アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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IRON MAN HAUNTED

SHIELD長官として、世界の平和を背負うこととなったトニー。前回はその覚悟が問われることとなりました。今作ではそんなトニーが文字通り世界のために動き出します。
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日本語版関連作

 

前回はこちらelekingpit.hatenablog.com

 

〈あらすじ〉

SHIELD長官として世界平和を担うようになったトニー。しかしその精神は徐々に追い詰められていた。現れる過去の亡霊。再び相対する宿敵に勝利することはできるのか?

 

〈宿敵のとの対決〉

前回の事件がマンダリンの仕業であると確信しているトニー。しかしマンダリンは死亡しているはずで、国防長官のクーニンにもまるで信じられません。そんな時でした。トニーの下へある報せが舞い込んできます。ヒーロー殺害事件です。ネブラスカ州にある古いポンプ場で、新人ヒーローのガジェットがベテランヴィランであるグラビトンに殺されたのです。グラビトンは既に拿捕していますが、メディアはシビルウォーの引き金となったスタンフォードの悲劇の再来として大々的に報道し始めます。SHIELDの長官として、この事件はなんとしても解決しなくてはならないでしょう。トニーは早速ネブラスカ州へと向かいました。トニーは50ステートイニシアチブと呼ばれる制度を導入していました。これはアメリカ全ての州にヒーローチームを配置するという、超人登録法を応用した制度です。そのためネブラスカ州にも当然ヒーローチームがいました。リーダーはベテランのキャプテン・ウルトラ。そして新人のパラゴンとガジェットの3人です。キャプテン・ウルトラによると、ここ最近ポンプ場ではセンサーの誤作動が頻発。そのため今回も誤作動だろうと新人2人に任せていたところ、グラビトンがいたということです。次に、重傷を負ったパラゴンの証言が必要でしょう。パラゴンによると、グラビトンはガジェットを攻撃する直前、ある奇妙な言葉を口走ったそうです。「機械の後ろにいるあなた」というガジェットの声に対して、「機械はお前の後ろだろう」と。この奇妙な証言が鍵となりました。
f:id:ELEKINGPIT:20240411123708j:imageパラゴンの語った事件の顛末。それはグラビトンがガジェットを殺害した卑劣な犯罪だった。

 

次にグラビトンの証言です。グラビトンは、パラゴンの証言と食い違う主張をしていました。あの時確かにガジェットを殺したのはグラビトンの能力でしたが、自分は殺していないというのです。狂っているのか? いいえ、トニーはここでグラビトンのある言葉を思い浮かべます。「機械はお前の後ろだろう」というあのセリフです。トニーが疑いの目を向けたのは、パラゴンでした。パラゴンが政府に届けている能力は、強靭の肉体と俊足、ごくありふれた超人能力と言えるでしょう。しかしもしそれを偽っていたら? グラビトンと同じ重力操作が能力なら、偽ることは容易でしょう。その証拠に、パラゴンの腕には注射針が刺さっていました。超人的な肉体を持つなら通常の注射針は刺さらないはず。トニーはパラゴンを尋問します。ガジェット殺害の犯人として。超人活動委員会にも報告し、事件は進展するものと思われました。しかし超人活動委員会の決定は予想外なものでした。この頃のトニーの様子を見て、統合失調症である可能性を疑い、休職を命じたのです。確かにトニーは1週間ほどパワードスーツを脱ごうとせず、また怒りのあまり暴れたり幻覚が見えている様子がありました。精神科医の診断でも、統合失調症の初期症状が現れているよう。トニーは休職を言い渡され、その間事件を調査しないようエクストリミス抑制装置を取り付けられてしまいます。トニーは副官ダムダムデュガンを通じて、密かに調査することにしました。
f:id:ELEKINGPIT:20240411165416j:imageトニーに取り付けられたエクストリミス抑制装置。足首に取り付けることで、トニーを超人から常人に変えた。

 

こうして休職しながら調査を続けることとなったトニー。旧型のパワードスーツを取り寄せ、万全とはいかないまでも体制を整えます。それを襲撃したのは、なんとエクストリミス適合者。キャプテン・ウルトラらと協力して何とか撃退することに成功しますが、トニーはこれが何者かが引っかかります。この事件にはもう1つ鍵がありました。死亡したガジェットは事件直前、ネブラスカ州の失踪者リストを作成していました。最初は月に10人程度、それが今や800人にまで膨れ上がっているのです。それが事件のヒントだとトニーは確信していました。その失踪者が、エクストリミス適合者として襲撃してきたのです。エクストリミスと失踪者。少しずつ事件の全貌が見えてきました。トニーは死亡したと思われていたマヤ・ハンセンが生きていることを知ります。これが最後のピースでした。国防長官クーニンからマヤ・ハンセンの居場所を聞き出したトニーは、敵の正体がマンダリンであることを突き止めます。中国のとある会社の社長に偽装しているマンダリンに、トニーはこの事件を収束すべく勝負を挑んだのです。バトルは壮絶なものでした。激しい攻防は久方ぶりの宿敵の対決を盛り上げます。マンダリンは、宇宙人から10の指輪の力をもぎ取ったトニーの宿敵中の宿敵です。指輪にはそれぞれ違う力が宿っており、全てが強力な能力。それゆえトニーは何度も苦戦してきました。かつての宿敵に、今のトニーは旧型のパワードスーツ。勝ち目はあるのでしょうか? 必殺のユニビームとマンダリンのブラストがぶつかり合います。
f:id:ELEKINGPIT:20240411221411j:imageアイアンマンとマンダリンの中心でぶつかり合う必殺技。2人の決着はいかに?

 

〈死者の声〉

本作の鍵の1つに、死者の声があるでしょう。そもそもホーンテッドというタイトルは、「取り憑かれる」のような意味を持ちます。本作ではそんなタイトルになぞらえてか、トニーが過去の亡霊に囚われるような描写がありました。死者の声が聞こえるのです。シビルウォーで死んだはずのキャプテン・アメリカ、ガジェット、サル・ケネディ、ハッピー、そしてインセン教授。それらはトニーの罪悪感の象徴であり、物語を大きく動かす存在でもありました。過去の亡霊とどのように向き合うのか? それは即ち、過去の過ちとどのように向き合うのか? というテーマにつながってくるでしょう。死者の声が聞こえないにしても、マヤ・ハンセンやマンダリンも過ちに向き合うことで本作のストーリーは進んでいきました。ではトニーはどのように過去の過ちと向き合ったのでしょうか? トニーは精神を病むほど罪悪感を抱えていました。キャプテン・アメリカのいない世界を守らなくてはならないというプレッシャーもあったでしょう。しかし前回では、SHIELD長官という覚悟を問われてしまいました。トニーにはキャップのいない世界を守るという覚悟が足りていなかったのです。やがてそれは不安定さを招くこととなります。それが本作でのトニーの暴走と言えるでしょう。パラゴンを尋問したトニーは、結果グラビトンもパラゴンも死んでしまい、事件が迷宮入り寸前まで追い込まれてしまいます。ではどうすればよかったのか? 本作での事件を解決したトニーは、世界の英雄として称えられます。それが答えなのです。罪悪感と向き合い、過去の過ちと向き合うには、自己満足に終わったマンダリンやマヤ・ハンセンとは違い、市民を守り続けるしかないのです。それがSHIELD長官という役割なのでしょう。