アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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MS.MARVEL (2006) vol4 MONSTER SMASH

失敗とどう向き合うかは、答えのない難しい問いでしょう。しかしベストオブベストを目指すキャロルはそんな問いに応えねばならないでしょう。本作は2つの短編からキャロルと失敗が描かれました。
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〈あらすじ〉

行方不明事件頻発? 新たなエージェントを加えたライトニングストームは、頻発している行方不明事件の調査に乗り出した。事件の裏に隠れる陰謀とは? 恐るべき敵がキャロルを待ち受ける!

 

〈救出作戦〉

前回、AIMのDNA爆弾による計画を阻止したオペレーション・ライトニングストーム。キャロルはその際自分の体の色が青くなり、頭から別の声がしたことを気にしてきました。SHIELDの最新医療設備では異常なし。そこで信頼するビーストに検査を頼むこととします。以前にも同様の検査をした際は同じく異常なしでしたが、キャロルの実感としては異常が起こっているのです。検査を行い、データを精密に診てもらうことでひとまず任務に戻ります。ある日、ライトニングストームは一本の電話を受け付けました。電話主はアーニャ・コラソンの父親です。なんとアーニャが行方不明になったというではありませんか。確かにここ最近行方不明事件が頻発していましたが、ティーンエイジャーとはいえヒーローのアーニャまで行方不明となると大事件の予感がします。ライトニングストームは新たにマシンマンとスリープウォーカーを加え、事件の操作に乗り出します。マシンマンの網羅的な調査から南米が怪しいと判断したライトニングストームは、早速隊長のキャロル自ら出向きました。結果はすぐに分かります。調査した地点の周囲にいた人々が、キャロルを見た途端目の色を変えて襲ってきたのです。同じく調査を続けていたマシンマンらはアーニャを発見。アーニャの脳波から何者かに操られていることがわかりました。一方キャロルは、その何者かの特定に成功します。敵は人形を使い人々を操るパペットマスターです。なんとパペットマスターは元アベンジャーであるシルバー・クロウやティグラ等のヒーローも洗脳済み。パペットマスターはキャロルに洗脳の狙いを定めていました。
f:id:ELEKINGPIT:20240401202109j:imageパペットマスターに洗脳されるキャロル。逆転の目は意外なものだった。

 

事件を解決した直後、ビーストから連絡がありました。キャロルの体の変異について、やはりビーストの医療機器で検査をしても異常は認められなかったようです。しかし確実に変異を起こしているということは、キャロルの体がその時間だけ「変身」しているのでは? というのがビーストの見解でした。誰とどのように変身しているのか? 心当たりはありません。しかし答えはすぐに分かりました。オペレーションライトニングストームの拠点であるミニキャリアが何者かによって襲撃、キャロルが連れ去られたのです。キャロルが気がついたときには、遠く離れたモンスターアイランドで巨大怪獣に襲撃されそうになっていました。モンスターアイランドは文字通り巨大なモンスターや怪獣の住む危険な島。特別な用がない限り近寄らないようにすべき島です。キャロルの傍らには青い異星人がいました。なんと異星人と片腕が融合しているではありませんか。この異星人はクルー。キャロルが青く変異するのは、このクルーが融合していたことが原因でした。キャロルの精神世界で融合した経緯を語り、完全復活には完璧な融合が必要だと言います。なんのため? そもそもどうしてモンスターアイランドに連れてこられたのか? キャロルの疑問にグルーが答える間もなく、真相が明らかになります。ブルードです。かつてキャロルはホワイトホールの力を手にし、バイナリーと名乗っていた時期がありました。その頃に戦い、徹底的に倒したのがブルードでした。ブルードの女王はその時死んだはずですが、執念で生き残り復讐のために現れたのです。モンスターアイランドはそんなブルードを隠すのに最適な島でした。かつてバイナリーの力がなくては勝てなかった相手と戦うため、キャロルはクルーと完全融合を果たすことにします。
f:id:ELEKINGPIT:20240401204519j:imageクルーと完全融合し、バイナリーの姿となったキャロル。ブルードの女王に強烈な一撃を与えるが……?

 

〈過去の失敗〉

本作でキャロルはある失敗をしてしまいました。パペットマスターを殺してしまったのです。パペットマスターは大量に女性を洗脳し監禁していました。それに激怒したキャロルは、戦いの末自爆スイッチを押すパペットマスターを見送ることとなってしまいます。結果監禁されていた女性たちは全員救出されるものの、パペットマスターは死亡してしまいました。キャロルはこれを「自分が殺した」と深く反省していましたが、一方で「もう誰もパペットマスターの魔の手に怯えることはなくなった」と自身を納得させてしまいます。ベストオブベストなヒーローとは、そんな悪を見殺しにするのではなく救うことができたはず。キャロルはその失敗から逃げてしまいました。しかし過去の同じ失敗から、逆襲にあってしまいます。それがブルードです。ブルードは過去にキャロルがバイナリーの力で殺してしまった敵。死んだと思われていた敵が実は生きており、その復讐にやってきたのです。これをパペットマスターに当てはめて考えると、もし生きていた場合さらなる大事件を呼んでしまう場合があるでしょう。人を救うことがヒーローの役割ならば、それを放棄した場合復讐の連鎖が始まってしまうのです。もしパペットマスターが本当に死んでしまった場合でも、その親類や親しかった人が復讐しないと誰が言い切れるでしょうか? さらなる事件を起こさないためにも、例えヴィランであっても殺してはならないのです。