ヒーローものの醍醐味と言えば？ ヒーローは本来人助けをする存在ですが、その過程で強敵と戦うことも少なくありません。アイアンマン第3話となる今作は、そんな強敵との戦闘を描いた物語です。アイアンマンの「弱点」を狙う強敵に勝つための一手とは？ 未だ色褪せないストーリーに目が離せません。
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※なお今回は紙の書籍から画像を引用させていただきます。見えにくい等ございましたらコメントでご指摘くださると嬉しいです
〈あらすじ〉
病院のチャリティパーティに出席したトニー。アイアンマンとの関係も噂され、その名声はさらに高まりつつあった。しかし監獄の奥底からアイアンマンを狙う難敵が密かに微笑んでいた。全世界を滅亡させうるその力に、アイアンマンは勝てるのか？
〈世界を滅ぼす力〉
その日、病院のチャリティパーティへトニーが出席したと知ると、会場は大盛り上がりでした。アイアンマンとスターク社の関係が噂されているこの時期の登場です。その上トニーの口から、翌日病院の前でアイアンマンのチャリティイベントを行うと発表したのです。これで盛り上がらないなら嘘というもの。翌日、テレビカメラも呼んでイベントは大々的にスタートしました。そのイベントの内容は、なんとアイアンマンの性能テスト。磁気を使い難なく車を数台浮かせ、砲弾を真正面から受け止め粉々にする。アメリカに現れた新ヒーローの強さは想像以上です。このショーに観衆は大興奮。一方監獄ではそれを見てほくそ笑む人物もいました。機械工学の天才であるカルロ・ストレンジは、自らの才能を悪用するヴィランです。アイアンマンのイベントを見たカルロ・ストレンジはある悪事を思いついていました。刑務所でチマチマと集めてきた機械部品を使い、なんとアイアンマンのパワードアーマーを遠隔操作する装置を開発したのです。これを使えば、カルロ自身は1歩も動かず脱獄出来るでしょう。アイアンマンは突然意志をうしなかったかのように監獄の壁を突き破り、カルロのいる檻を破壊、あっという間にカルロを抱え脱出しました。
アイアンマンを使役し脱獄するカルロ。計画の第1段階が成功し、高笑いが止まらない。
カルロは脱獄して早々、とんでもない装置を作り上げていました。なんと世界中の核ミサイルをコントロールし起爆させる装置を開発したのです。これを使えば世界征服だって夢ではありません。ならば利用するまで。カルロはこの装置を使い、全世界を脅迫してみせます。しかし世界がこんな横暴な振る舞いを許しておくはずがないでしょう。アメリカは密かに海軍を出動、カルロ撃退のチャンスをうかがっていました。一方この騒動で最も激怒していたのは、当然アイアンマンです。自らを利用した挙句世界を脅す暴挙まで許してしまった。その怒りが奥底から湧き出ていました。カルロへケジメをつけるのはアイアンマンでなくてはならないでしょう。孤島に住むカルロを追い詰めるため、アイアンマンは海軍と協力して島の付近までやってきます。海軍に包囲されたカルロ。ところがまだまだ高笑いは止まらず、随分と余裕があるようです。それもそのはず。軍の中心へ操ったミサイルを1発ぶち込めば勝てないはずがないのですから。既に揚々と勝ち誇るカルロ。確かにその読みは正しく、恐らく軍との戦いになっていれば勝者はカルロだったかもしれません。ですがカルロは計算に入れていませんでした。100年先の技術を持つ、アイアンマンの存在を。アイアンマンは、なんと地中を掘り進めカルロの元へ現れます。怒りに燃えるアイアンマンと勝利を確信するカルロ。2人の戦いが始まりました。
地中より現れるアイアンマン。その執念が敵を追い詰める。
〈アイアンマンの弱点〉
テロ組織を壊滅させ、異星人の侵略を止めて見せたアイアンマン。まるで無敵のような存在ですが、今作ではそれを逆手に取られ利用されてしまいました。いきなりアイアンマンの弱点を示したのです。わずか3話にしてアイアンマンの弱点を提示した意味とは何なのでしょうか？ 多くのMARVELヒーローに共通している点に、「超人も人間」という点が挙げられると私は考えています。人間ゆえに協力することもあり、一方で争うこともありました。また精神のもろさや逆に頑固さが弱点になることも。喜怒哀楽を抱え、絵に描いたような波乱万丈の人生を生きています。ヒーローはヒーローである前に人間であり、決して万能な存在では無いのです。アイアンマンはテロ組織を壊滅させ、異星人の侵略を止める大活躍をたった2話でやり遂げました。まるで無敵のような存在……ですが、アイアンマンも人間です。決して無敵ではないのです。アイアンマンの弱点が示され、ヒーローも万能な存在ではないと改めて思い知る機会になりました。
