞれが違う解釈をしています。だからこそハルク追放のような悲劇が起き、シビルウォーが起きてしまうのかもしれません。