アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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TALES OF SUSPENSE #43

アイアンマンの初期シリーズは、時に奇想天外な物語で私達を楽しませてくれます。今作もそんな名作の1つ。予想を裏切る展開の連続ですが、その中で王道をなぞるストーリーが綴られます。流石に古臭さは否めないものの、色褪せない部分もあるためファン必見の物語です。
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※なお今回は紙の書籍から画像を引用させていただきます。見えにくい等ございましたらコメントでご指摘くださると嬉しいです

 

〈あらすじ〉

アイアンマンの次なる敵は発達した地下帝国だった! 地上への侵攻を目論む地下帝国ネザーランドは、トニー・スタークヘ悪魔の命令を下す。アイアンマンに勝機はあるのか? ネザーランドの野望にアイアンマンが立ち向かう! 

 

〈地下帝国の野望〉

スターク社にまた危機が迫っていました。風を発生させる装置が暴走し、社員を吹き飛ばしていたのです。トニーにも救助を求める連絡がやってきました。とはいえ常人のトニーにできることなんてあるのでしょうか? 疑問に思う社員たちの前に現れたのは、金色のアーマーが特徴的なアイアンマンです。鈍重そうに見えるアーマーですが、見た目以上に超高性能。この状況でも難なく活動が可能。アイアンマンは軽々とこの問題を解決し、トニーを現場へ呼びます。現場へやってきたトニーはこの事故が起きた原因を調査しようとしていました。しかしその時です。なんとさっきまでいたスターク社の社員が消えてしまったではありませんか。それも立て続けに2人。一体何があったのか? 考えている暇はありませんでした。トニーの周囲にドームが形成、閉じ込められてしまったのです。警備員が力いっぱいハンマーで殴ってもドームはヒビ1つ入りません。そのままドームはゆっくりと下降、トニーもドームも地面に吸い込まれるように消えてしまいました。こうなってはどうすることもできないでしょう。トニーはドームに任せてグングンと地下へ潜っていきます。地下の果て、そこには高度な文明社会が築かれていました。出迎えたのは地下帝国ネザーランドの女王カーラです。消えたはずの社員もそこにはいました。
f:id:ELEKINGPIT:20240405132342j:image地下帝国でトニーを出迎えた女王カーラ。そこには恐るべき野望を秘めていた。

 

カーラは自ら地下帝国にトニーを呼んだのだと説明します。最初の2人は誤ってここへ連れてきてしまったと。何故そんなことを? それを知るには、ネザーランドの歴史から説明せねばならないでしょう。かつてネザーランドは島の上に立つ高度な科学文明を持つ国でした。自然災害に備え巨大なガラスドームで国全体を覆っていたネザーランドですが、想定以上の大津波に襲われてしまいます。そして国土全体が地下へと沈んでしまったのです。今や陽の光すら見ることができないネザーランド。中でも女王カーラは地上へ激しい憧れを抱いていました。そんなカーラはある野望を抱くようになります。地上侵略です。破壊兵器を用いて地上の人間を一掃し、自らが地上を治めるのだと。地上よりも高度な科学文明を築き上げたネザーランドは、地下からビーム砲を用いて攻撃しようと目論んでいました。ところがどれほど出力を上げてもビーム砲が地上まで届きません。そこでカーラはトニーを拉致、地上で最も天才であるトニーの発明品、小型トランジスターを用いた新型ビーム砲を作らせようとしたのです。もちろんトニーはこの命令を聞くわけには行きませんでした。間違って連れ去られた2人が人質となっても、地上侵攻を許すわけにはいきません。しかしトニーはこのシチュエーションに身に覚えがあったのでしょう。ある作戦を思い浮かべます。ラボにこもり、スクラップからアイアンマンを作るのです。
f:id:ELEKINGPIT:20240405134414j:imageスクラップからアイアンマンを作り上げたトニー。ここから逆襲が始まる。

 

〈もう1度オリジンを〉

本作の展開は、アイアンマンのオリジンであるTALES OF SUSPENSE #39と非常に似ています。何故このタイミングでオリジンと似た展開を行う必要があったのでしょうか? 単に気付かなかった可能性も捨てきれなくはないですが、そうとは考えられません。そこでもう1度オリジンを行った意味を考えたいと思います。まずは新たに生まれたスーツから考えていきましょう。これまでのパワードスーツは、ずっとモデル1と呼ばれる最初期型を改良し続けていました。それほど基礎設計がよくできていたと言えますが、新たなパワードスーツを作ることでさらなるパワーアップをする時がやってきたのかもしれません。またこのタイミングでもう1度オリジンを行う事で、アイアンマンの技術進歩を見せられるでしょう。最初は火炎放射や殴る蹴ることがメインだったアイアンマンですが、今作ではそれから大きく進化していることが分かります。強力な磁石で敵の撃った銃弾の弾道を変えることもできるし、新たに生まれたアイアンマンは戦闘機よりも速いスピードで動くことが可能なのです。アイアンマンの進化を見せるにはこのタイミングでもう1度オリジンを行うことが最適だったのでしょう。