アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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IRON MAN WITH IRON HAND

アイアンマンSHIELD長官編もいよいよ佳境に入ってきました。事実上の最終回である本作は、エクストリミス編、シビルウォー、そして長官期という21世紀から始まったシリーズの総括のような立ち位置となっています。トニーの覚悟と責任が垣間見える傑作で、ファン必読の1冊と言えるでしょう。
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〈あらすじ〉

ロシアの隣国で核爆弾を用いたテロが発生。トニーはそこで過去の因縁と対峙した。更にSHIELDの秘密兵器が乗っ取られ、事態は目まぐるしく急転する。かの敵は問う。その赤い手で何人救った? 何人殺した? それでも鉄人は戦う。世界平和という贖罪を成すため。

 

〈血塗られた手で〉

ロシアの隣国、キリクスタン共和国では恐るべき自体が起きていました。核爆弾を用いたテロリストが現れたのです。SHIELDはこれを鎮圧するため、アルファチームをキリクスタンに送り込みます。アルファチームはトニーが開発したパワードスーツに身を包んだ特殊部隊。これ以上ないほど適任でしょう。核爆弾はどこにあるのか? 起爆する前に見つけなくてはなりません。しかし爆弾は見つけられないまま、とうとう悲劇が起こってしまいます。アルファチームの1人が爆弾を発見した途端、大爆発が起こってしまったのです。幸い市街地ではなかったため民間人に被害はありませんでした。またパワードスーツのおかげでアルファチームの隊員に死者は出ず、巻き込まれた隊員は重傷ですが命に別状はないようです。爆発の起こった後、あざ笑うようにある通信がSHIELDに入ります。テロを起こした犯人です。トニーはその顔に心当たりがありました。ラヒモフ。かつてトニーと親交があった人物です。一方、国防省にはあるSHIELDのエージェントが訪れていました。ウィアーという名のエージェントは、冷戦時代作られたという秘密兵器の場所を訪ねます。オーバーキルホーン。ウィアーはスターク体制下のSHIELDに不満を抱いていました。これを使えば自らの要求が通るかも知れない。しかしナノマシンを使って制御を始めようとしますが、ウィアーの思惑とは別にオーバーキルホーンが暴走を始めてしまったではありませんか。オーバーキルホーンはウィアーを取り込み、大きく形を変え始めます。新たな兵器、オーバーキルマインドとして。
f:id:ELEKINGPIT:20240504174055j:image変形したオーバーキルマインド。その不気味な姿はまるで脳みそのよう。

 

オーバーキルマインドはまっすぐSHIELDのヘリキャリアを目指していました。アルファチームが迎撃しますが、逆にパワードスーツを操って味方を攻撃。2人の隊員が死亡してしまいます。キリクスタンでテロの調査を行っていたトニーは、事態の報告を受けてすぐに戻ってきます。副官のデュガンがオーバーキルマインドと戦っていましたが、どうやっても手に余る相手でしょう。トニーは全員をヘリキャリアへ下がらせ、まずは対話による解決を試みます。そこでわかったことは、ウィアーは既にオーバーキルマインドによって生体部品として取り込まれていること。オーバーキルマインドを止めるには対話ではなくウィアーを切り離さなくてはならないでしょう。トニーは内部へ侵入、ウィアーを切り離そうと動き出します。一方オーバーキルマインドも黙って見ているわけには行きません。ナノマシンを噴霧してトニーを洗脳しようとしますが、パワードスーツに身を包まれたトニーには効きません。オーバーキルマインドは次の一手として内部構造を変異させてトニーに襲いかかります。敵の攻撃を避けながら、ウィアーを切り離すトニー。途端にオーバーキルマインドの動きが停止します。ウィアーの意識も良好です。やはりオーバーキルマインドによって暴走させられていたようで、隊員2人の命を奪うつもりはなかったと言います。これで事件は解決。しかし当初の問題が残っています。ラヒモフによる核爆弾テロを止めなくてはなりません。ラヒモフの居場所を突き止めたトニーは単身で突入します。車椅子姿で出迎えるラヒモフは、トニーへ問いかけます。「お前は毎日間違った選択を選んでいる。私にもそうに違いない。お前の選択で何人死んだ?」トニーは応えました。「大勢だ」ラフモフを倒さねば核爆弾は止められない。しかし防御装置が働いてラヒモフを単独では止められないと覚ったトニーは、ある決断をします。ラヒモフに向かってミサイルを放ち、爆死させるのです。
f:id:ELEKINGPIT:20240504180432j:image爆炎の中吹き飛ぶトニー。この選択は正しかったのか?

 

〈選択と責任〉

エクストリミス編から始まり、事実上のクライマックスを迎えた本作。その総括は、選択と責任という物語として終わりを迎えました。トニーは数々の選択をしてきました。エクストリミスではマレンを殺し、エグゼキュートプログラムでは世界平和のためにアルゴノートアーマーを作り上げました。それらの選択は全て間違っていたのか? 正しかったのか? 正解がわかるときは来ないでしょう。しかしトニーは、その選択に対して常に責任を取り続けるという覚悟を見せました。では責任とは何なのか? シビルウォーでキャップを倒し、SHIELD長官となったトニーが取れる責任は最もシンプルで世界一の難題と言えるでしょう。即ち世界平和です。世界を平和にするために選択を取り続けたのですから、その選択で死んでしまった人々のためにトニーは世界平和を誓うのです。